◎サンクトペテルブルク四重奏団(delos)CD
ここまで解釈を尽くした演奏もあるまい。一楽章はいくらなんでもやり過ぎの感が否めないが三楽章はここまでやらなければ伝わらないのだ、という真理を聞かせてくれる。ファーストだけが異常に雄弁で音はやや硬くけして無茶苦茶上手い団体ではないのだが、これは交響曲として書かれたものであると喝破したかのような、まるで往年の巨匠系指揮者のやっていたようにダイナミック、細かく大きな起伏の付けられた表現をしている。偶数楽章はもっと直線的演奏の方が合っているかもしれない、異論があってもいいが、スタイルを固持し一貫している。もう一つ文句をつけるならワルツ主題がワルツになっていない、でもこれは抽象音楽の表現としては正しい。とにかく同曲の録音史上最もやり過ぎた演奏であり、やり込んだ演奏であり、これ以上曲を理解した演奏もなかろう。◎。