「お客様駐車場」という看板を作ってくれ、
と、ある知人から個人的に依頼された。
まあ、会社の余り物で簡単に作れるから、俺は承諾したが、
人間、生きていると、「知りたくもない現実」を知らなければならない時もあるな。
(例えば「梓みちお」がステージで歌う時はノーブラでノーパンだ、とか)
しかも、それを何十年もたってから、「思い出すハメになる事」も、
しばしばある...かも知れない。
そんな訳で、「王様と私」だ。
俺は(と言うより俺達は)子供の頃、遊ぶ場所と言えば
「駐車場」という事が多かった。見つかると注意されたが、
あまりうるさく言う大人もいなかった。
(前にもそんな事書いたっけな)
一番近所にあった駐車場は、一見、どこにでもありそうな、普通のヤツだった。
「身分の高い方の御利用がある」、とはとても思えない。
が、その駐車場のネームプレートには、
「鈴木様」や「田中様」や「斉藤様」に混ざって、
紛う事なく「王様」と書かれたネームプレートがあった。
しかも、とどめをさすかのように、
その隣は「男爵様」だった。
昔の事なので、ネームプレートは、でかくてペンキ書きの毛筆書体で、
なかなか迫力もあった。
2つ並んだ「王様と男爵様」...いかにも怪しげだった。
駐車してある自動車を見ると、
「王様」は、何故か古ぼけた軽トラに乗っており、
「男爵様」の方は、幾分か高級な国産車乗用車だった。
そして、ある時、俺はその軽トラに乗り込む男を目撃した。
が、期待していたような人物では無い。
(普通のオジサンじゃん)としか言いようが無かった。
「男爵様」も見た。
まあ、これも、普通の人っぽくて、特に怪しそうな様子もなかった。
が、俺も、やがて「物の道理がわかる年頃」になる。
「男爵様」は、男爵+様であり、それが近所の喫茶店の名前で、
その店が借りている駐車場だ、と判るようになった。
さらに、もう少し時間がたって、近所のラーメン屋さん「五十番」
の店主が、台湾の人で、名前が「王」(ワン)だ、という事も知った。
その内、「おしゃれ泥棒様」(パーマ屋)のネームプレートが
追加さた頃には何の感動もなかった。
さらに、俺は大人になり、社会人になった。
ある期間、勤務先は、社長が所有していた某マンションの一室
になり、そこでパソコンを相手に上司と2人でプログラムを組んで
日々暮らしていた...事があった。
ある日、玄関のチャイムが鳴り、俺が出ると、
2人の女性がおり、一人が恐る恐る尋ねた。
「あのお、日本語わかります?」
「ハァ?」
「ジャパニーズ?」
「日本人ですよ。私。」
「ああ、よかった。日本人だって。」
最初は、何を言っているか?わからなかったが、
玄関のドアの表札に、自社のカタカナの社名を入れている事を思い出した。
しかし、まあ、
(ゴールドマン・サックスとか、そういう銀行みたいな名前なら
ともかく、株・コムリンクスなんて外人、いる訳ねーだろ?)
と心の中で叫んだ憶えはあるが、その女性2人が何しに来たのか?
は、全く記憶にない。
後で知ったが、そのマンションの住民の8割方が、
俺達を「外人」と思っていたらしい。
で?一体、何人のつもりだったんだよ?その「株さん」はよ?
(今考えると、社名も社名だけど)
東南アジア方面に行くと、
レオポルド・ポンとか、デニス・マロン・ハオとか、
家系が複雑そうな人達が大勢いるが、
漢字とカタカナが混ざっているなんて、
日本じゃ、「お笑い芸人」くらいだろうが。
もし、写真の男を見かけたら、
「いよ!コムリンクス・カブ!」
とでも声をかけてくれ。
と、ある知人から個人的に依頼された。
まあ、会社の余り物で簡単に作れるから、俺は承諾したが、
人間、生きていると、「知りたくもない現実」を知らなければならない時もあるな。
(例えば「梓みちお」がステージで歌う時はノーブラでノーパンだ、とか)
しかも、それを何十年もたってから、「思い出すハメになる事」も、
しばしばある...かも知れない。
そんな訳で、「王様と私」だ。
俺は(と言うより俺達は)子供の頃、遊ぶ場所と言えば
「駐車場」という事が多かった。見つかると注意されたが、
あまりうるさく言う大人もいなかった。
(前にもそんな事書いたっけな)
一番近所にあった駐車場は、一見、どこにでもありそうな、普通のヤツだった。
「身分の高い方の御利用がある」、とはとても思えない。
が、その駐車場のネームプレートには、
「鈴木様」や「田中様」や「斉藤様」に混ざって、
紛う事なく「王様」と書かれたネームプレートがあった。
しかも、とどめをさすかのように、
その隣は「男爵様」だった。
昔の事なので、ネームプレートは、でかくてペンキ書きの毛筆書体で、
なかなか迫力もあった。
2つ並んだ「王様と男爵様」...いかにも怪しげだった。
駐車してある自動車を見ると、
「王様」は、何故か古ぼけた軽トラに乗っており、
「男爵様」の方は、幾分か高級な国産車乗用車だった。
そして、ある時、俺はその軽トラに乗り込む男を目撃した。
が、期待していたような人物では無い。
(普通のオジサンじゃん)としか言いようが無かった。
「男爵様」も見た。
まあ、これも、普通の人っぽくて、特に怪しそうな様子もなかった。
が、俺も、やがて「物の道理がわかる年頃」になる。
「男爵様」は、男爵+様であり、それが近所の喫茶店の名前で、
その店が借りている駐車場だ、と判るようになった。
さらに、もう少し時間がたって、近所のラーメン屋さん「五十番」
の店主が、台湾の人で、名前が「王」(ワン)だ、という事も知った。
その内、「おしゃれ泥棒様」(パーマ屋)のネームプレートが
追加さた頃には何の感動もなかった。
さらに、俺は大人になり、社会人になった。
ある期間、勤務先は、社長が所有していた某マンションの一室
になり、そこでパソコンを相手に上司と2人でプログラムを組んで
日々暮らしていた...事があった。
ある日、玄関のチャイムが鳴り、俺が出ると、
2人の女性がおり、一人が恐る恐る尋ねた。
「あのお、日本語わかります?」
「ハァ?」
「ジャパニーズ?」
「日本人ですよ。私。」
「ああ、よかった。日本人だって。」
最初は、何を言っているか?わからなかったが、
玄関のドアの表札に、自社のカタカナの社名を入れている事を思い出した。
しかし、まあ、
(ゴールドマン・サックスとか、そういう銀行みたいな名前なら
ともかく、株・コムリンクスなんて外人、いる訳ねーだろ?)
と心の中で叫んだ憶えはあるが、その女性2人が何しに来たのか?
は、全く記憶にない。
後で知ったが、そのマンションの住民の8割方が、
俺達を「外人」と思っていたらしい。
で?一体、何人のつもりだったんだよ?その「株さん」はよ?
(今考えると、社名も社名だけど)
東南アジア方面に行くと、
レオポルド・ポンとか、デニス・マロン・ハオとか、
家系が複雑そうな人達が大勢いるが、
漢字とカタカナが混ざっているなんて、
日本じゃ、「お笑い芸人」くらいだろうが。
もし、写真の男を見かけたら、
「いよ!コムリンクス・カブ!」
とでも声をかけてくれ。