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「インボイス制度とは?①」

2022-11-22 07:53:46 | 日本

消費税率の変更に伴い、2023年から導入されるインボイス制度とはどういったもので、適用されるとどのような影響があるのでしょうか。本記事では、インボイス制度の概要や影響、その対応策などをわかりやすく図解を使って解説します。インボイス制度について知りたい企業や個人事業主、フリーランスの方などは、ぜひ参考にしてください。


◎インボイス制度とは?いつから適用?
 
「インボイス制度」とは正式名称を「適格請求書等保存方式」といい、2023年10月1日から導入される、消費税の仕入税額控除に関する制度です。
まずは、この制度はどのような仕組みになっていて、適用後は従来までの方式となにが変わるのかを解説します。 


◎インボイス制度とは?

そもそもインボイス制度とは、「インボイス(適格請求書)」を用いて消費税の仕入税額控除を受けるための制度です。
 
消費税法においては、仕入れ税額控除を受けるには、取引を記録した「帳簿」と「請求書等」を保存しておく必要があります。
 
2023年9月までに保存が求められている請求書が、区分記載請求書等です。
 
区分記載請求書等においては、「請求書を発行した発行者の氏名または名称」、「取引をした時間」、「取引金額」、「取引内容」、「請求書を受け取ったものの氏名または名称(取引先の自分)」が正しく記録されていることで、その取引が行われたことの証明になります。そして、この帳簿により仕入れ税額控除を受けられるようになります。
 
新たに導入されるインボイス制度においては、仕入税額控除を受けるために「適格請求書」の保存が求められます。
 
「適格請求書」では、従来の区分記載請求書等において記載が求められていた事項に加え、「適格請求書発行事業者登録番号」、「税率ごと(8%または10%)に区分して合計した税込対価の額」、「税率ごとに区分した消費税額等」の記載が求められるようになります。
 
インボイス制度が導入される背景として、消費税率の変更が挙げられます。
 
現在ほとんどの商品には10%の税率が適用されていますが、中には食品など、8%の軽減税率が適用されているものもあります。2つの税率が混在しているため、従来の請求書や領収書などは、「どの商品がどの税率なのか」「消費税額はいくらなのか」などが、一目で把握しづらくなっています。
 
そこでインボイス制度を導入し、より正確に消費税の納付額を計算できるように変更されます。
 
 
◎インボイス(適格請求書)の対象は?

この仕入税額控除に必要な適格請求書ですが、取引の際に請求書を発行できるのは、税務署長に登録を申請して受理された、「適格請求書発行事業者」のみとなっています。
 
そしてこの「適格請求書発行事業者」登録を行うためには、原則としてその個人事業者や法人が消費税の「課税事業者」である必要があります。
 
そのため、年度の課税売上高が1,000万円以下である等の理由で免税事業者になっている個人事業者や法人が、この適格請求書発行事業者になろうとした場合、事前に「消費税課税事業者選択届出書」を所轄の税務署長に提出し、課税事業者となる必要があります。
 
 
◎インボイス制度は2023年10月から開始

2022年現在、消費税法においては2019年10月1日より適用された区分記載請求書等保存方式が用いられています。
 
これが2023年10月1日のインボイス制度の導入により、それ以降保存が必要な請求書等が適格請求書に切り替わります。
 
なお、適格請求書発行事業者の登録申請は2021年10月から受け付けが開始されています。


◎インボイス制度の導入でなにが変わるのか
 
インボイス制度が導入されると、「仕入税額控除」の条件が変わります。
 
 
◎インボイスの発行と保存が義務化される
 
仕入税額控除とは、間接税(税金を負担する人と納付する人が違う税金)である消費税を重複して納税することがないよう、事業者が消費者から受け取った消費税の税額から、仕入れの際に他の事業者に支払った消費税の税額を控除することです。
 
先に説明したように、この消費税を取引先に支払ったことを証明するために、取引を記録した帳簿と請求書等の保存と提出が義務付けられています。
 
そして、2023年10月から、仕入税額控除に必要な請求書が適格請求書に切り替わります。取引において対価を受け取る側の事業者は、その取引の際に相手に対して適格請求書を発行することになります。
 
 
◎免税事業者からの仕入れは仕入額控除を受けられなくなる

これまではその取引が「課税取引」に該当すれば、取引相手の事業者が誰であっても課税仕入れ等となり、仕入れ側は仕入税額控除を受けられました。
 
しかし、インボイスの導入後は、適格請求書を発行できない免税事業者との取引では、仕入税額控除を受けられなくなります。
 
ただし、インボイス導入後2029年までの6年間は、免税事業者からの課税仕入れについても、経過措置が設けられています。
 
区分記載請求書等と同じ内容の記載がある請求書等を保存し、帳簿に経過措置を受ける旨を記載することで、最初の3年間は80%、次の3年間は50%の控除を受けられます。
 
  
◎インボイス制度の導入による影響
 
ここでは、インボイス制度によって課税・免税事業者にどのような影響があるのかを詳しく解説します。課税事業者の大企業や個人事業主、フリーランスなどの方は、ぜひ参考にしてください。


◎課税事業者の場合

インボイス制度が適用されるのは、主に課税売上高が1,000万円以上の課税事業者です。仕入税額控除を受けるために、まずは適格請求書の発行が認められた「適格請求書発行事業者」の登録番号を取得しなければなりません。

インボイス制度が開始しても、申請していないと適格請求書を発行できないので注意しましょう。
 
適格請求書には、従来の請求書の内容に加えて「適格請求書発行事業者の登録番号」「適用税率ごとの区分」「軽減税率適用の表記」「適用税率」「適用税率ごとの消費税の合計額」などを記載します。
 
適格請求書発行事業者は、取引を行ったら必ず適格請求書を交付し、受け取った適格請求書は一定期間保存しておく必要があります。