磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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作品集〈八月六日〉を描く 第一集&第二集

2007年12月24日 | 読書日記など
『作品集〈八月六日〉を描く』
   文化評論出版1970年

「はしがき」で井伏鱒二が書いています。下「」引用。

「「広島のこと」のような大事件は文学作品の対象とするには巨大にすぎる。長篇大作でその全貌を捉へようとしても、または二作三作と重ねてみても手にあまる素材である。-略-被爆体験者にしても全貌は捉へ難いのではないだろうか。-略-本書のようにアンソロジーの形式にするのが良策ではないだろうか。いづれにしても本書の出版企画には原爆を詛ふ気持が強硬に籠っているようだ、あの惨禍は繰返してもらいたくない。この念願でこれを編纂したのであると思う。」

目次

はしがき  井伏鱒二  ……………1
夏の花   原民喜   ……………9
炎の日   廣中俊雄  ……………23
半人間   大田洋子  ……………69
雲の記憶  石田耕治  ……………115
火の踊り  小久保均  ……………141
過ぐる夏に 岩淵誠一郎 ……………185
重い車   文沢隆一  ……………241
あとがき
 原民喜と大田洋子さんのこと ……………313
 「炎の日」と私 ……………318
 現在を否定する内なる過去のこと ……………323
 私の紀元元年 ……………335
 ヒロシマ・その虚像 ……………341
 原爆と私 ……………348
 「赤と黒の喪章」あとがき ……………353
解説 松本寛 ……………359

大田洋子さんのことも書かれてありました。下「」引用。

「大田洋子さんの神経症がいちだんと悪化し、ついに入院加療を要するほどになったのも、ちょうどそれと時を同じくしている。『半人間』には、それがいちばんよくあらわれているが、彼女が不吉な妄想に脅かされ、言いしれぬ不安に悩まされるようになった原因は、たんに原爆症の潜在的不安にのみあるのではなかった。朝鮮戦争の勃発と原爆体験とが重なり合うことによって、「無関心な人々」の無意識の共犯性にたいする不安と焦立ちが、彼女の神経を痛めつけたのだ。」

『作品集〈八月六日〉を描く 第二集』
   著者代表 中山士朗/文化評論出版1971年


目次

はしがき  堀田善衛  ……………1
死の影   中山士朗  ……………11
 「死の影」と生 ……………292
人間の灰  小田勝造  ……………57
 個人的な怨念  ……………299
倉橋島  藤本仁  ……………77
 広島原民とヒバクセイジン  ……………302
風化の底  浜野千穂子  ……………107
 広島・内と外との境  ……………310
毛の囲い地  越智道雄  ……………131
 もはやキリストは死にユダは弁明を始める  ……………317
象  別役実  ……………177
 「象」についてのわたしごと  ……………322
炎は消えず  豊田文夫・豊田清史  ……………239
 原爆の中の風化と修飾  ……………325
解説  岩崎清一郎  ……………330
 作者略歴  ……………345


「死の影」のハエの描写は克明でかつ詳細です。例えば……。下「」引用。

「そのサナギは七日もすると成虫のハエとなり、ハエとなってから三日目には、もう卵をうみだすのだ。つまり卵をうんだ親バエは、二十日にはもう孫ができ、さらに二十日経過するとひ孫ができるという具合だ。それに一生のうち五回ほど散乱するから、春さきの一匹が夏の終わりには、数億匹にも達するわけだ、と和夫は痺れた頭の中で計算した。」









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