◎コンドラシン指揮モスクワ・フィル(melodiyaほか)CD
この曲はしばしば交響曲的と評される、三楽章からなる構築的な大管弦楽曲である。ラフマニノフの遺した最後の作品のひとつであり、にもかかわらず瑞々しい感性に溢れ、洗練された手法が縦横に駆使されている。ラフマニノフ得意の浮き立つような舞曲は、晩年にしては珍しく明快で魅力的な旋律により彩られる。特に第一楽章第一主題の力強さは耳を惹く。続く第二主題の哀愁も、叶わぬ望郷の念の篭ったロシア民謡調ではあるが、響きは常に簡潔であり、決してべたべたにならず、独特の透明感をもっている。これらのことは他楽章においても同様である。そうした曲の特性に、コンドラシンの棒は優れて適性を示す。作曲家はオーマンディ・フィラデルフィア管弦楽団の演奏を好んだといわれるが(異説もある)、遺された録音で比較した場合、コンドラシンの強い意志を持った演奏にはかなわないように思う。直截で客観的な解釈も曲にあっている。また楽団にしても、弦の強固なアンサンブル、管の特にソロにおいて優れた表出力には、ソヴィエト時代のオーケストラの実力を改めて認識させられるものだ。CD復刻されているようなので、もし興味があれば一聴をお勧めする。,
この曲はしばしば交響曲的と評される、三楽章からなる構築的な大管弦楽曲である。ラフマニノフの遺した最後の作品のひとつであり、にもかかわらず瑞々しい感性に溢れ、洗練された手法が縦横に駆使されている。ラフマニノフ得意の浮き立つような舞曲は、晩年にしては珍しく明快で魅力的な旋律により彩られる。特に第一楽章第一主題の力強さは耳を惹く。続く第二主題の哀愁も、叶わぬ望郷の念の篭ったロシア民謡調ではあるが、響きは常に簡潔であり、決してべたべたにならず、独特の透明感をもっている。これらのことは他楽章においても同様である。そうした曲の特性に、コンドラシンの棒は優れて適性を示す。作曲家はオーマンディ・フィラデルフィア管弦楽団の演奏を好んだといわれるが(異説もある)、遺された録音で比較した場合、コンドラシンの強い意志を持った演奏にはかなわないように思う。直截で客観的な解釈も曲にあっている。また楽団にしても、弦の強固なアンサンブル、管の特にソロにおいて優れた表出力には、ソヴィエト時代のオーケストラの実力を改めて認識させられるものだ。CD復刻されているようなので、もし興味があれば一聴をお勧めする。,