湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆ラフマニノフ:交響詩「死の島」

2017年05月17日 | ラフマニノフ
○スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団(BBC,MEDICI)1968/10/22ロイヤルアルバートホールlive・CD

どうしてロシア人というのはグラズノフにせよラフマニノフにせよこういう海を描くのだろう?既にコスモポリタンの時代に生きていたというのに、リストやワグナーの海からドビュッシーの海への脱却ができずにいる。うねる暗い海をわたる一艘の舟、カロンは死者たちを死の島へと運ぶ。そこからは何人たりとも外へ出ることは叶わぬ、二度と、などといった想像を掻き立てる「だけ」の「印象派的」音楽、いわばベックリンの夢想をリアルに汲み取った「交響的絵画」であるが、帝政ロシア末期の爛熟したロシア作曲界を象徴するようなラフマニノフの未だ明けぬ陰鬱とした作風をのこしたものである(時期的には改訂も含め既にピアノ協奏曲第2番以降の明るい作風に移行している)。スヴェトラーノフは透明感のある響きでダイナミズムを却って煽り、ロシア奏法を前面に押し立ててわかりやすく聞きやすいものに仕立てている。いつものバランス、いつもの弦の響き。○にはしておく。

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