東野圭吾の新刊「パラドックス13」を読みました。
「3月13日の13時13分から13分間に人類が経験したことのない未知の超常現象が起こる」という
SF大好きの俺にはたまらない一冊で、寝る時間を惜しんで2日間で読みました。
今日に至っては会社へ向かう電車の中で読んでで、
たった5分間なのに熱中しすぎて一駅乗り過ごしたくらいです。(入社後初)
ここまでのめりこんでしまった本は村上龍の「五分後の世界」「半島を出よ」以来で、
読み終わった今でも興奮が続いてます。
以下、読書感想文ですが、
ネタバレのためマウスのドラッグで浮き上がるようにします。
結論
「SF世界を愉しみながら、細やかな集団の心情描写を楽しめる傑作!!」
「3月13日の13時13分から13分間に人類が経験したことのない未知の超常現象が起こる」という
SF大好きの俺にはたまらない一冊で、寝る時間を惜しんで2日間で読みました。
今日に至っては会社へ向かう電車の中で読んでで、
たった5分間なのに熱中しすぎて一駅乗り過ごしたくらいです。(入社後初)
ここまでのめりこんでしまった本は村上龍の「五分後の世界」「半島を出よ」以来で、
読み終わった今でも興奮が続いてます。
以下、読書感想文ですが、
ネタバレのためマウスのドラッグで浮き上がるようにします。
↓以下ドラッグでネタバレ乱舞です。 まず読んでいて心地良かったのは、 東野圭吾にしては章ごとにメイン人物や場面がぶつ切りにならず スピーディーに物語が進行していったことです。 (「分身」とか、「さまよう刃」は頭の切り替えが大変でした。) 世界から人間が消えるというとんでもなく大きなナゾが冒頭から突きつけられるため 複雑な伏線がごちゃごちゃと展開することもなく、 「なぜ人間が消えてしまったんだろうか?」 「P-13現象とは一体何なのか?」という大疑問に常に向き合いつつ読み進めることができます。 登場人物の心情も読み取りやすい点もよかったです。 10人を超える登場人物それぞれの思いが適度に描写されますが、 最も印象深いのはエリート警官のお兄ちゃん(以下お兄ちゃん)です。 お兄ちゃんが統率力を発揮して皆から信頼を得る反面、 極限状態に陥ってさすがの彼にも統率しきれなく場面は 読んでいるこちらも息の詰まる思いです。 民主主義を貫いているかのようで時に独善的だったり 女性陣に種を残すための生殖行為を真っ向から提言して信頼を失ったり 人間として完璧すぎない点もお兄ちゃんの魅力でした。 専務が割と早い段階で集団行動にケチをつけ始め、 「ああ、こういうキャラは死に役なんだろうなぁ」と思っていましたが お兄ちゃんが「年配の人を敬え!」と周囲を一喝したおかげで 専務が一時的に集団生活に復帰したあたりも感心しました。 俺がお兄ちゃんの立場だったら「ジジイはさっさと死ね!」と言い捨てそうな気がします。 さて物語のキーワードは"数学的矛盾"です。 高校で数学の赤点王の異名を持っていた俺は内容が理解できるか不安でしたが 大筋は理解できました。さすがにラストのくだりで一部理解しきれないところもありました。 一回読んでみた感じでは、 二度目のP-13現象時に自殺したとしても誰一人として元の世界に戻れなかったのではと思います。 お兄ちゃんが言ってましたが、P-13現象はあくまでもコピーを作成するだけであって 並行世界を移動させるわけではないと思います。 ただし理解できないのは、 ラスト付近のP-13現象(一回目)が起こるシーンの描写です。 並行世界でP-13現象(二回目)の13秒間に自殺した者だけが それぞれの致死原因を免れています。(銃撃、クレーン、交通事故) 並行世界の中で死んでしまった人(会社員二人、老夫婦、デブなど)は 最初の世界の時と同様きっちり死にました。 なぜP-13現象(二回目)の13秒間に自殺した者だけが崩壊前の世界で生き残り、 並行世界で死んだ者はもう一度死ぬのでしょうか? 一回読んだだけではわかりませんでした。 でもなんとなく思うのは、もう一度死んだ連中はもう一度並行世界に行くだろうということです。 また人のいない世界で地震と洪水に悩まされて、 P-13現象(二回目)を利用して崩壊前の世界に復帰しない限り 同じことを延々と繰り返す羽目になるのではないでしょうか? そう考えると恐ろしいです。 エリートお兄ちゃんも並行世界(二回目)に行くはずなので 彼と一緒に行動すれば面倒見てもらえそうですが、 あんまりお兄ちゃんの言うことを聞きすぎると 「田舎で農業をして生きていこう」とか言い出しかねないので注意が必要です。 ある意味お兄ちゃんが一番最後まで並行世界を抜け出せないのでは?! 感動と疑問は尽きませんが、 眠くて考えがまとまらなくなってきたのでこのへんにしときます。 最期に、この作品でひとつ惜しいところですが、 序盤からなんとなくオチが読めてしまいます。 実はこいつら全員死んでるんじゃね?って思いましたもん。 あえてそうしてるのかもしれませんが、 お兄ちゃんが銃で撃たれたのにケロッと東京駅の地下で登場するシーンや、 明らかに心中を図ったであろう母娘が登場するシーンで 彼らが一度死んだ人間であるという想像は簡単につきます。 「これはひょっとしてガンツ(漫画)と同じオチでは…」と心配になりました。 これにはこれで、 著者の深い意図があるのかもしれませんけどね。 あと1回読んで、理解を深めたいと思います。 |
結論
「SF世界を愉しみながら、細やかな集団の心情描写を楽しめる傑作!!」