goo blog サービス終了のお知らせ 

湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

グラズノフ:弦楽四重奏曲第5番~Ⅱ.

2013年04月24日 | グラズノフ
○グラズノフ四重奏団(MUStrust)1930年代?・SP

速い。かつこの演奏精度は素晴らしい。テンポが前のめりだがそれがグラズノフの畳み掛けるような書法とピタリとあっていて正統な演奏であると感じさせる。ワルツ主題はそれにも増して速くびっくりするが、音の切り方、アーティキュレーションの付け方が巧緻でなかなかに聴かせる。ワルツ主題が優雅に展開する場面で初めてオールドスタイルの甘い音が耳を安らがせる。ここは理想的な歌い方だった。ショスタコーヴィチ四重奏団も歌いまくるがそれとは違う、優雅で西欧的な洗練すら感じさせる。その後テンポが激しくコントラストを付けて変わり、慌ただしくもあるが、冒頭主題が戻るとかなり落ち着く。その後はうまくまとめている。これほど達者で洗練された団体だとはあのボロディン2番からは想像できなかった。○。新グラズノフ四重奏団とは違う団体です。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グラズノフ:5つのノヴェレッテ~Ⅰ.スペイン風

2013年04月24日 | グラズノフ
○グラズノフ四重奏団(MUStrust)1930年代?・SP

どこがスペイン風なんじゃと百年以上にわたって言われてきたであろう曲だが、低弦のピチカートにのせてリズミカルな旋律を奏でればなんとなくスペイン風、でいいのだ。グラズノフはそんなノリで中世風とか色々おかしな題名を付けている。これはグラズノフの室内楽でも著名な組曲の一曲目で、若書きということを置いておけば至極凡庸な民族音楽である。伝説的なグラズノフ四重奏団の私のSPはロシアで輸出用に作られたもののようでレーベル名も不確かだ。回転数がやや遅めに設定されているようで、78だと非常に速くびっくりしてしまう。だがそこを考慮しても勢いがあることには変わりはない。オールドスタイルの奏法は目立たず、それより精度と覇気、この2点に目を見張る。現代でも通用するだろう。短いのに聴き応えがあった。録音も良い。○。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲

2013年04月22日 | グラズノフ
○ギンペル(Vn)アイシュヴァルト指揮シュツットガルト・プロ・ムジカ管弦楽団(HECTOR:CD-R他)1950s

確かにギラギラした演奏をするヴァイオリニストだ。デリカシーの欠片も無い前半部においては、バックオケのアンサンブル能力と表現力の豊かさに感心しつつ、ソリストはただバリ弾きしているだけ、のような印象を持つ。音色はこのようなロマン派音楽に向く赤黒い色で決して悪くは無いのだが。後半部になると一転してソリストにもニュアンス表現の豊かさが感じられるようになる。しかし技術的にダメダメ。前半部でもちょっといじってる個所が聞こえたが、後半部では装飾音をごまかしたり音程を取り損ねたりライヴ演奏のような粗暴さが気になる。とはいえまあ、この曲はでろでろやりすぎると聴いていられない甘ったるい匂いをはっするので、一面即物的なこのソリストのやり方はあっている。バックオケが構造をよく理解してアンサンブルしているのもよい。そんなところか。録音は悪い。板起こし。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グラズノフ:交響曲第4番

2013年03月26日 | グラズノフ
○セレブリエル指揮スコティッシュ・ナショナル管弦楽団(warner)2006/2/28-3/2・CD

なかなか聴き応えある。冒頭から異様にテンポルバートして思い入れたっぷりに旋律を歌わせるが、グラズノフの魅力なんて8割がメロディなのでこれは正しいのだ。旋律によって表現方法を変えておりメリハリがあるが、グラズノフが独自性は薄いながらもプロフェッショナルな技巧を篭めた、そのシンフォニックな構築性も楽しめる壮大な一楽章は名演だ。和声の動きも的確に聴き取れグラズノフの技を実感できる。スケルツォの中間楽章は前期グラズノフのボロディン的側面をそのまま打ち出しているが、これは無難か。三楽章はブラスが圧巻。ファンファーレから弦を圧倒する。弦もがんばるが音色が単調で起伏がはっきりせずアタックも揃わないところがみられる。ブラスも最初から炸裂しすぎて、そのせいかグラズノフはおろかロシア国民楽派共通の問題点である冗長さがどうしても感じられて仕方ない。これを押し切る演奏も多く、そうなると今度はコンパクト過ぎてしまうので、曲のバランスが悪いのかもしれないが。○。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グラズノフ:交響曲第3番

2012年12月03日 | グラズノフ
○セレブリエル指揮ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団(warner)2009/6/2・CD

全集の一部。惜しい盤だ。非ロシア演奏家によってグラズノフの西欧派的側面を印象付ける名演であり、アマチュア主義で通してきたクーチカの弟子格というイメージから外れたプロフェッショナリズムを、明晰な音で伝えてローカルな作曲家という印象を一変させる力を持っていながら、、、残響が多すぎるのである。残響が多い録音というとフェドかスヴェトラ。つまりはメロディヤ録音である。構造的によく鳴るオケが持ち味のグラズノフの、初期のボロディン風から脱してチャイコフスキー風からすら一歩踏み出したところがよく示され、ちょっと詰めすぎてしまった4番や民族回帰がみられる5番よりもヨーロッパ・クラシックの伝統を継いだものとして、セレブリエルもまたよくさばいているし、レベルの上がったこのオケも力強く北欧オケのような精度を示しているのに録音場所のせいなのか残響によって「よく鳴る場所で演奏されているだけ」に聴こえてしまう。うーん。惜しい。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グラズノフ:交響曲第5番

2012年07月30日 | グラズノフ
○ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル(vibrato:CD-R)1979/5live

録音状態だけを言えば○はつかない。いわゆる膝録でバランスが極端に悪く(無理にステレオで録音しないほうが音響がまとまったろう)それがデジタル化にさいしキンキンした音にされてしまって、非常に聞きづらい。演奏自体は他録にくらべ熱気がすくないように思う。終楽章など落ち着いている。落ち着き過ぎている。バランスの悪い録音のせいで緻密にポリフォニックに組み込まれたソロ楽器の走句が、通常は聴こえないような断片的なものが聴こえてくるのは面白いが、「こんな聴こえない部分に半音階的なわけのわからない難しい技巧をつぎこんでるのか」とグラズノフのマニアックぶりに首を傾げてしまうところもある。いずれ、これもマニア向け。コレクター向けの観賞に値しない盤である。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グラズノフ:パ・ド・カラクテール

2011年12月16日 | グラズノフ
○ヤブロンスキー指揮ロシア・フィル(NAXOS)2006/10/10-15・CD

この曲集は作曲時期にばらつきがありながらも作風の軸がいっこうにずれないため一くくりにして「グラズノフ」として聴けるのが面白い。「ロマンティックな間奏曲」と同時期の作品で、オリエンタルな主題を持ちながらも初期作品のような軽やかさがあって、間奏曲の手垢のついた感じ(裏返して個性)が無い。演奏は丁寧で勢いもある。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グラズノフ:2つの小品

2011年12月16日 | グラズノフ
○ヤブロンスキー指揮ロシア・フィル(NAXOS)2006/10/10-15・CD

OP10番台の作品で、国民楽派の跡目を継ぐ天才期のものだということがよくわかる。1曲目牧歌からして後期と変わらない手腕と、あとは天から降ってきたような美しい響きに纏われている。2曲目東洋の夢、といっても既にボロディンやリムスキーとは異なるスマートさを身につけており、小品であっても印象に残る。演奏は精度が高く同時にロシアの音を楽しめる好演。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グラズノフ:劇音楽「仮面舞踏会」

2011年12月16日 | グラズノフ
○ヤブロンスキー指揮ロシア・フィル(NAXOS)2006/10/10-15・CD

グラズノフでも1910年代の作品でもう後期といってもいい作品だろう。厚ぼったい特有のオーケストレーションが削ぎ落とされ、個性は薄まったがスマートで優雅な作品に仕上がっている。もうちょっと内容的には過激なものになるべきだろうが、グラズノフという時代にはこれですら批判の声に晒されたようだ。初演まで4年かかり、その後30年忘れられた。普通に擬古典的な部分を含め聴ける音楽で(ハチャトゥリアンらとは時代が違うのでそこはちゃんと意識が必要)、演奏も程よいので、機会があれば。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グラズノフ:ロマンティックな間奏曲

2011年12月15日 | グラズノフ
○ヤブロンスキー指揮ロシア・フィル(NAXOS)2006/10/10-15・CD

1900年に作曲されたということでグラズノフの作曲的ピークの時期に生まれた小品。あきらかに6番交響曲の緩徐楽章などと似通った内容をもち、それらを好む向きには薦められるが、飽き易いすれっからしには睡魔を催すだろう。演奏は原作主題にいちゃもんがつき初演が大幅に遅れた大曲、仮面舞踏会の余白埋めではあるが、意外とちゃんとしている。音色にロシア風味を残しながらもスヴェトラの乱暴な一発録りとは違った丁寧な仕上がりとなっている。自作中に比しては平凡ながらも変奏や移調に巧みな手腕が発揮されていることがよくわかる。○。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グラズノフ:弦楽四重奏曲第5番

2010年12月22日 | グラズノフ
○シシュロフ四重奏団(melodiya)LP

レニフィル四重奏団(タネーエフ四重奏団)に続く録音で選集ボックスの一部になる。ショスタコーヴィチ四重奏団の録音に似ていて(音もよく似ている・・・シシュロ「ス」なのか??)、やや1stが弱いけれども、オーソドックスに聴ける印象。前半楽章はやや平凡か。三楽章が速くダイナミックで面白い。四楽章はよく揃っていて、これはほんとにショスタコ四重奏団にそっくりだ。技術的限界からか装飾音をごまかすような表現があるレニフィル四重奏団にくらべ、このグラズノフ屈指の名楽章の構造的魅力をよく引き出している(むこうはむこうで独特の解釈があり楽しめるが)。立派。○。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グラズノフ:交響詩「ステンカ・ラージン」

2010年11月24日 | グラズノフ
C.ランバート指揮リバプール・フィル(COLUMBIA)1942/12/22,43/1/12・SP

演奏は颯爽としてオケは美しく整っている。しかし録音が悪い。篭り気味で、せっかく精度の高い演奏が捉えられているにもかかわらず耳障りが悪い。起伏が感じられないのも録音のせいだろう。楽曲の立体構造を作曲家らしい手腕で浮き彫りにしており、同曲の古い録音にありがちな、音のばらつきによる「アマチュアっぽさ」のない緊張感、熱も感じられノイズがなければ結構聴けたと思う。CD化不明。無印。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グラズノフ:5つのノヴェレッテ~Ⅲ.ワルツ

2009年10月07日 | グラズノフ
○ヴィルトゥオーゾ四重奏団(HMV)SP

サロン的な小品でこれだけ単独でアンコールピースとされることもある(この小品集自体「余り埋め」で抜粋されることが多い)。グラズノフ独特のハーモニーや旋律線の癖、ボロディン的マンネリズムが割と薄い曲ではあるのだが、ロシア人の「ウィーンへの憧れ」を上手に取り出し、仄かな感傷性を浮き彫りにした、英国人らしい上品な客観性のある演奏となっている。やはり上手いのかなあ。SPは高音の伸びがどうしても聴こえづらいので、高音を多用するボロディン的な曲ではマイナスなのだが、簡潔な曲なのでそこは想像力で十分。○。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グラズノフ:交響詩「ステンカ・ラージン」

2009年09月18日 | グラズノフ
○デュフォー指揮ブリュッセル王立音楽院管弦楽団(COLUMBIA)SP

デュフォーは後年アメリカ大陸に渡りモントリオール響のシェフとしてLP録音も行っているそうだが、余り情報が無い。ベルギー国外では特に目立った活動はしなかったようで、知名度もそれに比例しているのだろう。ベルギーオケ自体伝統はあるものの、欧州では余り目立たない存在であるから、聴く以前に総じて既に地味な印象を与えてしまう。この録音は状態からほぼモノラルLP期と重なる、SPでも末期になされたものと思われ、音の厚みも拡がりもLPにひけをとらない。十分だ。

それだけに実体がしっかり聴き取れてしまう。この曲の録音がロシアの録音ばかり(実演もそうといえばそうだが)という点で不利なところもあるが、弱体のオケに無難な指揮、という感が否めないのである。骨董時代にはありがちな、ほぼ一発録りならではの仕方ない部分はあるとしても、演奏がフランスのロシア曲演奏ふうで押しが弱く、かつ音量の強弱がSPとしても余り演出されていないから、エイコーラーの主題がひたすら繰り返されるだけでクライマックスの構築すらよくわからないのんべんだらりとした印象が否めない。うーん。逆に普通な演奏ならではのロシア臭のなさが売りでもあるのだが、よく構じられたアンサンブルが指揮技術の安定ぶりは示すものの学生の範疇を出ないと言ったら言い過ぎか。○にはしておく。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グラズノフ:ピアノ・ソナタ第1番

2009年09月17日 | グラズノフ
○バシュキーロフ(P)(MELODIYA)

ロシア系ピアニストの旧録は一時期大量に出回ったのでこれもCD復刻されているかもしれない。バリ弾きピアニストの、残響の無いソヴィエトらしい環境下でひたすら名技性を「スピードと指の回転だけで」示している音源。というわけで最初は唖然としてそのパキパキした粒だった音符表現に「こりゃ自動ピアノみたいだー」と素直に喜ぶのだが、次第にケレン味の一切取り去られたグラズノフというのは単なる旧態依然とした偽リストにすぎない、という感情にとらわれ始め、最後にはすっかり飽きてしまう。でもこういうグラズノフらしくないグラズノフは聴いたことないし、職人的作曲技法を職人的に展開したということでロシア系ピアニストには受けた作品でもあるから、ピアノ好きは楽しめるかも。一瞬凄腕と感じさせるが録音のせいかもしれないが部分的には細かい音符が聞き取れないところも。○。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする