里山の山野草

里山と山野草の復活日記。

星居山で出合った山野草

2011年08月30日 | 山野草
星居山森林公園のゲート手前の道路脇にはヒゴタイの花が植えてあった。
神石高原町の花” に指定されているので植えたのであろうが、こんな直射日光の当たる場所で育つとは知らなかった。
我が家では玄関先の日陰に置いているせいか、元気がなく花が咲く気配もない!

ゲートを潜った所にある “モリアオガエル自生地” には、睡蓮が植えてあり綺麗な花を咲かせていた。
山野草は、少ない時期なのでヤマジノホトトギスしか見当たらなかったが、それでも至る所に咲いていて楽しませてくれた。



神秘に包まれた星居山

2011年08月29日 | その他
神石高原町の星居山(ほしのこ山、標高835m)には、
「今から約1400年前に “三つの星” が降って来た」
という言い伝えがあるそうで、面白そうなので訪ねてみた。

駐車場に到着。   右側にドコモの中継塔が立っているのが山頂だ。
一帯は“星居山森林公園”として整備され、研修施設や遊具、テニスコート、キャンプ場、バンガローもあり、訪れる人は若い家族が多いようだ。

受付で入園料300円を支払う。

領収書には、
「有限会社三和農業公社之印」が押されていたが、聞いてみると、
ここも嘗てはお役所が経営していたのが行き詰まり、今は地元の有志の人達が主体で経営しているそうだ。
いずこも同じだ!
受付棟の裏手に回り、先ず“星の池”を覗いた。
ほんの水溜り程度の池だが、
「孝徳天皇の時代645年に、この地一帯に星が
 降り、それを伝え聞いた天皇が自ら来訪し、
 天から降った“三つの玉”を祀ってこの山を
 “星ノ居山”と命名した。
 又、聖武天皇が726年に行基と来訪した際に
 も“三つの星”が降って来た」
という言い伝えがあるらしい。
ゲートを潜り、遊具の間を通り抜け、
いよいよ登山開始。

登山道は良く整備され、登りも緩やかだ。
あっという間に山頂に到着した。

展望台からは360°の視界が開け、東に瀬戸大橋、北に大山、南に四国連山が見えるらしいが、案内図を見てもサッパリ分らない。
展望台の脇には三角点があった。

標高は835mで、広島県下92番目だが、神石郡では一番高いそうだ。
その隣には宝篋印塔(ほうきょういんとう)があった。
墓塔・供養塔などに使われる仏塔の一種で、嘗て孝徳天皇の御陵所だったという説と、性空上人(※)の廟所として1,005年に建立されたという説があるらしい。
 ※平安時代中期の天台宗の僧で山
  岳で修業した後に書写山・圓教寺
  を創建した。
登って来た登山道の反対側へ少し下った所へは精土山星居寺という小さなお寺があった。
真言宗醍醐派に属し、嘗て多くの天皇が参詣したとか、多くの僧侶が修行した、と伝えられているそうだ。
古くから山岳仏教の聖地として崇められ、中世まで女人禁制の山とされていた星居山も、修験者の減少とこの地方の過疎化でスッカリ廃れてしまい、今は見る影も無い!
車で帰る途中、道路脇の林内には
性空上人の硯岩なるものもあった。

星居山に、このような色々な言い伝えがあるのを初めて知った。
三つの星”の痕跡も無く、修験道の隆盛も不確かな話だが、神秘的な話を楽しませて貰った!

修験道
日本古来の山岳宗教と、神道・密教(仏教)・道教(中国古来の民間信仰)などが
結びついて平安末期に成立した宗教で、霊験を得る為の山中の修行と加持・祈祷、
呪術儀礼を主とする。
明治政府の“神仏分離令”で廃止されたが、その後仏教系と神道系に分かれ、現在
でも信仰されている。
 ※加持祈祷:病気・災難などを払うために行う祈祷又は儀式。
 ※呪 術  :神や精霊などの超自然的な力や神秘的な力に働きかけ、種々の願望
         を叶えようとする行為及び信念。
 ※開 祖  :役小角(神変大菩薩)。 生没年は不詳。
         奈良時代に大和国葛城山で修行し吉野の金峰山や大峰山などに霊場
         を開いたが、文武天皇(697~707年)の時に讒言によって一時伊豆
         に流された。


マルバノホロシの花

2011年08月28日 | 庭の山野草
野鳥が運んできたらしい、もうひとつの花はマルバノホロシ。
ヒヨドリジョウゴに似て木に近いような茎をしていて、秋になると同様に赤い実をつける。
花弁がそっくり返るところまで同じだが、何の為にそんな姿になるのか不思議だ!

マルバノホロシ、丸葉の保呂之(ナス科、ナス属)
本州以西で林縁に生育するツル性の多年草。
葉は互生し、長楕円形で先は尖り全縁。  茎葉ともに無毛。
花期は8~9月で、先端近くの葉腋に集散花序に淡紫色の花をつけるが、5枚の花弁は
次第に反り返る。  秋に、球形の実が熟すと赤くなる。 有毒。
〔名前の由来〕
葉に切れ込みが無い事から“丸葉”と名づけられたが、“ホロシ”については、
 ・ヒヨドリジョウゴの古名であるとする説や、
 ・赤い実がホロシ(湿疹、蕁麻疹)に似ているからとする説などがある。

〔良く似た仲間〕
植物名
葉の形
葉や茎の毛
マルバノホロシ長楕円形茎葉ともに無毛
ヤマホロシ卵状披針形で下部の葉が分裂若い葉の表裏に短毛
ヒヨドリジョウゴ卵形で、全縁又は3~5裂茎葉に軟毛



ヒヨドリジョウゴの花

2011年08月27日 | 庭の山野草
玄関先で、植えた覚えはないのに、朝顔に似た葉の ヒヨドリジョウゴ が花をつけた。
秋に赤く熟した実は、ヒヨドリが好んで食べるという説があるので、或いはヒヨドリが運ん
で来たのかも知れない? 
試しに赤い実を口に含んでみると甘い味がするので、いかにも有力な説のように感じる。

しかし、実は有毒でヒヨドリが食べているのを見た事がないという説もあるそうだ。
さて、このヒヨドリジョウゴを植えた犯人は何者だろう?

ヒヨドリジョウゴ、鵯上戸(ナス科、ナス属)
全国で森林との境界部分などに生育するツル性の多年草。
葉は互生し、卵形で軟毛が多く、全縁又は3~5裂する。
花期は8~9月で、まばらに集散花序をつけ、白い5枚の花弁は次第に反り返る。
果実は球形で緑色だが熟すと赤色になる。 ジャガイモと同様にソラニンを含有
するので有毒。
〔名前の由来〕
ヒヨドリが好んで食べる事から“鵯上戸”と名づけられたらしい?


セツブンソウの球根購入

2011年08月26日 | 庭の山野草
ヤフオクで、今年の3月に セツブンソウ素心花多弁花 を買ったが、



今回は、 白花ピンク花 の球根を出品していたので買ってみた。
白花は葯の色が黄色で、葯の色が白色の素心花とは少し違いがあるらしい。
来年の2月初めにはどんな花が咲くか、今から楽しみだ!
白色花桃色花



天涯の花 “キレンゲショウマ”

2011年08月13日 | 山野草
このところ毎日、植木鉢の山野草と庭や畑の水やりが忙しくて何もする事が出来なかった
が、昨日意を決して “剣山花トレッキング” という日帰りバスツアーに参加した。
ところが、この暑い時期の、しかもお盆前とあって福山からの参加者は私一人しかいなか
った為に広島発のバスに便乗する事になり、福山市内の駐車場から岡山県側の篠坂PA
までのタクシー送迎サービス付きで合流した。
広島の人は朝5時半から乗車している人も居るというのに何だか申し訳ない思いがした
が、気持ちは早くも剣山だ!
篠坂PA発、 7:47
→(山陽道)→(瀬戸中央道)→(高松道)
→(徳島道、美馬)→(438号)→
見ノ越駅着、11:40
登山口の見ノ越駅(標高1,420m)に到着。
ここまでの所用時間は約4時間だ。

登山専門の連中はここから歩いて登るらしい。
我々はリフトに乗って西島駅(標高1,750m)までを僅か15分で登る。
〔西島駅からの西側の眺望〕

画像左奥に見えるのは 祖谷地方の山で、その手前の深い谷底には 祖谷川が流れており、下流には“かずら橋”がある。

画像中央の右側に白っぽく見える岩は、
吉川英治さんの“鳴門秘帖”に登場するそうだ。

地元ガイドを先頭にイザ出発!
〔登山ルート〕西島駅→大剱道コース→山頂(3)→尾根道コース→刀掛けの松(5)→
         キレンゲショウマ群生地(6、7)→刀掛けの松→尾根道コース→西島駅
〔2の下〕名水百選 “剣山御神水

屋島の合戦に敗れた平家の一族が安徳天皇を擁してこの地に逃れ、平家再興祈願の為に大山祇命(剣神社)へ帝の紐剣と共にこの水で楔いだお髪を奉納されたと言われている。
この水は剣神社の御神体である御塔石の根本から湧き出ており、昔から神の水として崇められているそうだ。
御神体の“御塔石”は巨大な石灰岩で、昔の人はそれを神として崇めたらしい。
〔2〕大剱神社

祭神は、須佐之男命、安徳天皇、大山祇命
の3柱で、
 「天地一切の悪縁を絶ち、
  現世最高の良縁を結ぶ」 のだそうだ。

背後に見えるのが御塔石。
更に登り剱山本宮の鳥居を潜り、剱山本宮の横を通って、先に山頂に向かう。
〔3〕山頂

山頂はなだらかで広いが、注連縄が張ってある一等三角点周辺はかなり侵食されているので、実際の標高は公称1,955mより少し低い。
剣山の名前の由来は、
 ・安徳天皇が剣を奉納した、
 ・御塔石が剣に似ている、
等の説があるそうだ。
〔三角点から見た北側の風景〕

山頂一帯には、植生を回復させて侵食を防ぐ為に木道が設けられている。
〔三角点から見た南側の風景〕

尾根伝いの直ぐ南隣には、標高1,929mの
二郎笈(ジロウギュウ)が見える。
笈というのは山伏が使う竹で編んだ負い籠の
事で、剣山を太郎笈と呼んで兄弟と見立てたそうだ。
〔4〕剱山本宮・宝蔵石神社

山頂から下り、直下の神社を参拝した。
祭神は須佐之男命と安徳天皇で、運気向上の神とされており、鳥居の下の輪を先ず左回りに潜り抜け、次に8の字を書くように右回りに潜り抜けて参拝すると、汚された身体や魂が祓い清められ、魔を除けて昇運するように祈願されていて“輪くぐり神事”と言うのだそうだ。
神社の背後には、ここにも巨大な岩があった。
〔5〕刀掛の松

尾根道を下って来ると4叉路があり、傍らに
“刀掛の松”という案内板があった。
安徳天皇が神社へ剣を奉納する時にこの松に剣を掛けて休んだという言い伝えがあるそうだ。

ここから右に折れ、嘗て修験道の行場があったキレンゲショウマの群生地に向かう。
〔6〕キレンゲショウマの群生

行場に向けて急斜面を下って行くと、至る所へキレンゲショウマが群生していた。
例年なら7月下旬~8月中旬が見頃で、既に実をつけているものもあった。

宮尾登美子さんの原作「天涯の花」でスッカリ有名になった花だ。

「天涯の花」のストーリーは、
剣神社の宮司夫妻の養女となったなった孤児の珠子が巫女として成長する中で、東京からキレンゲショウマの撮影にやって来て山中に倒れていた男を救助して看病した事から恋に落ちる…というもので、
珠子とキレンゲショウマを天涯(空の果て)の花に見立てたものらしい?

このコースは鹿による食害を防ぐ為に至る所へ、間隔の開いた丸木の木道や防護網が設けられていた。
その設置と維持は大変だろうに関係者には感謝あるのみだ!
左右に見えるのはテンニンソウだが、剣山周辺では至る所に群生している。
〔穴吹川の源流〕

行場コースの標高が一番低い場所へ到着。
この辺りが穴吹川(吉野川支流)の源流だそ
うだ。
〔7〕上から見たキレンゲショウマの群生
穴吹川の源流から刀掛の松を目指して登って行く途中の群生は圧巻で、広葉樹林下の深くて急傾斜の谷間で石灰岩のガレ場にビッシリ群生していた!
標高が1,700mを超える谷底で湿っている上に、気温が下界より10℃も低く、午後からは必ず霧がかかるか雨が降るような環境だ。
道理で我が家では旨く花を咲かせない筈だ!

キレンゲショウマ、黄蓮華升麻(ユキノシタ科、キレンゲショウマ属)