![アンジェラ・アキさん。最新シングル「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」は、高校時代、30歳の自分宛てに書いた手紙がモチーフとなった。「自分を信じ続けて」とメッセージを送る](https://mainichi.jp/enta/music/news/images/20081010mog00m200048000p_size5.jpg)
♪今 負けそうで 泣きそうで 消えてしまいそうな僕は 誰の言葉を信じ歩けばいいの?
「15歳の僕から未来のあなたへ」。誰にも話せない悩みをつづった最新曲「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」は、高校時代のアンジェラ・アキさん(31)が、未来の自分へ宛てた一通の手紙がモチーフ。手紙は昨年9月、アキさんが30歳の誕生日を迎えたその日に、母から届けられた。
アメリカ人の母と、日本人の父の下に生まれたアキさん。中高生のころはそのことから「友達とは違う。何で私だけ……」と疎外感を持っていたといい、「30歳の自分へ」と書かれた6枚の便せんには「自分って何?」「消えたい」「負けそう」と、友達にも親にも言えなかった思いが打ち明けられていた。
「『30歳の自分元気? それはいいけどちょっと聞いて』と、山のような悩みが書かれていました。鉛筆が折れた跡を見て『興奮したの?』と文字を指でなぞりながら考え、当時の自分と会話をしている間に、いまの私ならどんな言葉をかけるだろうと、歌詞が生まれていきました」。
手紙を通じ、過去の自分と時を越えてつながったと感じたアキさんは、「30歳の私から当時の自分に返事を書こう」と、2番の歌詞を書き進めた。
♪負けそうで 泣きそうで 消えてしまいそうな時は 自分の声を信じ歩けばいいの
「10代のころ、大人はどんな答えも知ってると思っていましたが、いまも悩んだり迷うのは同じ。大学受験の失敗や、恋に破れたり、色んなことがありましたが、どんな経験もすべて意味がある。Keep on Believing。どんなときも自分を信じ続けて欲しい」。
同曲は合唱コンクールの全国大会「NHK全国学校音楽コンクール」中学の部の課題曲に起用され、12日に「NHKホール」(東京都渋谷区)で開かれる本戦出場の夢を乗せて多くの学生たちに歌われた。
「歌ってくれた中学生から、いじめや進路などに悩んでいると告白された。私自身、大学受験に失敗したときは打ちのめされた。つらい中にいる人に『大丈夫』なんて軽々しく言えない。でも志望校じゃない大学でできた友だちと見たサラ・マクラクランのライブで、歌手になろうと決意した。つまづきのどれか一つが欠けても今の自分はない。曲を通じて子供は親の気持ちを想像したり、親は子供の時のかっ藤を思い出し互いに歩み寄ってもらえたら。私は子供のころ母が泣いている姿を見た時、『ホンマにつらいんや。私たちって一緒かも』と距離が近くなったので」。
今夏、大阪で開かれた弾き語りでのステージ。舞台にはグランドピアノがひとつだけ。アキさんは、一音一音に魂を吹き込むよう、時には足を振り上げて全身で観客の心に訴えていく。同曲を歌う前には「幸せは信じて歩いて行く間に見つかる。つらさを抱えて生きる人、そしてそれを乗り越えた人に贈りたい」と思いを込めた。【西村綾乃】
〈アンジェラ・アキ プロフィル〉
77年9月15日、徳島県生まれ。05年にシングル「HOME」でデビュー。06年6月発売のファーストアルバム「Home」が60万枚を超えるヒットを記録し、同年「NHK紅白歌合戦」に初出場した。
毎日インタラクティブ 2008年10月11日
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