おばしゃんのことを思い出すおフクロ。
おばしゃんは、おフクロのお姉さん。
4年前に亡くなった。
枝豆をもらいに行ったとき、おフクロが、このおばしゃんのことを思い出して、私に話して聞かす。
「大阪に嫁いだモコ(私の妹)が、久しぶりに帰ってきたとき、おばしゃんが、
『せっかくモコちゃんが来とるけん、小遣いなっと持たしちゃろう。』
って、言うて、来た時たい。
病気の影響で、だいぶ足腰が弱っとって、杖をつきながら、やっと来た感じでね。
その姿を見た、モコは、『これが最期になる』って、わかったのか、涙が止まらんくなったとよ。
おばしゃんは、そんなモコに、小遣いを渡して、帰ったっちゃけど、しばらくして、また戻ってきたとよ。
『・・・小遣いば、もろうて、泣くげな、そげんお金に困っとっちゃろうかと思って、また、小遣いばもってきてやったよ。』
って。
そんときに、ウチの裏口のとこで、足が、ボトボトして、転ぼうしたとば、忘れられんとよ。」
・・て。
モコ自身も働いていたし、モコの旦那もしっかり働いている人なので、そんなにお金に困っていないのは、重々わかっているはずなのに、
おばしゃんは、そんな人だ。
自分は、気づかないふりをして、誰も傷つけずに、事を回していける優しい人なんです。
コブクロの【蕾】を聴くたびに、そんなおばしゃんを思い出します。
♪涙こぼしても、汗にまみれた笑顔の中じゃ、
誰も気づいてくれない、だから、あなたの涙を僕は知らない。
絶やすことなく 僕の心に
灯されていた、優しい灯りは、あなたが
くれた 理由なき愛の証♪
今、俺が普通に暮らしているのは、そんなおばしゃんがいてくれたからやと思う。