湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

☆ストラヴィンスキー:レクイエム・カンティクルス

2016年12月18日 | ストラヴィンスキー
○ミュンシュ指揮パリ管弦楽団(Altus)1967/11/14シャンゼリゼ劇場live・CD

Altusのやらしい再発盤に収録されたトラックで渋々これだけのために買った。ミュンシュのストラヴィンスキーというとペトルーシュカとアゴンくらいしか手元にないが他に何があるんだろうか。初物好きだし嫌っていたというわけでもなさそうなのは、この最晩年作、十二音技法を取り込んだ「ちっとも楽しくない音楽」を、「音楽は楽しい」を体現してきたようなミュンシュがパリ管デビューの演目に選んだということからもうかがえるようにおもう。そして演奏がけっこう、しっかりしていて、かつ「楽しい」のだ。たとえばギーレンがやってもこうはならないだろう。前奏曲のポリリズムにハルサイを想起するなと言うほうがおかしい。ここからしかし、ストラヴィンスキー「らしくない」響きが、前衛的な雰囲気を醸していく。といっても、合唱や独唱には前衛の匂いは薄いし、最小限に抑えられた楽器の用法は他の作曲家にも、ストラヴィンスキー自身にもみられなかった独特の「面白み」がある。この「面白み」を引き出す、「前衛の匂いの薄さを突く」のがミュンシュは上手いのか。典礼が進むにつれ本来の意図であるレクイエムに沿った作品構成であることに気付かされ、あっという間に終わってしまうのだが、つまりはポケットレクイエムなのである。

分析的なことはよそでいくらでもやっていると思われるのでここでは触れない。ただ、ミュンシュマニアなら聴いておいて損はない。中古を探してください<おい

Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« バルトーク:管弦楽のための... | TOP | ドヴォルザーク:交響曲第7番 »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | ストラヴィンスキー