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日本経団連「経営労働政策委員会報告」批判

2008年10月13日 | スクラップ

日本経団連「経営労働政策委員会報告」批判



ブルジョワジーは日本をどういう国にしようとしているのか  
(日経連と経団連が合体して日本経団連となり労問研報告の名前が「経営労働政策委員会報告」とかわった)

①労働政策として、大恐慌時代に対応した大幅賃下げと大失業、不安定雇用化を進める。

②年功的賃金制度の廃止と総額人件費削減、闘う労組の解体と御用組合の育成(と産業報告会化)という日本社会の大改造を進める。

③アメリカレーガノミックスを模倣したもの。
アメリカ・極端な賃金格差(職種間平均で5倍)と不安定雇用(一日に3件ものパートのかけもち)、労組解体と屈服。


「新時代の『日本的経営』」路線  
95年にだされた「新時代の『日本的経営』」路線

①「雇用ポートフォリオ」と言う考え方を打ち出し、規制緩和を求めた。「自社型雇用ポートフォリオ」ともいう。

「ポートフォリオ」とは書類かばんの意味。転じて経済用語としては出し入れ自由ということで証券などのことをさす。「雇用ポートフォリオ」とは労働者を出し入れ自由、すなわち雇用も解雇も自由の形態にするという意味。

②労働者を3つにわけ、正社員として雇用するのは全体の2割とし、8割は不安定雇用化して雇用も解雇も自由にするプラン。

「雇用ポートフォリオ」の3類型  

長期蓄積能力活用型グループ

期間の定めのない雇用契約。昇給あり。退職金・年金あり。
管理職・総合職・技術部門の基幹職。
全体の2割程度。

高度専門能力活用型グループ

有期雇用契約。昇給・退職金・年金なし。専門職(企画・営業・研究開発など)

雇用柔軟型グループ

有期雇用契約。昇給・退職金・年金なし。一般職、技能部門、販売部門。

③すでに日本の労働者数4937万人中1407万人(約30%)は不安定雇用となっている。(役員を除く雇用者4937万人の内、パート・アルバイト、契約社員、派遣社員などの非正規の労働者1407万人)

④正規労働者が大量にリストラされ、不安定雇用で働かざるをえなくなっている。

対前年比で、常用雇用労働者全体で0.7%減、うち一般労働者1.7%減、パートタイム労働者3.3%増。(11月調査)

臨時雇用の数値。非農林業雇用者5337万人中、常雇4611万人で前年比46万人(1.0%)減、臨時雇用610万人、(同)36万人(6.3%)増、日雇116万人、(同)5万人(4.1%)減

この数年のパート労働者の増加。1998年957万人、2002年1097万人(5年間で15%増)

パート労働者数の変化(大よその数) 1965年180万人(男性90万人、女性90万人)、70年210万、75年360万、80年395万、85年440万、90年720万、95年900万、00年1010万人(男性300万人、女性700万人)。

対してパート労働者と正規雇用の賃金格差。(女性労働者の正規雇用とパートの賃金の比)
1981年71%、2001年55%

⑤昨年の日経連労問研報告では緊急避難型ワークシェアリングが大きく打ち出された。(緊急対応型)

ワークシェアリングがおお流行りしたが、緊急対応型とは雇用者数は増やさないで、賃金を下げるというもの。単なる賃下げだが、これもワークシェアリングの一種。支配階級がやるといっているのはこれのみ。昨年サンヨーでも導入された。単純に実施と行っていないが。

⑥ワークシェアリングの類型(政府分類による)

雇用維持型(緊急避難型)雇用者の数は変わらず賃金を下げる。労働時間は短縮される場合もあるが日経連は変えない場合もワークシェアリングだといっている。

雇用維持型(中高年対策型)中高年を対象に雇用者数は変わらず賃金を下げる。

雇用創出型  国または企業単位で労働時間を短縮し雇用者を増やす。フランス・ドイツ

多様就業対応型  正社員に短時間勤務を導入するなどして雇用者を増やす。 オランダ型。夫婦二人で働いて賃金は1.5人分。25%の賃下げ。




今年の「経営労働政策委員会」報告  
「多様な価値観が生むダイナミズムと創造を目指して」と題されている。

「多様」と言うのは「雇用ポートフォリオ」を指す用語。

① 賃下げという言葉を正面から打ち出した。

今までも賃上げは絶対しないとか言いながら実質的には賃下げをしてきたが、正面から賃下げすると宣言した。

昨年、実質賃金は4.4%減

② 不良債権処理をすると失業が増えるとし、社会の安定のためとして失業対策の必要性を打ちだした。資本主義ではもはや雇用も賃金も守れないというもの。一方で失業保険の改悪を打ち出す。1000万人失業自体の到来。

失業者の数値 02年7月(率5.5パーセント)
就業者6374万人(前年同月比)78万人「1.2%」減
完全失業者352万人(同)22万人(6.7%)増
非労働人口4192万人(同)100万人(2.4%)増(定年退職者等もいるだろうがこの中にも失業者が含まれている)

完全失業者のうち男性213万人、女性138万人

完全失業者中
世帯主90万人で4万人増
単身世帯55万人で1万人増
世帯主の配偶者45万人で3万人増
その他家族162万人で14万人増

求職理由別完全失業者数
勤め先都合 108万人
学卒求職者 18万人
新たに収入が必要 42万人
定年等 34万人
自己都合 119万人(この中にも嫌がらせ等によるリストラ退職が含まれている)
その他 27万人

失業期間が1年以上の者が全体の30.7%

11月調査では、全体5.4%、15歳~24歳で9.5%、特に沖縄では全体9.3%、15歳~24歳で20.8%、大阪8.6%、兵庫7.4%。

③ 失業か賃下げかという恫喝。緊急避難型ワークシェアリングと文字通りの賃下げ。

④ 「自社型雇用ポートフォリオ」をさらに進める。リストラと不安定雇用化の推進。

⑤ 「春闘」の時代はすでに終わった、「春討」だとしている。賃上げ交渉はナンセンス、経営について年に一度労働者に説明する場にする。「討議する場」とする。

⑥ 「人事、賃金制度の抜本改革」

能力給・成績主義の全面化。昇給・昇格制度を転換し年功的要素をなくする。

能力給とは賃下げのこと。また、賃金闘争の否定。統一賃金要求の否定。みんなで賃上げを勝ち取ろうという考え方を破壊するもの。

昨年はアメリカ並みの職種間賃金格差を導入する(5倍以上)といっていた。

さらにホワイトカラーに対する裁量労働制の導入と、そのための規制緩和。

⑦ 社会保障制度・教育の改悪

資本に奉仕する人間作りと教師をそういうものとして動員する。

「枯れ木に水をやる必要はない」という高齢者対策。


どう闘うか 
春闘の重要性
 
①春闘は階級と階級の力関係を決する場である。

②連合は「雇用を守ることが労働組合の生命線」として闘わずしての敗北をしている。賃闘の完全否定とワークシェアリング賃下げを自ら提唱するもの。職種別賃金、銘柄別賃金として、職種間賃金格差をもっとつけろと主張。社会主義への移行を否定し、資本主義の「永遠の繁栄」を前提とした労働組合運動の自己破産の姿だ。

「雇用問題に関する政労使合意」02年12月発表された、政府・連合・日本経団連の合意事項。

「企業の雇用維持・確保努力には困難があり、雇用に関するコストの軽減が重要である。」

「労組側においては、ワークシェアリング、生産性の向上やコスト削減などに協力する。労働条件の弾力化にも対応する。」

「就業形態の多様化(「雇用ポートフォリオ」のこと)を進めるため、必要な規制改革を推進し、労働法制の見直しを行なう」

③全労連も「生計費に基づく大幅賃上げ」を否定している。

④経済闘争の歴史的復権としての03春闘。「闘う」ということを歴史的・全社会的に復権させることだ。

「会社あっての従業員」という思想攻撃下で、リストラにおびえ、資本の攻撃にさらされている労働者を「闘って勝つ」という思想で獲得する。反合闘争、会社倒産、リストラ攻撃との闘いを具体的に「闘って勝つ」こと。春闘から全労働者・全社会を獲得する展望を開く。

個別資本との闘いと階級総体としての闘いの結合による階級形成。階級の復権としての春闘。資本主義の否定としての労働組合運動の復権をかちとる。

資本に対する怒りを怒りとして表現し、全労働者のものにしていくこと。それに成功したとき社会は変わる。怒りがどれだけあるかが一切を決する。





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