雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

深泥丘奇談(みどろがおかきだん)/綾辻 行人

2008-04-09 | 小説
誰も見たことのない「綾辻行人の世界」
京都の奥には、何かが潜んでいる・・・。深泥丘病院の屋上で見た幻鳥、病院の地下へと続く階段、痛む歯、薄れゆく街の記憶・・・作家である「私」がみた日常が一瞬にして怪談に変わるとき、世界は裏の顔を表す!
物語の舞台は、作者が生まれ育ち、現在も居を構える古都・京都を彷彿させる町。語り手である「私」の家は「町の東地区、北寄りの山ぎわ」「紅叡山の麓のあたり」にある。物語の始まりは、晩春の黄昏時。自宅から少し離れた「深泥丘」周辺を散策していた語り手は、突如烈しい眩暈に襲われ、行く手に見かけた「医療法人再生会 深泥丘病院」を訪れる。そこは入院設備も整った、古びた四階建ての小病院だった。一話目の「顔」は、精密検査を勧められ短期入院することになった語り手が、病院内で奇怪なモノを目撃する話。「ちちち……と、最初はそう聞こえた。――ような気がした」という特徴的な冒頭の一節といい、妖しげな病院が舞台となっている点といい、主人公を見舞う記憶の混濁といい、綾辻行人版『ドグラマグラ』。 ところが二話目の「丘の向こう」に至って、物語のパースペクティヴは俄然、一挙に拡がりを見せる。深泥丘の向こう側に散策の足を伸ばした語り手は、そこに鉄道の線路が走っていることを知り愕然とする。帰宅後、妻にその話をすると、それは「Q電鉄の如呂塚線」であり、終点にある如呂塚遺蹟を見物に、二人で出かけたこともあると指摘され、語り手の困惑はさらに深まってゆくのだ。いにしえの水都の幻影が顕ちあらわれる「長びく雨」、歯科治療をめぐり作者一流の生理的恐怖描写が冴える「サムザムシ」、微妙にクトゥルー神話を彷彿させて心弾ませる「開けるな」、京都名物・五山の送り火が、シュルレアリスム絵画さながらの幻視の光景へ一変する傑作「六山の夜」、秋祭りの夜に病院で開催される奇術ショーの奇怪な顛末を描く「深泥丘魔術団」、語り手の自宅周辺に謎の生き物が出没する「声」……自宅と病院を楕円の両極とする語り手の散策=夢幻彷徨が、驚異と幻想の地誌学とでも称すべき光景を開示し、謎めいた世界観の全貌が、精妙な手つきで明らかにされてゆく――本連作に秘められた奇計は、未だその片鱗を覗かせたばかり。(推薦文・・東雅夫)

 って、やたら長い推薦文とかあるんだけど、オレ的には綾辻行人は『館シリーズ』に全精力を注いでほしい。

 そんなカンジだ。
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4 コメント

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Unknown (ノロモン)
2008-04-10 10:28:58
長々とした文章、実は解説文だった…というオチのほうが深泥丘~よりはるかに素敵だ。俺も館シリーズに一勃、いや一票。
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Unknown ()
2008-04-10 22:45:26
えっ!このクソ長い文読んだの?
オレは読んでないからイマイチよくわからんのだけど(って、オイ!

まぁなんか知らんがオチたみたいなんで、いいか。

『悪霊憑き』だったけ?あれはミステリっぽくて良かったなぁと思ったら、あれだけ別の雑誌掲載だったってのが笑えた。
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結構興味深い… (プル)
2008-04-11 17:53:53
病院が舞台になってんのって好きなんです…実は( ̄ー ̄;)

病院っていうだけで先入観で気味悪さが増すからなぁ…。

また、説明文を読んでも分かったような分からんような、そんな感じがまたいい…。
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プルしゃん♪ ()
2008-04-13 00:57:01
病院が舞台の小説だったら、奥田英朗の『イン・ザ・プール』が絶対オススメですよー(ホラーではないけれど・・・)

病院はまぁ、薄気味悪いわなぁ・・・活気があったら逆にイヤだし。。。

それにしても、プルさんもこのクソ長い文を読んだのですか?
読まずにコピーしてブログに載せちまった自分に少し罪悪感を覚えてしまいます。

まあ、それでも「そんな感じがまたいい・・・」なら、それでヨシ!?
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