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湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン

2009年04月10日 | その他ラテン諸国
○クリモフ(Vn)スヴェトラーノフ(P)(LANNE:CD-R/MELODIYA)1982/4/13音楽院live

板起こし。この曲にかんしてはライヴということもあり双方荒い。技術的な問題を感じさせるスヴェトラの誤魔化しに始まり(伴奏ピアニスト専科の人にはありえないタッチではあるがメリハリをつけるための表現の幅と好意的にも捉えられる)終盤は速さと強靭さに正確さがついていかないソリスト、だがライヴであれば十分楽しめたろう。金属的な烈しさはこの名曲リサイタルなプログラムだとロシア様式そのもので(録音であればコーガンのものみたいなかんじ)、このコンビだからというわけではない。つんのめるような激烈さ。○。
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ポンセ:ヴァイオリン協奏曲

2009年04月03日 | その他ラテン諸国
○シェリング(Vn)ブール指揮コンセール・コロンヌ管弦楽団(EINSATZ/ODEON)1951・CD

シェリングに捧げられ有名ヴァイオリニストでは殆どシェリングしか弾いてないんじゃないかというポンセのコンチェルトである。既に書いてきているとおりメキシコ人になったシェリングは各地で親友の曲を演奏紹介し、また録音しており、時期やバックオケによって印象が異なる。だがポンセは基本当時の現代作曲家で、終楽章に露骨にメキシコの民族主義的なリズムが顔を出す以外は比較的冷めた機械的な書法で無駄なく「無難に前衛な」音楽を描いている。けして無理のない、でも簡素ではない音楽は新古典主義の気風を受けていることを裏付けているが、あとはソリストの表現力ということになり、その点でいうと後年よりもこの若きシェリングのほうが線が太くはっきりした情感ある音楽を作り上げており、モノラルではあるが一聴に値すると思う。バティスのものよりはこちらを推したい、それはオケがすばらしく「現代的」で、ブールの冷徹な技術がコロンヌ管の透明感ある音を利用して、この曲をローカリズムから脱却させているという点でも言えることである。

大曲感が強く、だらだらとはしないが聴くのには少々勇気がいるかもしれない曲であるものの、凝縮されたようなモノラルだと寧ろ聴き易い。シェリング好きなら若きシェリングがけして開放的なスケール感を持ち、鉄線のような音でやや技巧的にぎごちなくも美しく表現する人であったのではなく、同時代の巨人的ヴァイオリニストに匹敵する技巧を兼ね備えある程度骨太に滑らかに連綿と物語を綴ることができていることにちょっと驚きがあるかもしれない。特徴としてある高音の音響的な美しさが既に現れている、しかし禁欲的で無味無臭でもない、そこがポンセの立ち位置と合致したところをブールがうまく演出している。倍音を多く取り込むアナログ盤からの板起こしであることを明言しており、それゆえ僅かなノイズは避けられず(但し板起こしが原盤ディジタル起こしを上回る見本のような復刻状態ではある)○にはしておくが、シェリングの出来立てホヤホヤのようなポンセに出会えるいい機会。在庫稀少とは単に僅かしか生産していないだけなので焦ることはない、機会ができたらどうぞ。それにしてもシェリングはステレオ以降の印象が強く、モノラル期はこんなふくよかで自然な面もあったのかと驚いた。

Sibelius: Violin Concerto in D minor; M.Ponce: Violin Concerto / Henryk Szeryng, Ernest Bour, Concerts Colonne
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ヴィラ・ロボス:ウイラプル

2009年02月02日 | その他ラテン諸国
○ストコフスキ指揮アメリカ交響楽団?(DA:CD-R)1967/12/18live

アイヴズの4番の前プロだった模様。前衛的といっても、古いマニアには懐かしい、古いアンチは眉をひそめる、しかし現代の一般マニアには前時代的なくぐもりを含む前衛の響きやリズム構造よりも、更に時代を遡ったフランス系の香り、とくにミヨーの野心を灰汁抜きした、ストラヴィンスキーを換骨奪胎した、オネゲルをリスペクトした、ラテンの旋律(ぽいもの)、複リズム、新古典的な対位法が多用される、直感的に楽しい音楽と捉えられるものだろう。理知性で感情的なものを抑えようとしない中南米の作曲家特有の面白さである。何せ神話上の、象徴主義的な鳥を題としているのだから、具象的なものはあらわれないけれども、抽象性ばかりを強調することもできないのである。ビラロボは晦渋な作品も多く、これもそれが無いとは言えず演奏が娯楽的かつ色彩的に煽っている面も否定できないが、楽しい。精度もなかなかのものだが録音はDAにしてはまあまあという程度でホワイトノイズはちょっと耳障り。正規音盤としてはマーキュリーにドラティか何かのものがあったと思う。○。
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レスピーギ:ローマの噴水

2009年02月02日 | その他ラテン諸国
○ライナー指揮シカゴ交響楽団(RCA,BMG)CD

芸風的にはいかにもアメリカに多かったギチギチ高精度なうえに押せ押せのテンポという、トスカニーニの亡霊にとりつかれたままのようなもの、それがライナーにおいても表われているが、この人は色彩をそれほど煽らず、表現も深堀りせず隈取を濃くすることは決してなく、ライヴではあらわせないようなニュートラルな美観を音盤にて示すことがままあり、これもその感が強い。オケの力量や力感よりも、わりとすっと聴けてしまう、余りイタリア的な瞬間湯沸かし器が発火しない演奏に思えた。○。

SACDで出ている。XRCDもあるが高い・・・でも優秀録音なので・・・
レスピーギ:ローマの松
ライナー(フリッツ)
BMG JAPAN

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ファリャ:バレエ「三角帽子」第二組曲

2008年12月15日 | その他ラテン諸国
〇モントゥ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1961/7/23LIVE

細部まで実に明快で一音たりともおろそかにせず、スコアの仕掛けの魅力だけをオケの見事な技術を背景に聞かせる、しなやかでそつの無い演奏ぶりはいつものこと。だが、聴衆は大ブラヴォ。リズムもテンポも熱狂的では無い冷静さがある。音は温かくこじんまりと固まった充実ぶりだが、クールなところがどこかあるのだ。個人的にはまったく惹かれないが、ステレオだしいいか。
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レスピーギ:ローマの松

2008年11月26日 | その他ラテン諸国
○ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1961/8/6LIVE

ステレオ録音が明晰すぎて荒が目立つ、、何かぶよぶよしていて済し崩しにはいる拍手も構成力の弱さを象徴しているようにおもう。起伏が起伏としてきちんと録音されておらず、聞こえなくてもいいブラスの隅々まではっきり聞き取れてしまう。あと、この曲はやっぱり一楽章冒頭で決まる。壮麗なだけだとリズムがしまらずテンポをしっかり印象づけられない。以後すべてだらだら聞こえてしまう。三楽章はさすがに綺麗に決まっている。○にはしておく。
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ヴィラ・ロボス:ショーロス第1番、第2番

2008年11月06日 | その他ラテン諸国
○作曲家指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1945/2/24LIVE

やや長すぎるが、えんえんと続く楽しげなリズムと豊かな音響、色彩の様々に変幻する厚い構造、その円熟を感じさせる巧みさが、次第にボストンオケを攻撃的に煽り始め、ミュンシュを思わせるテンションが持続するようになる。テンポルバートもものともせずオケのアンサンブルは乱れない。ソリストも悉くジャムセッションのようなノリだが決して外さない。硬質正確、でも熱気のある、ファリャがより抽象複雑化したようなまさにビラロボ、という音楽にマッチした楽団だ。曲がやりやすかったのかもしれないが。録音は明らかで迫力はあるが悪い。○。
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ファリャ:三角帽子第二組曲

2008年11月05日 | その他ラテン諸国
アンセルメ指揮シカゴ交響楽団(DA:CD-R)1968/1/25live

録音が左右完全分離したステレオで安定しない。状態も悪いので聞きづらい。アンセルメがシカゴというオケを使ってひときわ透明で「引いた」演奏をしているのがわかる。最後にボリュームは出てくるが基本的に熱狂はしない。聴衆はブラヴォ大喝采なので、オーマンディ張りの迫力だったであろうことはわかるが、録音としてはイマイチぱっとしない。
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ヴィラ・ロボス:ブラジル風バッハ第7番

2008年11月04日 | その他ラテン諸国
○作曲家指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1945/2/24live

いかにも楽天的な楽想から巧みに構造的な書法を駆使していつしか古典派音楽の流儀に収束させていくような組曲だが、そのかんじんの冒頭で(揃い難い装飾音符的表現の嵐だから専門指揮者でないと整理しきれずしょうがないかもしれないけど)アンサンブルが乱れ、そのあとも重さを引きずった生硬さが際立ってしまっている。雑味はむしろバンスタ時代のNYPを思わせるがヘンな重厚さはボストンならでは、この楽団の即意当妙さ臨機応変さのなさが垣間見える、と言ったら言い過ぎか。バッハ模倣が露骨になると前時代的な分厚さ以外は気にならない。この人の自作自演ではありがちだが録音悪い。○にはしておく。
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マリピエロ:交響曲第4番「ナタリア・クーセヴィツキーの思い出に」

2008年10月30日 | その他ラテン諸国
○クーセヴィツキー指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R他)1948/2/3(3/2?)LIVE

既に書いたASdiscの演奏と恐らく同じ。輝かしく気高い演奏ぶりにこの指揮者のいつもと少し違う意気込みが感じられる。曲は基調ミヨーで民謡音階やアメリカ的なブラス中心の「ぶっぱなし」というか「挽歌」などちょっと前時代的な魅力がある。20世紀の国民楽派好きには結構アピールするだろう。録音はノイズを抑えればまともに聴ける。迫力が伝わる。○。
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ファリャ:バレエ「三角帽子」より三つの舞曲

2008年10月11日 | その他ラテン諸国
○アンセルメ指揮シカゴ交響楽団(DA:CD-R)1968/1/25live

アンセルメがこのクラスのオケ、しかもシカゴのような音と精度のオケを持っていたらずいぶんと同時代の評価も変わっていただろう、と思う。それほどに凄い演奏で、一見前に向かわない縦を意識しすぎたテンポに聞こえるのだが、リズム感が言葉で言い表せないくらい絶妙で、そこにシカゴのボリュームのある高精度の音がびしっと決まってくると、終曲では「もうこれ以外いらん」と思わせるくらいの感興を催されてしまう。これがアンセルメのバレエ指揮者としてのセンスなのだ。録音が余りよくないので○にとどめておくが・・・解釈の基本は他と変わらない、オケの違いだ。ブラヴォも少し飛ぶがシカゴの聴衆らしい落ち着いた反応。ファリャのこの組曲は「第二組曲」と表記すべきなのかもしれないが、ややこしいなあ。アンセルメはややこしい組み合わせの組曲も録音している。
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レスピーギ:ローマの松

2008年10月08日 | その他ラテン諸国
○カンテルリ指揮NYP(DA:CD-R)1955/3/27live

あまりの速さにびっくりしてしまうが、カンテルリにしては雑音が少ないので(細部が潰れているから2,3楽章はイマイチ伝わらない部分もあるが)煌びやかで前進的な、トスカニーニ的とはいえ明らかに若々しく、より細かい構造への鋭敏な対応ぶりとフランス的な冷美な響きへの感覚の存在を感じさせる演奏ぶりが楽しめる。スピードにブラスソロがついていけない部分があっても、やっぱりアッピア街道は盛り上がり、ブラヴォー大喝采となるわけである。ちょっと即物的な感じはあるし録音のせいでスケール感もないが実演の迫力は凄かったのだろう。○。
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ヴィラ・ロボス:ブラジル風バッハ第2番~「カイピラの小さな汽車」

2008年10月07日 | その他ラテン諸国
○グーセンス指揮LSO(EVEREST)1960/1・CD

アメリカ音楽集の一つ。この職人的指揮者のモノトーンな音作りは余り好きではないのだが、この演奏も今ひとつ楽しく無い。硬質で純音楽的な作り方は分析的な聴き方を好む方には向くだろうが、ビラロボっぽくない。不規則なリズムに工場の機械音のような不協和音がただ連続するだけのように感じる。うーん。
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ファリャ:三角帽子第二組曲

2008年07月09日 | その他ラテン諸国
○ローゼンストック指揮NHK交響楽団(CBS,NHK)1956/3/14live・LP

迫力ある録音のせいもあるのだろうが立派な演奏で、しっかりしたリズムとかっちりしたアンサンブル、中欧臭いとはいえ色彩的に足りないこともなく演奏精度もライヴとしては十分。ラテン系の演奏にありがちな、血のままにリズムをとりがちゃがちゃやって派手に終わるあっさりしたものとは違い、あくまで抽象音楽として(ファリャ的にどうなのかはわからないが)昇華したうえで壮大な音楽絵巻に仕立てていく、生硬さが否めない部分もあるが、なかなか聞ける。両端楽章が聴きモノか。○。

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レスピーギ:ローマの噴水

2008年06月19日 | その他ラテン諸国
○パレー指揮デトロイト交響楽団(DA:CD-R)1963/1/9live

せっかち。リズム。これがパレーの80パーセントを占めており、この演奏も冒頭からつんのめり気味のテンポでひたすら絶妙なリズムが表現されるわけだが、表層的な派手さだけではない、未だリムスキー譲りの濃厚な響きが残る箇所もうねらせるだけの指揮の幅を持っていることがわかる。ライヴでこの速さなので細部にこだわる余裕は無い演奏ぶりだけれど、非常に貧弱な録音においてもおお、と思わせる爆発的推進力やスケールの大きな表現が有機的に織り交ぜられ、この人の得意分野はやっぱりこういう曲だなあ、と納得するものがある。高音で木管アンサンブルが繰り広げられる天国的なメディチ家で、細かい音符の交錯を生命力溢れるきびきびしたさばきかたをしつつ、品のよい雰囲気を醸していくさまはかつてパリでならしたこの指揮者の本領発揮の部分でもあろう。穏やかな拍手。どうしても「ローマの泉」と書いてしまうなあ。間違いではないんだけど。

パレーについて>
オケトレーナーとしてならした指揮者に共通の単調さにもかかわらず、この人のファンはマニアには多い。最近は作曲家としての再評価も進んでいる。だがわりと表立って取りざたされない。なんでだろう。不当に低い評価をされているのはアメリカにわたってのち殆どフォード村の専従指揮者になってしまい録音もその時期mercuryに集中的に行ったのみで、フランス時代やナチス抑留から流転時代の功績が顧みられないからか。オートグラフも量が出ているからという以前に凄く安い。日本とも縁がないわけではないし、逆にそれだから日本で忘れられないという側面もあるのかもしれない。mercuryは近年、廃盤もまとめてリマスター廉価復刻して一部高額収集マニアの顰蹙を買った。そんなマニア滅んでしまえ(LPで集めろ)。演奏スタイルが安定し一貫しているのでオールマイティに振っているが(アメリカの常で長いロシア曲はカットバリバリだったりもするが)、音盤は大衆向けの小品集が多い。中ではお国のフランスものを聴いたほうがいいだろう。ドビュッシーよりラヴェルだ。サンサンのオルガンは師匠デュルフレが参加しており歴史的価値のある盤。
ラヴェル:管弦楽曲集
パレー(ポール)
ユニバーサル ミュージック クラシック

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サン=サーンス:交響曲第3番
デトロイト交響楽団
ユニバーサル ミュージック クラシック

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