里山の山野草

里山と山野草の復活日記。

フジウツギ科、フジウツギ属の仲間

2006年07月31日 | 花 木
我が家では、7月初めからフサフジウツギが咲き続けているが、それに続いて
フジウツギもようやく咲いた。
どちらも落葉性低木で、花自体は小さいが穂状に咲くので大きな花に見える。
フサフジウツギフジウツギ(マウスオン)

フサフジウツギ(房藤空木)
中国原産で、5mくらいになるらしい。
径が8mmの藤色の花を穂状に沢山つけ、穂の長さは20cmくらいになる。
流通名をブットレア、バタフライブッシュ等と呼び、白色、赤紫色、濃紫色、
黄色もあるそうだ。
フジウツギ(藤空木)
木の高さは1.5mくらいで、東北地方~兵庫県の太平洋側の日当たりの良い
渓流沿いに自生しているらしい。
径が5mmの赤紫色の花を一方の側だけに沢山つけ、穂の長さは15cmくら
いになっている。
枝葉は有毒で、これを砕いて水に流すと魚は中毒して浮いて来るので“酔魚草”
とも言うのだそうだ。


キツネノカミソリ(ヒガンバナ科、ヒガンバナ属)

2006年07月30日 | 庭の山野草
ヒガンバナ属は、いずれも葉をつける時期と花をつける時期が異なる変わった植
物だ。
家にある2種類は、どちらも葉は早春にが出て夏前に枯れ、その後8月~9月に
花をつける種類で、丁度今咲き始めた所だ。
キツネノカミソリナツズイセン

キツネノカミソリ
本州~九州の、日が当たりやや湿り気のある山野に自生する多年草。
名前の由来は、葉をカミソリに見立てて、狐が使うカミソリと言う意味で
“キツネノカミソリ”と名付けられたそうだ。
生育に適した場所へ行くとビッシリ生えており、一瞬カミソリを持った狐の団体
に襲われる恐怖を感じるほどだ。
関東以西には、雄しべと雌しべが花弁から長く突き出て、花も大型の
“オオキツネノカミソリ”と言う種類もある。
ナツズイセン
中国原産で、昔渡来した物が一部野生化して人里近くの日当たりの良い草地に生
えて居るが、普通は観賞用に栽培されている。
別名は、リコリス、ケイセイバナ、ツツラ、ピーピーグサなどと呼ばれているそうだ。


バン(クイナ科)

2006年07月29日 | 動 物
近くの菱原池で、数メートル先に逃げようともせず悠然と歩いている鳥が居た。
調べて見るとクイナ科のバンで、沖縄に住むヤンバルクイナの親戚だそうだ。
人馴れしやすい鳥らしいが、ここまで人間に近づく野鳥も珍しい。

この菱原池の周辺は、今は400軒ばかりの戸建住宅が建つ団地になってしまい
池も随分汚くなってしまった。
私の子供の頃には、池は丘に囲まれ、湧き水が豊富な綺麗な池であった。
私達は、
池の中央に丘がせり出して居て、上空から見るとまるでパンツの様に見える事か
ら“猿股池”と呼び、夏休みになろうものなら1日中泳いだものだが、今は見る影
も無い。


バ ン
世界中の熱帯から温帯にかけて分布。
日本の関東以南では留鳥として生息。
本来淡水の湿地に生息するが、
最近は公園の池などにも住んでいる。

大きさはハトより少し大きい。



ママコノシリヌグイ(タデ科、イヌタデ属)

2006年07月28日 | 山野草
10日近く降り続いた雨が止んだと思ったら、急に快晴の真夏がやって来て3日
目。 慣らし運転する間も無く本番なのでさすがに良く堪える。

元気なのは夏草だけで、ママコノシリヌグイも咲き始めた。
ママコノシリヌグイは、日本全国の林縁や湿地に生育する1年草で、つる性の四
角い茎には下向きの刺があり、触ると非常に痛い。
名前の由来は、継子の尻を拭く草と言う意味で“ママコノシリヌグイ”と名付け
られたそうで、継子と言うのはそれ程憎いものらしい。
葉と茎

刺は本来、他の植物に引っ掛けて上に成長したり、引っこ抜かれるのを防いだり
する為に身につけた高度な能力なのだが、根性の悪い人間様の気持ちをそのま
まストレートに植物名にされたのでは堪ったものではない。
根性悪の名前を押し付けられた方はさぞ迷惑している事だろう。

昨今は、“ママコノシリヌグイ”など可愛い方で、親が子供を投げ落として殺し
たり、子供が親を焼き殺したりする御時世になってしまい嘆かわしい事だ。
どうも、小泉さんの時代になってから、“全て市場にお任せ”の“資本原理主義”
とか言う方式に変えたものだから、
「強い者が勝つ」 「金の為なら何をやっても良い」と言うやり方が定着してしま
い、世の中の仕組みも人の倫理も壊れかかっている感じがする。
どこかで国民が「No!]と言わなければ、日本は間違いなく崩壊してしまうだ
ろう。

ミゾカクシ(キキョウ科、ミゾカクシ属)

2006年07月27日 | 山野草
今、田圃の畦にミゾカクシがビッシリ花を咲かせている。
草丈は10~15cm、花は1cmしかないが、5枚の花弁が下に偏った面白い
形をしている。
名前の由来は、茂って溝を覆ってしまう事から“ミゾカクシ”と名付けられ、
田圃の畦に広がる様子をムシロに見立てて“アゼムシロ”とも呼ぶそうだ。


場 所:日本全土の田圃の畦や溝。
花 期:6月~10月
花 色:淡紅色を帯びた白色。




ヒルガオ(ヒルガオ科、 ヒルガオ属)

2006年07月26日 | 山野草
今、川土手でヒルガオが沢山咲いている。
北海道から九州まで自生している多年性のツル植物で、朝顔に似た花が昼間に
咲くから“ヒルガオ=昼顔”。  実に分かりやすい名付け方だ。
同様の発想で名付けられた植物には、
本家のアサガオのほか、ユウガオ(果肉を紐状にそいで干した物が干瓢)や、
ヨルガオ(園芸種で、流通名はややこしい事にユウガオ)などがある。

分     類名 称原 産 地開 花花色
ヒルガオ科、サツマイモ属アサガオアジア早朝~昼種 々
ヒルガオ科、ヒルガオ 属ヒルガオ日本~東アジア昼間淡紅色
ウ  リ 科、ユウガオ 属ユウガオアフリカ、熱帯アジア夕方~朝白 色
ヒルガオ科、ヨルガオ 属ヨルガオ熱帯アメリカ夕方~朝白 色

このヒルガオ、花は色も姿も優しい感じがするが、やや太目の白い根っこが実に
曲者だ。
これが畑に生えたが最後、鍬で根を丁寧に掘り取らなければ大変な事になる。
何しろ根が千切れると、その切れ端から全部芽が出て来るのだから堪らない。
耕運機で耕そうものなら、畑中ヒルガオだらけになってしまうほど生命力が旺盛
なのだ。
人間の世界にも、表面はにこやかに装いながら裏に回るとあくどい事をする人が
多いが、ついこんな連中を連想させるほどだ。
蕾と苞葉


畑の厄介者、アップルミント(シソ科、ハッカ属)

2006年07月25日 | 園芸種
アロマセラピーと言う療法があって、花や木などの天然の香りで嗅覚を刺激し、
ストレスを解消したり、心身をリラックスさせたりするのだそうだ。
アップルミントもそのひとつで、おまけにハーブティーにしたり、料理の香り付
けにも用いられるのだそうだ。

…、と言う友人の能書きに釣られ、貰って畑へ植えてみたがこれが大失敗。
猛烈な勢いで根を横に伸ばした後、至る所で芽を出して来る。
肝心な香りは、ただ嗅ぐだけだとリンゴに似た(?)マァマァ許せる香りがする
が、口にすると微かなミントの清涼感があるのだが、嫌な臭気の方が鼻について
我慢できない。

こんな訳で、畑に広がったアップルミントの嫌な臭いを嗅ぎながら引っこ抜いて
いる始末で、私にとってはどうやら逆の療法になってしまい、ストレスが溜まる
一方だ!


名前の由来:葉からリンゴに似た香りがする事
      からアップルミントと名付けられた。
別   名 :マルバハッカ(丸葉薄荷)。
原 産 地 :地中海沿岸~ヨーロッパ。



ヤイトバナ(アカネ科、ヤイトバナ属)

2006年07月24日 | 山野草
日本全土に分布するつる性の多年草で、花の中心がお灸の跡に似ている事から
名付けられたそうだ。
しかし、世間ではヘクソカズラ(屁糞蔓)と呼ばれる事の方が多い。
葉を揉むと組織が傷つき、揮発性のメチルメルカプタンと言う悪臭物質が出て来
る事から、つい品の無い名前の方が定着したらしい。
ヤイトバナにしてみれば迷惑な話で、実際は(動物で言えばスカンクの要領で)
虫などが葉を食べようとすると悪臭を発生させて退散させると言う高度な防衛手
段を持った植物なのだ。

別名は、打って変わって可憐な名前で “サオトメバナ(早乙女花)”。
花を並べて、早乙女が田植えをしている姿に例えたそうで、これほど両極端の名
前を貰った植物も珍しい。
私などは子供の頃川で泳ぎながら、垂れ下がった蔓の先で咲いている花を取って
蜜を吸ったり、花の先端を舐めて鼻にくっつけて「天狗だ!」と言って遊んだもの
で、むしろ“テングバナ”と名付けたいくらいだ。


コムラサキの戦略(クマツヅラ科、ムラサキシキブ属)

2006年07月23日 | 花 木
庭のコムラサキが6月の終り頃から、ずっと咲き続けている。
一気に花を咲かせずに、枝元から枝先に向かって1ヶ月も掛けて順番に咲いて
いる。 気候変動などで実が全滅する事の無いように保険を掛けているのだ。
植物の中には発芽時期を変える事で保険を掛ける種類もあるが、コムラサキは
開花時期を変える方法を選んだらしい。
なかなかの知恵者だが、お陰で庭中コムラサキだらけになっている。
6/307/23

名前の由来は、ムラサキシキブ(樹高3~5m)より小型(樹高2m)と言う
意味で、“コムラサキ”と名付けられたそうで、本家の方は美しい紫色の実の
様子を紫式部の名前を借りて表したのだそうだ。

ムラサキシキブの仲間はいずれも綺麗な紫色の実をつけ良く似ているが、次の
様な差があり、この中ではヤブムラサキに葉に金を集める能力があるそうなの
で、葉の金濃度が高い所へは金鉱脈があるかも知れません。
金鉱探しでもされたら如何でしょう…?

名  称茎や葉の毛葉の鋸歯花柄のつく位置
ムラサキシキブ少ない全体にある葉柄の付け根で葉より上に立つややまばら
コムラサキ無 し中程より先葉柄の付け根より少し離れて葉より上に立つボール状
ヤブムラサキ多 い全体にある葉柄の付け根で、葉より下に下がる少し大きい

コオニユリ(ユリ科、ユリ属)

2006年07月22日 | 庭の山野草
庭のコオニユリが咲いた。
私の山でイノシシが食べ残した数球を、自宅へ持ち帰って育てているのだが、
自然界では全国のやや湿った山地に自生する多年草だ。

コオニユリの名前の由来は、オニユリより小型と言う意味で名付けられたそう
だが、背丈はオニユリと変わらない。
オニユリと異なる点は、花が小型で葉は狭い、茎には紫色の斑点が無い、葉腋
にムカゴをつけない等で、一目見ただけで見分けられる。

因みに、オニユリの名前の由来は、小さく可憐な花をつけるヒメユリに対して
赤黒色の斑点が入った花を鬼に見立てて名付けられたそうだ。
確かに、あの後ろに反り返った花の形がそもそも品が無いのに加え、赤黒い斑
点はより下品で恐ろしい感じすら与える。  言い得て妙な名前だ。
開花初期(早朝の一瞬)開花後(すぐ反り返る)

所で、このコオニユリ、岡山理大・波田研の植物雑学事典によれば、
「コオニユリなどの球根を作るユリの仲間は採取して庭などに植えると、数年は
 どうにか生育しているが、3年目頃から消失してしまうことが多い」
「野にあってこその美しさであり、栽培植物と比べると負けてしまう。野に生
 えたままで観てやりたいものである」
と、記載してあった。

正しくその通りなのだが、人間でも食べられるくらいだから山に返せばイノシシ
が待ち構えているし、里に残せば消えてしまうでは…、まるでハムレットの心境だ。

いっそ、家のオオオニヨメと一緒に山へ移すとするか?
そうすれば、私も毎日ガタガタ言われずに済むし、少しはイノシシへの脅しにも
なるだろう…!?。