湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番

2008年12月18日 | 北欧・東欧
○ウィウコミルスカ(Vn)ロヴィツキ指揮ワルシャワ国立フィル(MUZA)CD

シマノフスキの代表作でよく知られており、冒頭から前衛的な透明な書法が光るが、錯綜するわりに少ない楽想に対し25分前後の単一楽章とは長すぎる。まだ初期のロマンティックな重い表現が残っていることとあいまって、けして名曲とは言いがたい部分もあり、個人的にはすかっと割り切った二番のほうが(易しいし)好きだ。オイストラフの演奏が残ってしまっているため、どんな手だれがやってもどうしても比べてしまう。ウィウコミルスカというバリ弾きなソリストをもってしても線が細く心許ない、という印象を抱きかねないところがある。弦楽器というのはけっこう繊細である。録音に残り易い奏法というのがあり、音というのがある。それを前提に話せばこの録音は余り上位には置けない。技術的に落ちるバックオケに引きずられ田舎っぽい感がある。シマノフスキは民族的な音楽を書いていても常に中欧の流行りを意識してきており、コンプレックスもあったのかもしれないが、中期以降は物凄く洗練され都会的である。もとからそういう音楽なのに民族性を下手に強調すると野暮になる。ショスタコがグラズノフになってしまう(どういう比喩だ、私は圧倒的にグラズノフが好きである)。恐らく地獄のような特訓の末生まれたであろう父ド・オイストラフの安定した太い音とアンサンブルに対する鋭敏な感覚にくらべ、やや弱さを感じた。何より、ロヴィツキはどうも相性があわないらしい。○にはしておく。美しい部分はある。

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