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湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆アイヴズ:弦楽四重奏曲第2番

2017年06月14日 | アイヴズ
○ジュリアード弦楽四重奏団(COLUMBIA)

アイヴズの作品でもこのあたりになるとかなり洗練されてきており、とくに一、二楽章にかんしては最小限の編成でここまでできるという無調作品の極致(アイヴズに無調というレッテルは余りにざっくりしすぎだが)を示した緻密なもので、しかし意匠の類似から大規模作品をただ四人編成に落としたということではなく、「四人の男が繰り広げる一夜の情景をうつした」まさにカルテットでしかできないものを作り上げている。よくカルテットを大編成に書き換えて演奏する室内楽団がいるがこの作品ではそれはできない。作者の意図からも外れるし、これはそもそも五人以上では単純すぎる箇所が出てくるし三人以下では音楽を作れない。よく練られている、思い付きで雑然と音を積み上げたように聞こえるのはアイヴズに言わせれば「耳が脆弱」なのである。しょっちゅう聞ける曲ではないし、三楽章はいささか冗長で書法もオルガン的に和声(不協和だが)を割り振っただけの単純な部分が多く聞きごたえは前二楽章にくらべ落ちるが、無益な議論を止め自然の静かな呼び声に従い山に登る、その朝の偉大な情景に響く鐘の音に目を覚まされ超越的な感銘のうちに和解をみる(交響曲第4番の四楽章の構成に似ている)、といった意図であり無意味な書き方ではない。この曲はジョーク的に捉えられる二楽章「議論」が最も取り付きやすく、かつ引用に満ちた素晴らしいアイヴズのスケルツォになっているので、バルトーク好きなど、聞いてみてほしい。ジュリアードの整理された演奏できくと精緻な構造をも部品として組み込んでゆくポストモダンなアイヴズを理解できるだろう。アマチュアなんかではない。ジュリアードは上手いから譜面を正しく音で聞けるメリットはあるもののいささか手堅くまとめてしまうので二楽章で必要な勢いや噛み合わない議論を象徴する「四本のバラバラ感」がない、三楽章がのっぺりとして飽きてしまう点はマイナスか。○。分析マニアはアナライズしてみて下さい、スコアは見えやすい演奏。

※2006/7/18の記事です

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