里山の山野草

里山と山野草の復活日記。

クロカンパークの植物観察会

2010年06月07日 | 野外講座
昨日は、クロカンパークの定例の観察会に行って来た。
1週間前に行ったばかりなので特に目新しいものは無かったものの、スズランの花が
かなり咲き揃っていた。 
日本でも有数の群生地として有名で、前日にも百人を超す団体がやって来たらしい。

少し変わった蕾も頭を持ち上げていた。 ラン科の腐生植物のツチアケビで、毎年
どこで発芽するか分からないのだそうだ。

もうひとつ、山中で非常時に役立つ“木の葉”というのも、面白かった。
ハクウンボクと言い、葉に非常に短い毛が密生している為に軟らかく、切羽詰まった時
に紙代わりに使えるらしい。 成る程軟らかい。 良く覚えておくとしよう!

次は薬草達。
・先陣のイチヤクソウは、効能が一つしかない為に“一薬草”と呼ばれている訳では無
 さそうだが、虫刺されに生葉の汁を塗ったり、花期に陰干しした物を利尿薬として用
 いるという。
・2番手のドクダミは、十種の効能があるので“十薬”と呼ばれると言う説もあるそう
 で、抗菌性がある為に虫の刺し傷や疔瘡に効くという。
イチヤクソウ(イチヤクソウ科、イチヤクソウ属)ドクダミ(ドクダミ科、ドクダミ属)

五月蝿い女房向けの薬草には、
・常備薬としてはカノコソウがお勧め。 ヒステリーの鎮静剤として効果があるそうだ。
・極めつけは言うまでも無くトリカブト。 
 致死量を口にすると殆ど助からない猛毒だそうだが、ごく少量を用いれば鎮痛・強壮
 昂奮・新陳代謝亢進などの効果があるという。 正に毒と薬は紙一重だ!
カノコソウ(オミナエシ科、カノコソウ属)タンナトリカブト(キンポウゲ科、トリカブト属)

最後は、毎度お馴染みの花達だ。
キンラン(ラン科キンラン属)ササバギンラン(ラン科、ギンラン属)
ヒメザゼンソウヒメザゼンソウ(花)



クロカンパーク植物観察会のお土産

2010年05月06日 | 野外講座
観察会の帰りに、何時も行く哲西町の山野草専門店に念の為に寄ってみたところ、やは
り予告通りに閉店していた。 
仕方が無いので、向かいの“道の駅鯉が窪”を覗いて見ると、運よくカザグルマがあった
ので1鉢ゲットした。

次いで油木町まで帰って“百彩館”では、何とさっき見て来たウスバサイシンを1鉢ゲット
する事が出来た。
ちょっとタイミングが良すぎるので、「ひょっとして…?」と思われる向きがあるかも知れ
ないので、せめて値段だけでも載せておきますが、カザグルマは560円、ウスバサイシン
は600円でした。



クロカンパークの植物観察会(2)

2010年05月05日 | 野外講座
講師のMさんが「“道後山高原合宿センター”の傍にウスバサイシンが咲いている」と
言われたので、道後山高原荘で昼食を済ませて早速行って見た。

“道後山高原合宿センター”は、今年から“道後山高原サービス”が廃校となった三坂
小学校を借りて開設したもので、クロカンパークの直ぐ東側の目と鼻の先にあり、
H3年に建てられた実に新しく感じる、廃校のままにしておくには勿体無い建屋だった!

1階には、嘗ての給食室がそのまま綺麗に残されており近くには幾つかの食堂もあった。

2階に上がると、一角にはジム機器が幾つか置かれ、大小の宿泊用の部屋が並んでいた。
大部屋を覗いて見ると蚕棚のような2段ベッドが幾つも並んでいて、我々のような老人
には少し辛い感じだ。

Mさんに話しを聞いてみると、
「道後山高原荘の方は裕福な実業団が合宿に利用しているが、学生さん達には厳しいの
 で、こういった形を我慢して貰ってリーズナブルな料金で合宿して頂いている」
「夏だけの営業で、シャワーのみで風呂はありません」
「因みに、1日当たりの利用料金は、宿泊大人2,000円(小人1,500円)+3食2,500円で
 今も、小部屋の方では昨日から何名か宿泊して頂いている」
のだそうだ。

クロカンパークと言い、この廃校と言い、事業としてはとても成り立つとは思えない。
行政から支払われる管理費用も僅かなものだろうが、過疎化に悩む住民としては、藁に
もすがる思いで引き受けて頑張っているのだろう。
行政の尻拭いをさせる住民に、少しでも協力してあげたいと思わずには居られなかった!

この合宿センターを拠点にした、近くの道後山や猫山などでの観察会や、その他の興味
がある催しが開かれる時には是非参加したいと考えている。

さて、このウスバサイシン全国のやや湿った林内に自生する多年草で、葉が薄く、根が
細くて味が辛い事から“薄葉細辛”と名づけられ、根茎を細辛という生薬(解熱、鎮痛)に
用いるという。 カンアオイ属、ウスバサイシン属などと書かれているが、いずれにし
てもカンアオイに良く似ている。 
>
ウスバサイシン花の正面→横顔



クロカンパークの植物観察会

2010年05月04日 | 野外講座
一昨日は、クロカンパークの植物観察会へ行って来た。
この観察会は、“道後山高原サービス”のMさんが講師を務め毎年5~7月と9月の
第一日曜日に行われているもので、私にとっては一年ぶりの参加だ。 

クロカンパークというのは、道後山の西側山麓へ西城町が造ったもので、ホテル・温泉
と、体育館・陸上競技用トラック・クロスカントリーやパークゴルフ用のコース・自然の
散策コースを一体にした広大な施設だ。

先ず、ゲートを潜ると右手に大きなペガサスのモニュメントが出迎えてくれる。
織田幹夫さんを記念して建てられたと記憶しているが、確かではない。

直ぐに左手前方に建物群が見えて来るが、お役人達が造ったここの設備もご多分に漏
れず経営不振で、今は会社などを指定して経営に当たらせているそうで、
ホテルと温泉(ひば・道後山高原荘)は西城町の会社が経営し、体育館・その他の運動
施設・自然の散策コースは“道後山高原サービ”という地域住民達が出資する会社が経
営に当たっているという。
ホテル・温泉、体育館の一部(右端)体育館

さて、体育館よりいよいよ出発だ。
管理棟へ向かう途中で先ず出迎えてくれたのはムシカリ(拡大)の花。

今年は天候不順で未だ花が遅れている中で貴重な花だ。
臭いを嗅ぐと、かすかに甘い香りがする!
その足元にはヒメザゼンソウが発芽しており、昨年の実をつけたものもあった。
(今年の開花予想:5/15~5/20)

発芽時はウバユリに似ているが毒草で、冬眠から覚めたツキノワグマが食べるのだそうだ。
管理棟周辺では、植栽したコブシの花が咲いていた。

タムシバに良く似た花だが、コブシの花の付け根には葉がついているので見分けられる。
管理棟からは、反時計回りにほぼ外周に沿って回った。

陸上競技場の東側外周沿い(案内図では下側)には小川が流れていて、オオサンショウウオガがたくさん生息しているそうだ。
後ろを振り返ると、管理棟越しに猫山が見える。

この山では、例年7月10日頃になるとヒメユリの花を見る事が出来る。
>小川沿いで目に付いたのは、オオタチツボスミレ(→拡大)だ。

タチツボスミレに似ているが、距の色が白いのが特徴だ。

うすい衣で天ぷらにして、コシアブラやタラノメなどの天ぷらに添えると彩が美しいのだそうだ。
>川沿いを離れて西(案内図では上)のスズラン群生地にに向かう。
この一帯の平均気温が青森や北海道と同じなので、北国の植物が多く生育しているそうで、未だスズランは発芽していないが、ヒトツボクロと(→)フデリンドウが見つかった。
ヒトツボクロは、松が生えている雑木林でよく見かけるそうだ。
次は、本日のメインイベンターのサクラソウだが天候不順で開花が遅れ、今年の開花は5月15日前後の予想だそうだ。

このサクラソウ、川の流れが種を運ぶそうで、小さな流れの傍で群生していた。
サクラソウが群生する湿地には、バイケイソウがたくさん発芽していた。

バイケイソウの汁をご飯に混ぜて置いておくと、ハエが食べて死ぬ事から“ムシトリグサ”等と呼ばれるそうだ。

という訳で、アッという間に観察会は終了した。 5月15日頃に、ヒメザゼンソウや
サクラソウ、サクラスミレなどを見る為にもう一度行ってみる予定だ。


皿ヶ峰の宿題

2009年05月09日 | 野外講座

ところで、皿ヶ峰には珍しい植物があった。 “ヒマラヤの青いケシ”だ!

(ヒマラヤの青いケシ→蕾)
>

一昨年の2月、岡山の山草会で“ヒマラヤの青いケシ”の苗を買って来たのだが、
咲いて見ると何と橙色の“カンブリカ”と言うヨーロッパ原産の品種で、大変ガッ
カリした経験があるだけに興味津々だ!

さて、問題は開花時期だ。 どうしたものか悩ましい!
>
ヒマラヤの青いケシ?の蕾(→花)ヒマラヤの青いケシ?の葉

帰りの来島海峡SAでは面白い話?を聞いた。 
この5月連休で観光客がドット押しかけ、食堂の従業員がテンヤワンヤの大騒動を
するほどだったらしい! 

しかし、この観光客達、「千円は有難い、麻生さんありがとう!」などと単純に喜
んではいられない。
この値下げによる高速道路会社の減収は国が補填する事になっていて、その額
は五千億円にもなるらしい。 
そうでなくても借金だらけの国の財布、直ぐに消費税増税で大きな利子をつけて
取り戻されてしまいそうだ! クワバラ クワバラ!

(来島海峡SA)



皿ヶ峰で出合った花達

2009年05月08日 | 野外講座

皿ヶ峰には実に様々な花達が咲いていて、初めて出合った花もあった。

先ずは、ミツバコンロンソウ。 
コンロンソウも群生していたが、それにくらべて背丈が低く、上から写すのがやっ
とだった。
ミツバコンロンソウ(3小葉)コンロンソウ

次は、コミヤマカタバミ。
普段よく見るミヤマカタバミにくらべると小型で、花の中心部が黄色だ。
>
コミヤマカタバミ(→花)広島県北のミヤマカタバミ

次は、ミツバテンナンショウ。
普段よく見かけるムサシアブミに似て小葉の数が3枚だが、ムサシアブミより遥か
に小型だった。
>
ミツバテンナンショウムサシアブミの葉(→花)

次は、ネコノメソウの仲間2種。
>>
イワボタン、別名:ミヤマネコノメソウ(→花)コガネネコノメソウ(→花)

次は、アワコバイモの実とクロフネサイシン。
>
アワコバイモの実(ピンボケ!)クロフネサイシン(→花)

後は、ワチガイソウ・エイザンスミレ・ジロボウエンゴサク・イチリンソウ・ヤマブ
キソウ・ルイヨウボタンなどのお馴染みの花達だが、何といってもハシリドコロ
の群生には驚いた。 未だ咲いていないがトリカブトも随分多かった。
濡れ落ち葉が邪魔になったご婦人方には格好の場所だ!
>
ワチガイソウエイザンスミレ(→花)
ジロボウエンゴサクイチリンソウ、ヤマブキソウ
>>
ルイヨウボタン(→花)ハシリドコロ(→花)

そして、アッという間に目的地の龍神平に到着した。



シコクカッコソウ

2009年05月07日 | 野外講座
今回の野外講座は、愛媛県の皿ヶ峰(標高:1,270m)。

標高950mの駐車場から龍神平(標高:1150m)を目指す登山道は、良く整備され
ていてしかもなだらかだった。 
その上に、北側斜面なので登山道脇には実に山野草が多く、正しく山野草の宝庫だ
った!

そして、ついに今日の本命“シコクカッコソウ”に出合った。 

サクラソウの仲間だけにクリンソウやサクラソウと花の形が良く似ていて美しい。
自生しているものを見るのは初めてだっただけに感動した!
シコクカッコソウクリンソウサクラソウ

シコクカッコソウは花の中央の喉の部分が紅紫色だが、群馬県に自生しているカッ
コソウは赤黒いのだそうだ。

シコクカッコソウ(サクラソウ科、サクラソウ属)
愛媛県や徳島県で山地の林内に自生する多年草。 草丈は10~20cm。
長い柄の先に径が5~12cmで広円形の葉をつける。 基部は心形。
葉の縁は浅く裂けていて表面には皺があり、葉や葉柄や花茎には毛がある。
花期は4~5月で、長く伸びた花茎の先端に径が2~3cmで紅色の花を5~10個
つける。 花弁はハート型で基部はつながっていて筒型。

(名前の由来)
カッコソウの仲間で、愛媛県などに自生するので“シコクカッコソウ”と名づけら
れた。
カッコソウについては、
 ・郭公の鳴く頃に咲くから“郭公草”と名づけられた。
 ・鞨鼓(鼓の一種)に似ているから“鞨鼓草”と名づけられた。
 ・花の色が紅色なので、勝れた紅色の草という意味で“勝紅草”と名づけられ、
  それが訛って“カッコソウ”となった。
などの諸説があるそうだ。


灰塚ダムのセツブンソウ、ユキワリイチゲ

2009年03月13日 | 野外講座
今回の山野草講座では三次市三良坂町の灰塚ダム周辺で、
 ①ハイヅカ湖畔の森→②灰塚ダム→③知和ウエットランド→④きさ安田パークゴ
  ルフ場の順に回り、山野草や野鳥を楽しんだ。


ダムを目指して谷を進むと先ず出迎えてくれたのがカザグルマ。
花弁だけでなく、種子にくっついたヒゲまで文字通り“風車”の形をしている。

次は、ユキワリイチゲ。 今年は急に暖かくなった為か花の盛りを過ぎている。
一帯には、ダム建設で水没する予定だったカタクリを住民達が移植した群生地もあ
るのだが、こちらの方は未だ逆に時期が早すぎるようだ。

直ぐにダムの堰堤に到着。
堰堤の内部(→)はまるで博物館の様になっていて、エレベーターで堰堤上部の
道路へ上がる事も出来る。
ダムは、下流の三次盆地を水害から守る事を主眼に造られたらしいが、その必要性
といい、構造といい、一寸疑問符のつくような感じがした。
>

次は、知和ウエットランド。
内部には、望遠鏡などが用意されていて水鳥の観察をする事が出来るし、学芸員の
説明も聞く事が出来る。 少し離れた所には観察小屋もある。
しかし、マクロレンズなので写真はゲット出来なかった。 残念!
>

最後は、セツブンソウとユキワリイチゲの群生地と→花達。
花は共に時期遅れの為にイマイチ冴えないが、相当大きな群生で管理も行き届いて
いた。 住民の皆さん達に感謝!
>
>



神 鹿

2009年02月14日 | 野外講座

宮島では鹿が背伸び出来る高さまで植物は無い。 
全部鹿が食べてしまったからだそうで、民家などはその食害から守る為に周囲を
金網や柵で自衛しているほどだ。

そんな訳で、お弁当を食べていると沢山の鹿がやって来て食べ物をねだる。 
それが実にしつこい。 いくら追っ払っても逃げない! 
よほどひもじいのだろうか今日の資料を食べられる者も出る有様で、とんだ神鹿だ!

しかし、例外もある。
植栽してあるキョウチクトウや、自生しているアセビ(白花→桃花)、シキミなどだ。
理由は簡単だ。 それらの木には毒があるからだ。
>

(毒 性)
特に、キョウチクトウは青酸カリを上回るほどの猛毒(致死量:0.30mg/kg)で、
全ての部分に毒性があり、この小枝に肉を刺して焼いて食べた人が死んだ例もある
そうだ。 又、燃やした煙も有毒なので注意が必要。 但し腐葉土にすれば無毒。

アセビの茎や葉は、ウマやウシが食べると中毒し酔ったようになるといわれ、馬酔木
の字があてられている。 また、鹿が食べると角を落とすともいわれている。
煎汁は家畜や栽培植物の害虫駆除に使われていた事がある。

シキミは、植物体全体に有毒物質を含み、特に果実に多く含まれる。
シイの実に似ている為に誤って食べて死亡した例があるほどで、シキミの果実は植
物としては唯一、劇物に指定されている。

いずれも人間にも有毒らしい。 クワバラクワバラだ!


厳島合戦跡

2009年02月13日 | 野外講座
今月の山野草講座は“安芸の宮島”。

嘗て、毛利元就はこの島に宮尾城を築いて当時周防の大内義隆を討って実権を握っ
ていた陶晴賢をおびき出し、僅か四千の軍勢で見事勝利し中国地方制覇への道を開
いたのだそうだ。
(厳島合戦の布陣)
1555年、2万余の軍勢を率いた陶晴賢は塔の岡付近に布陣し300余の毛利勢が守る宮尾城を攻撃。
城兵はよくもちこたえ、やがて包ヶ浦に上陸し山越えした毛利本隊が背後から急襲するのに呼応して陶軍を壊滅状態に陥らせた。
陶晴賢の重臣・弘中隆包父子は晴賢を西方の大元浦に引かせ、瀧小路を背にして吉川元春(元就の次男)に対峙するも防ぎきれず、民家に火を放って大聖院から駒ヶ林に退却。
この時、吉川元春は「弘中は逃がしても神殿を焼かすな!」と、命じたという。

当時の武士は神仏への信仰が篤く、元就は戦後血で汚れた厳島神社の社殿を洗い清
めさせたり、島内の血が染み込んだ部分の土を削り取らせたほどという。

ともあれそういう訳で厳島神社は守られ、今では日本三景の一つに数えられ世界遺
産にもなった。 清盛様、毛利様、様だ!

(千畳閣の下から見た大鳥居→厳島神社)
>

(人力車)

(多宝塔から見た大鳥居→厳島神社とその後方の千畳閣、五重塔)
>

一方、1553年に主君大内義隆を討ち周防の実権を握った陶晴賢、
弘中隆包の「厳島は平地が少なく大軍を擁しての戦いは危険」と諌めるのを無視し
て合戦に及んだ挙句、実権を握った2年後には自刃の憂き目にあってしまった。

何を惜しみ 何を恨みんもとよりも この有様の定まれる身に」の辞世を残した
そうだが、現代の政治家や経営者の中にも部下の進言を聞かずに大失敗をしでかす
輩が多く、人間というのはあまり進歩しないらしい! 残念な事だ!