祝・国登録有形文化財指定に答申~旧堀田古城園

2020-07-17 18:11:09 | イベント
令和2年7月17日(金)、国の文化審議会は、
全国で196件の建造物を「登録有形文化財」とするよう
文部科学大臣に答申しました。
その中に、信玄ミュージアムの施設、「旧堀田古城園」(きゅうほったこじょうえん)も
含まれています。
詳しくは、文化庁HP報道発表をご覧ください。
今後、有形文化財に登録されるのは、昭和8年(1933年)開業の料亭旅館、
堀田古城園を構成していた建物6棟。
「国土の歴史的景観に寄与するもの」としてご評価いただきました。

ちょこっとご紹介させていただきますと・・・

①主屋
当時の姿を可能な限り再現した主屋は、寄棟造り桟瓦葺(さんがわらぶき)の近代和風建築。
「近代」として分類されるのは、明治以降に建設された和風建築で、
基礎にコンクリートを使用した建物も含まれます。
関東大震災(1923年)以降に増え、旧堀田古城園もその1例。

お客様をお迎えした全ての部屋が、南の庭に面した開放的なもの。
一段高い離れ座敷は、窓から南アルプスの山々を望めるように設計。
写真右は夕方の主屋。昼の顔から夜の顔・料亭旅館に。


②③離れ2棟。現在、1棟はお土産処として利用されています。

写真左は、当時の姿を、可能な限り再現した「南離れ」。
かつて座敷を飾った金唐革紙(きんからかわかみ)も展示しております。(写真右)
残された細部の意匠も、評価の対象になりました。

④茶室

一見、普通の建物ですが・・・
一般公開を機に、茶室に生まれ変わったのが、こちらの離れ。
覗いていただくと、ひし形の畳が敷かれた、ちょっと不思議な感覚を覚える空間に。
昭和初期にひし形の建物◇、その斬新さに驚きです。
武田氏館跡を多分に意識し、その家紋を主屋はじめ、様々なところに
しつらえていますが、その最もたる例がこの茶室。

⑤長屋
現在、飲食店として利用されています。

真新しく見える長屋も、主要材は当時のもの。

⑥お客様をお迎えした木戸門も登録されました。


「旧堀田古城園」の建物全般、耐震などの目的で新素材も使われていますが、
再利用できるものは、できるだけそのままで。
例えば、砂壁の場合、砂を剥いで、再び付着させて生まれ変わらせたり、
屋根瓦は、「堀田」印や、武田家家紋の「花菱」が刻まれたものもありますが、
その一部は開業当時から、今も現役✨

1996年に創設された「登録有形文化財」は、
国や都道府県、市町村に指定される「指定文化財」と比べ、緩やかな制度。
建物なら、築50年以上のもので、
保存を前提としつつ、活用しながら、維持につなげることを目的としています。

「旧堀田古城園」の建物も、当時の姿を継承しつつ、店舗として活用されたり、
主屋も、イベントや学習会の会場に。
茶室も、留学生の日本文化体験に利用されたこともあります。

現在、12,000件以上の文化財が「登録有形文化財」として登録されています。
山梨県内では157件目となる見込みです。
その数に驚いてしまいますが、現代の都市景観の変化の速さを考えると、ちょっと納得。
「旧堀田古城園」も、約90年の歴史において、何度となく改装されてきました。
改修の際には、改装部分が取り除かれ、昭和初期の開業当初の姿に。
社会的評価を受ける間もなく消滅の危機にさらされていく・・・
こうした文化財を後世に継承するのが、この制度の目的です。

歴史や風土、生活などを通した文化財と地域との結びつきも重視され、
そうした建造物を活用することで、地域のランドマークとなることも期待されます。

新型コロナウイルスの影響で、現在、「旧堀田古城園」は外からのご見学を
お願いしておりますが、
通常開館された折には、ぜひ「旧堀田古城園」にも足をお運びください。
主屋でのイベント・学習会にもご参加いただければ幸いです。
お待ちしております😊 


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