湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

STING sings ELGAR and RVW (and Dowland) in Japan+

2008年12月17日 | Weblog
(後日補記)横浜セットリストがウドーのサイトで公開されました。第一部及び「馬」は掲載されてませんけどw

http://www.udo.co.jp/News/index.html#081222

ちょっとはしょられてますが、mixi等で詳細公開しているかたもいらっしゃいますので。


~まだ「ダウランド歌曲集」ジャパンツアー中なので詳しくは書きませんけど、今日は物凄い良席で聴いたのでかなり楽しめました。古楽はおろかイギリス民謡(「フォークソング」ね)にすら興味の無いかたがたが寝たりセットリストや感想をかちゃかちゃ書いてたり(ジャーナリスト気取りをのさばらせるブログなんかなくなってしまえばいいのに)


;(ツアー記念盤)

端っこだった昨日よりはねえ、オーチャードのど真ん中の列の一ケタ台だったので、通路際の五月蠅さは避けられたからよかったけど。ほとんど妙齢のご婦人がたしかいないゾーンだったのはかなりびみょう・・・それはいいとして(こっちも人のこと言えない

スティングがさらっと流して言ってしまい、「ヴォーン・ウィリアムズの作品」と誤解してしまったのがあった。

ダウランドの一生を作曲年に沿って歌でつづり(テキストは自身のアルバムに寄せた解説(ダウランド自身の手紙等)に拠っている)、その後19世紀末から20世紀中盤をへて、ビートルズ("In My Life")、自分("fields of gold","message in a bottle")、更に後はクリスマスを意識したブルース(Robert Johnson;同盤収録の作曲家ではなくて「ブルースマン」のほうね;"Hellhound on my trail")やクリスマスカロルにダウランド"Say Love,if ever thou didst find"、更に筝曲「さくら」の比較的忠実な(可能な限り)リュートデュオアレンジで〆たわけですが、その19世紀後半の代表として取り上げられた曲。

エルガー「海の絵」から4曲目「Where Corals Lie」のリュート伴奏アレンジです(ラビリンス・ツアーでは毎回やっている)。エルガーは世俗的で保守的でちょっと違和感がある。しかもジャネット・ベイカーかなんかで聴いたことがあるのでこれは・・・と思ったらやっぱりRVWではなかった。わたすはエルガーが鬼門です。歌詞はスティングぽいんだけど・・・RVWはまさに復古運動の旗手でもありダウランドと並べても違和感がない。

といってもやっぱり透明な響きと心地いい和声にははっとしてしまうなあ。いちおう英国歌謡史のレクチャーコンサートの趣旨もあるんですし、エルガーくらいは知ってる人もいると思うのでちゃんと紹介してほしかったけどみんなあんまり興味なさそうだったからいいか。ヴォーン・ウィリアムズはLinden Leaでした。

(後注)やっぱり今日は「曲数が多すぎてわからなくなっちゃったけど」って間違って紹介してたみたいです。昨日はさらっと「E.Elgar and R.Vaughan Williams」って言ってたような気がした。
(後後注)三日目はかぶりつき席で純粋にファンとして聴いてましたが湿気があった昨日のほうが演奏的には安定(リュートが初日に近いコンディションだったし弦二回切れた・・・二回目はやり過ぎただけだけど)。ただ、熱気もリラックス度もあり、客も盛り上がったし、エルガーもきちんと説明してたし、よかった。カラマーゾフはちょっとスパニッシュ・ギター過ぎる(リュートは厄介な楽器です)気もするけどdeccaからアルバムも地味に出てますので興味があればどうぞ。Linden Leaもいい曲だなあ。従軍もし戦災に絶望した長生の倫敦紳士の、若き代表作です。没後50年だしね。ちなみに、ヴィクトリア朝(だけじゃないけれど)作曲家の象徴的存在のエルガーから半世紀にわたる王立音楽院の重鎮ヴォーン・ウィリアムズへの流れは至極当然で、ディーリアスはイギリスとは言いがたい部分もあるしブリテンは時代が浅い。レクチャーでこの流れは当然で、しかも、ヴォーン・ウィリアムズが亡くなる前に既にスティングは生まれているしビートルズは結成されていたのでした。1930年代に「悪魔に命を渡した」ロブ・ジョンソンにいたっては、比較的晩成だったRVWと同世代と言ってもいいのかも。スティングは自分の作風に近づけてアレンジしてたけど。



;(スティングが曲・ボーカルで参加してますが純粋にクロスオーヴァアルバムとして聴けます、バッハが似合うなあ。)

海の絵にリンデン・リー。

どちらも英国近代声楽好きにはおなじみでしょうね。

スティングの声はいい。昨日のほうがクラシカルだったけど、今日は「らしさ」があり、カラマーゾフのリュートは昨日ちょうどエルガー直前に弦が断裂し今日は抑え目でppppからpの音しか出てなかったけど(録音じゃ聞き取れませんね)、スタンドマイクだけでよくまあ・・・リュートの音量でコラールを重ねるんだからねえ。

明日から日曜までまだツアーは続きます。セットリストのメモなんかとらなくてもクリスマスソングとさくらさくら以外はヨーロッパやオーストラリアなんかと同じみたいですよ。コーラスだけの第一部はちょっと違ったかな。

*パシフィコ横浜の追加公演、というワードで検索してきているかたもいらっしゃるようですが、昨日の時点でまだA席は残っていました。オーチャードより確かキャパは多いですが日曜なので、早いうちに前のほうは売れたようです。パシフィコ横浜はオーケストラホール専門ではないのでオーチャードよりも幅が広く平面席も最前ブロックの少数だけなので、比較的後ろでも見易いと思います。

by Richard Garnett (1835-1906)

The deeps have music soft and low
When winds awake the airy spry,
It lures me, lures me on to go
And see the land where corals lie.
The land, the land where corals lie.

By mount and mead, by lawn and rill,
When night is deep, and moon is high,
That music seeks and finds me still,
And tells me where the corals lie.
And tells me where the corals lie.

Yes, press my eyelids close, 'tis well,
Yes, press my eyelids close, 'tis well,
But far the rapid fancies fly
The rolling worlds of wave and shell,
And all the lands where corals lie.

Thy lips are like a sunset glow,
Thy smile is like a morning sky,
Yet leave me, leave me, let me go
And see the land where corals lie.
The land, the land where corals lie.





・・・幻想的な詩だね。

(後後補)

by William Barnes (1801-1886)

Within the woodlands, flow'ry gladed,
By the oak trees' mossy moot,
The shining grass blades, timber-shaded,
Now do quiver underfoot;
And birds do whistle overhead,
And water's bubbling in its bed;
And there, for me, the apple tree
Do lean down low in Linden Lea.

When leaves, that lately were a-springing,
Now do fade within the copse,
And painted birds do hush their singing,
Up upon the timber tops;
And brown-leaved fruits a-turning red,
In cloudless sunshine overhead,
With fruit for me, the apple tree
Do lean down low in Linden Lea.

Let other folk make money faster
In the air of dark-roomed towns;
I don't dread a peevish master,
Though no man may heed my frowns.
I be free to go abroad,
Or take again my homeward road
To where, for me, the apple tree
Do lean down low in Linden Lea.





・・・英詩には独特の感傷がある。曲は素直だけど、日本の近代童謡によく似ていて、これも望郷の気がよく比較されます(RVWの「望郷」は日本のそれとは趣が違い「牧歌的」ではあるけれど)。揚げひばりとか、そのへんに繋がっていく世界。

(後日補記)ウドーから転載したセットリスト。「第二部」は全公演このとおりの模様。

Walsingham
Reading – letter extract 1
Flow my tears
The lowest trees have tops
Reading - letter extract 2
The Most High and Mighty Christianus the Fourth, King of Denmark, His Galliard
Can she excuse my wrongs
Reading – letter extract 3
Fine knacks for ladies
Reading – letter extract 4
A Fancy
Come heavy sleep
Reading – letter extract 5
La Rossignol
Come again
Have you seen the bright lily grow
Reading – letter extract 6
Weep you no more, sad fountains
Clear or cloudy
Reading – letter extract 7
In Darkness let me dwell- - - - - - - - - - encore 1 - - - - - - - - - - - - - - - -
Where corals lie
Linden lea
In my life
Fields of gold
Message in a bottle
- - - - - - - - - - encore 2 - - - - - - - - - - - - - - - -
Bethlehem down
Say, love, if ever thou didst find
- - - - - - - - - - encore 3 - - - - - - - - - - - - - - - -
Hell hound
Sakura
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