○アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団(DECCA)1954/5/14-28・CD
ステレオ。コテコテのロシア国民楽派のそれも典型的なバラキレフ・クーチカ一派の音楽なのだが、ボロディンのように整理された単純さに対して響きと動きの非論理的な展開が幻想的な音響世界を呼び込み、リムスキーよりも更に現代的な、かなりフランス派に近い世界に音楽を持っていっている。案外トリッキーなリズム処理をアンセルメが鮮やかに民族的な荒さすら持ち込んで表現しているさまは、これが最初こそロシアのアマチュアリズムの延長上の民族音楽であるものの、最後にはルーセルなどフランス派の民族という枠を越えた純粋に音楽的進化を目指した世界に近づいているように聞こえる。妖怪を主題としたメルヒェンの、生々しい描写性はラヴェルにもストラヴィンスキーにもつながるところである。録音がやや古い。○。
ステレオ。コテコテのロシア国民楽派のそれも典型的なバラキレフ・クーチカ一派の音楽なのだが、ボロディンのように整理された単純さに対して響きと動きの非論理的な展開が幻想的な音響世界を呼び込み、リムスキーよりも更に現代的な、かなりフランス派に近い世界に音楽を持っていっている。案外トリッキーなリズム処理をアンセルメが鮮やかに民族的な荒さすら持ち込んで表現しているさまは、これが最初こそロシアのアマチュアリズムの延長上の民族音楽であるものの、最後にはルーセルなどフランス派の民族という枠を越えた純粋に音楽的進化を目指した世界に近づいているように聞こえる。妖怪を主題としたメルヒェンの、生々しい描写性はラヴェルにもストラヴィンスキーにもつながるところである。録音がやや古い。○。