里山の山野草

里山と山野草の復活日記。

牧野植物園

2008年07月31日 | 野外講座
今年の夏季特別講座は、高知県の牧野植物園と天狗高原だった。
何でも、天狗高原ではヒメユリとキレンゲショウマが自生しているという。
自生しているキレンゲショウマは見た事がないので、それを見たさに先週の土日に
心弾ませながら参加した!

ところがだッ!
例によってついて来た家内のお喋りでスッカリ恥を掻かされた上に、天狗高原では
蚋の集中攻撃に遭い、目はお岩さん、耳は柔道家、腕はポパイのようになってしま
って、痒いのなんの何もする気が無くなってしまった! 今日になってようやく痒み
が取れた。 ヤレヤレだ!

さて、先ず最初に訪ねたのは“牧野植物園”。
 
何しろ18haもある広大な敷地を、「昼食も含めて2時間で見ろ!」と言う。
土台無理な話だが、正門→①土佐の植物生態園→②博士ゆかりの植物→南門へと見
学した。


そこで、何といっても先ず目についたのがカノコユリ。 
園内の至る所で咲き、強い芳香を放っている。 花弁が後ろに反り返るので少し品
が悪いが、花の色と芳香は初めて見ただけに強烈だった!
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カノコユリの花(→拡大)カノコユリの葉

次は、展示館周辺に植えてある、博士ゆかりの植物達だ。
中でもスエコザサは、見た目にはどこにでもありそうな笹だが、奥さん(寿衛子)
が亡くなった年に仙台市で発見した品種で、亡き妻に感謝して献名したのだそうだ。
墓碑には、
「家守りし妻の恵みや 我が学び 世の中のあらん限りや すゑ子笹」
と書かれていた。
夫の研究をそっと支え、家を守った妻に感謝する気持ちが溢れている!

声を出して読んでいたら、隣に居た家内がいつの間にか居なくなってしまった。
どうやら、寿衛子さんの足元にも及ばない事を恥じたらしい!
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スエコザサ(→墓碑)ビロードムラサキ
ヒロハコンロンカヨコグラノキ

それにしても高知の人は幸せだ!
偉大な先人のお陰で立派な植物園が出来、ここへ来さえすれば大抵の植物の名前が
分かるのだから、図鑑と首っ引きで思案しなくても済む。

牧野植物園
高知県が生んだ世界的植物学者である牧野富太郎博士(1862~1957年)の業績を
讃えて1958年(昭和33年)に高知市五台山に開園。
園内には、高知県の植物を中心に約3000種の植物が四季を彩っている。

1999年(平成11年)には、面積を18haに拡大し、“牧野富太郎記念館”を新設。
2008年(平成20年)には、南園に“50周年記念園”が設けられ、伝統的な東洋
園芸植物が楽しめる。

カノコユリ(ユリ科、ユリ属)
四国と九州で海岸や渓谷の崖に自生する多年草。 
崖から垂れ下がって咲き花弁が球形に反り返るものを“タキユリ”、茎が直立して
花弁がタキユリほど反り返らないものを“カノコユリ”と分けて扱ったり、併せて
“カノコユリ”と扱われたりする。

草丈は1~1.5m。 葉は互生し、楕円形で先が尖っている。
花期は7~8月で、2~3個の芳香のある花をつける。 花は下向きに咲き、花被
片は反り返る。 花被片の基部には突起がある。 花の色は白色・桃色・紅色など
で、鮮紅色の斑点がある。 鱗茎は食用になる。

シーボルトがヨーロッパに持ち帰って紹介したところ大人気を博し、欧米などで品
種改良に使われ、オリエンタル・ハイブリッドと呼ばれる多くの品種が作られた。

(名前の由来)
花弁に鹿の子絞りに似た斑点や突起がある事から“鹿の子百合”と名づけられた。
“タキユリ”については生育する場所が崖で、滝とも呼ばれる事から“滝百合”と名
づけられた。


暑 い!

2008年07月24日 | 政 治
それにしても何日も雨が降らず、兎に角暑い! ヒマワリすら肩を落としている!
まして、遊びまわっているのがバレて、“畑の草とり刑”を喰らっているのでこと
さら暑さが堪える! 

世界も狂ってしまって、8月にはガソリンの値段が190円を超えるらしい。
1京7000兆円もあるといわれる、世界の“マネー”がアメリカに集まり、挙句の果
てに暴走している事が大きな原因の一つだと言われている。

それが、株式や不動産担保証券などへ投資されていたのだが、昨年10月のサブプ
ライムローン(融資残高約150兆円)の焦げ付を発端に住宅バブルが弾けて証券の
値段が暴落し、その証券を買った世界中の金融機関に大損害を与えたばかりか、そ
の影響が今年の5月からの株安につながり、投資先が無くなった“マネー”が新たに
原油や穀物を投機対象にマネーゲームをやっているから高騰するという訳だ。

サブプライムローン問題は、その後この証券の信用を保証したモノラインと呼ばれ
る保険会社にも及んだが、ここ暫くどうやら落ち着きを取り戻したかのように見えた。

ところがだ! 
ここに来て、信用力のある人達向けのプライムローンの延滞も増え始め、アメリカ
政府支援の民間会社“ファニーメイ”、“フレディマック”2社の累積赤字は5.6兆円
にも達し、経営不振が取りざたされ始めたという。
両社とも住宅ローン債権を買い取り、それを証券化し保証をつけて市場で売ってい
る会社で、保有又は保証している住宅ローン関連資産は約556兆円、その内の約160
兆円を海外の金融機関が保有しているそうだ。
どの金融機関も、米国政府支援の会社だからという事である程度安心して買ったの
だろうが、政府が保証をしているわけではないのでこの証券の値段が下がると、又
大損害を被る事になる!

日米の低金利政策で市場に溢れたお金が、かなりこの“証券”投資に使われたと言
い、それに加えて原油や穀物などへの投機にも使われているそうだ。

考えてみると、我々が銀行に貯金したり証券会社の商品に投資した、生活防衛の為
のなけなしのお金の一部も、このような不動産担保証券や原油や穀物などの投機に
回され、その他にも厚生年金などの一部も投機に回っているという事だ。

それが翻ってガソリンや穀物などの暴騰につながり、やがて証券の値段が暴落する
と銀行や証券会社からの配当の激減や元金割れにつながるのだからやりきれない!

しかも、世界の首脳が札幌に集まってご馳走をたらふく食べて話し合っても、この
投機を抑え物価を下げる事は全く出来ない! 今や世界は機能不全に陥っていると
しか思えない?

ますます暑さが堪えるという訳だ! 「政治家ども、しっかりしろ! 」だ!!


猫山地方の歴史

2008年07月23日 | 歴 史
猫山の麓の坂井谷(板井谷?)には“猫塚”があるという事なので、山から下りて
最初に出会った村人に聞いてみた。

ところが、
「さあ、山の姿が猫の寝姿に見えるから“猫山”と呼ばれているとは聞いたが、
 “猫塚”など聞いた事が無い」
と、要領を得ない。

ところが、耳寄りな話を聞いた。 
「山麓北の三坂には、伯耆の国からやって来てこの地を開いた、北村源之丞という
 人を祀った“北村神社”があるし、その北隣には嘗ての伯耆国と備後国の国境の
 番所があった」という。

ダボハゼとしては聞き捨てならず、早速行って見た。
すると、旧国道沿いに小さな社があり、
「北村神社は旧三坂村の開基、祭神は北村源之丞」と書かれていた。

境内には、半径5mの円内に6本の巨樹があり、昭和53年に広島県の天然記念物
に指定されていたそうだ。

その後枯れた為に今はイチイとトチノキの2本しか残っていないが、どちらも巨樹
であり、神社の歴史の古さを感じさせた。
イチイトチノキ

神社の直ぐ北隣には、石州瓦の立派な家があった。 嘗て番所があった所だそうだ
が、今は何も残っていない。 
番所というのは、江戸時代に設けられ、通行人などを見張ったり、積み荷の検査や
税の徴収などを行った場所で、それだけこの地が交通の要衝だった事を示している。

この地方ではどの家も屋号があり、このお宅の屋号はズバリ“番所”だった!

猫山西の新国道沿いの墓地には、“尼子家の墓”もあった。
いずれも、この地が国境の村で山陰と山陽を結ぶ要衝であった事が窺われ興味深い。

帰りに改めて北と南から猫山を眺めてみたが、どう見ても猫には見えなかった。
しかし、この猫山、むかし化け猫が住んでいて人を喰ったとか、山中に猫に似た石
がある(或いは人が願うと山中の石が全部猫に変わる)為にネズミが恐れた、など
の言い伝えもあるという。  面白い山だ! 



猫山の花達(4)

2008年07月22日 | 山野草
駐車場では、シモツケソウ・クサレダマが咲き始めていた。
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頂上では、ヒメユリ・イブキジャコウソウに加え、

ユウスゲ・ホソバシュロソウ・キバナカワラマツバなどが今を盛りに咲いている。
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未だウツボグサ・オカトラノオ・シライトソウ・カワラナデシコ・ママコナ・シモ
ツケ・ヤマツツジ・ヤマアジサイなども咲いているが、ワレモコウやオミナエシの
花が色づき始めた。

里は夏休みになったばかりだが、山にはもう秋が近づいている!


念願のヒメユリ!

2008年07月21日 | 山野草
6/27、7/2 と二度空振りだった猫山のヒメユリ、気にかかっていたが今日ようやく
逢いに行って来た。

駐車場に着くと、福山ナンバーの車が1台止まっている。  
急いで登って行くとトラバース道から尾根の登りにかかる所で4人組に追いついた。
もう花が終わっているのではないかと気が気でないので、お先に失礼して登った。

1時間15分で頂上に到着。 それにしても今日は蒸し暑かったァー!
暫く休憩していよいよヒメユリ探索に向かう。 気持ちが焦るばかりだ!

そして、ついにご対面だ! 今迄六十数年生きて来て、初めて野にあるヒメユリを
見る事が出来た!

やはり少し時期が遅く、もう花が終わったものが多かったが、未だ蕾のものもあった。 
(後で聞くと、開花は例年 7/10 前後で、自生地は盗掘を恐れて非公開なのだそうだ)

やはり、我が家のような里で咲いた花より、草丈は短くて20~40cmしかなく、花
の色は遥かに赤みが強くて綺麗だ!
無遠慮に顔を近づけてマジマジと堪能させて貰った。 それにしても綺麗な花があ
るものだ。 感動した! 

ヒメユリ(ユリ科、ユリ属)
本州以西で、山地の林内や草地に自生する多年草。 草丈は約50cm。
葉は長さ5cmくらいの細身で互生する。
花期は6~7月。 茎の先に径が約6~8cmで朱赤色の花を2~3輪つける。
花弁には濃い斑点がある。

(名前の由来)
全体的に小型で花の姿が美しい事から“姫百合”と名づけられたらしい。


ミニハス

2008年07月20日 | 園芸種
昨年4月に友人から貰ったミニハスが咲いた。
画像で見ると普通のハスと変わらないように見えるが、こちらは葉の直径が13cm
しかないミニサイズだ。

蕾の時からどんな花が咲くか楽しみにしていたのだが、咲いてみると花弁の先にし
まりが無く器量はイマイチの感じだった。

ハスは、古代に中国から持ち込まれたものだそうで、食用や観賞用に用いられただ
でなく、その花の気品のある美しさから仏像の台座(蓮華座)にデザインされたほど
で、古くから人とのかかわりの深い植物だ。

さて、我が家のミニハス、蓮華座には余りにも畏れ多く、食用にもなりそうに無い。
でも、訪れた人達には「可愛い!」と褒められ、株分けしてあげると大変喜ばれて
いる。 結構果報者だ!

福山城外堀遺構の保存

2008年07月19日 | 歴 史
この度福山市は、
福山駅前地下に見つかり撤去する予定であった、嘗ての福山城外堀遺構を保存する
事に方針変更するという。
新聞報道によれば、
・地下部分については、遺構はそのまま残しその南に送迎場を建設する。
・地上部は従来の方針通りにタクシーやバスの乗り場とし、利便性を確保する。
という事らしい。

そうなれば、今新幹線のホームから南に見える遺構は地下にスッカリ隠されてしま
い、殺風景なタクシーやバスだけを眺める事になる!

(新幹線ホームから見える外堀遺構→拡大)
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新幹線の北には福山城が見え、南に外堀が見え、その間を新幹線が通り抜けるとい
う姿の方がよほど絵になると思うのだが、政治家やお役人には経済の合理性しか考
えられないらしい。

将来の人口も、
2005年(12,777万人)から2055年(8,993万人)の50年間で約3800万人も減るとい
うのに、未だせっせと拡大路線を突っ走ろうとしているように見える。

多少不便でも良いから、もっと落ち着いた潤いのある世の中にギアチェンジする時
がやって来たのだと思うのだが、如何なものだろうか?
福山駅ホームから直ぐ北に見える福山城
福山駅南の外堀再現案(福山駅前水辺公園プロゼクトによる試案)



毛無山(2)

2008年07月18日 | 野外講座
昨日は、山野草の野外講座に参加した。
場所は、
一昨日行った“毛無山”の南にある“毛無山”で、吾妻山の南に位置し“福田頭”
とも呼ばれている山だ。 どうも毛の無い山が多くて紛らわしい!

山麓にある“公共の宿、かさべるで”に到着。
正面に見える山の向こう側の谷を福田頭と井西山との鞍部にある大波峠を目指し、
山麓から中腹の“二の滝”まで探索した。

その結果、私が初めて出会ったのは次の3種。 花の少ない時だけに余計に珍しく
感じた。
コイケマ
(ガガイモ科、カモメヅル属)
関東地方以西でやや湿った山地に
自生するつる性の多年草。
イケマよりやや小型なので、
“小イケマ”と名づけられた。
イケマはアイヌ語で大きな根の意。
花期は6~8月だが、画像は
未だ蕾。
アサギマダラの食草。
<>ツクシガシワ
(ガガイモ科、カモメヅル属)
中国地方以西でやや湿った林内に
自生する多年草。
茎は直立するが、先の方はつる状
になる。
花期は6~8月。 (→花)
名前は、筑紫に生育し柏に似た葉
を持つ事から名づけられた。
ミゾホオズキ
(ゴマノハグサ科、ミゾホオズキ属)
全国で山地の湿地や溝に自生する
多年草。

花期は6~8月。

名前は、溝に生えホオズキに似た
実をつける事からなづけられた。

その他にも特に珍しくは無いが、花や実の形の面白いものもあり、ツノハシバミ・
ヒメコウゾの実は熟すと食べられるという。 
試しにヒメコウゾを食べてみたが、結構甘みが強くて美味しかった!
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シオデの花(→葉)ツノハシバミの実(→葉)
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トチバニンジンの実(→葉)ヒメコウゾの実(→葉)



毛無山(1)

2008年07月17日 | 
昨日は、“里山を歩く”講座4回目に参加した。
今回は、暑さが厳しくなったので県北に舞台を移し、毛無山(標高:1144m)に挑
戦だ。

“公園センター”の前でバスを降り、イザ出発!
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“ひろしま県民の森”公園センター(→)六ノ原橋(→挑戦者達)

とマァ、ここまではカッコ良いのだが我が挑戦者達を後ろから見ると、俯いて歩く
姿にはお世辞にも覇気は感じられない!
おまけに、登山コースもなだらかで、標高差344m・往復4.4kmの超楽々登山だ。

という訳で直ぐに頂上に着いてしまった。

しかし、マァ恐れていた雨にも遭わず、景色も少し霞んでいたが西の猿政山は良く
見え、爽やかな風に吹かれながらノンビリ昼食を楽しませて貰った。

(猿政山、→天気が良かったら見える周囲の山々)
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山野草は、
ユウスゲがたくさん蕾をつけていたが、この花は夕方でなければ開花せず、僅かに
咲き残ったササユリだけが出迎えてくれた。 ここ暫く端境期で花は望めそうに無い!
ユウスゲササユリ



バレンギク(馬簾菊)

2008年07月15日 | 園芸種
今年の5月に、川上町のフルーツフラワーパークで買って来たバレンギクが咲いた。
名前の面白さに釣られたのだが、確かに花の姿が“馬簾”に似ている。(→拡大)
切花やドライフラワーにして飾るそうだ。
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バレンギク(キク科、ムラサキバレンギク属)別名:エキナセア、エキナキア、コーンフラワー
北アメリカ原産の常緑多年草。 草丈は60~150cm。
日当たり・水はけの良い所を好む。 耐寒・耐暑性は強い。
花期は6~9月で、花の中央の筒状花は盛り上がり、周囲の舌状花はやや下向きに
咲く。 花の色は、桃紫色・白色などがある。

インディアンが薬草として用いていたそうで、炎症や傷の治療の他に免疫力を高め
る効果もあり、ハーブティーとしても飲まれている。

(名前の由来)
菊に似た花の舌状花が下向きに咲く事から、馬簾(纏に下げた細長い飾り)に見立
てて“馬簾菊”と名づけられた。