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雇用情勢悪化の一途、前途見えぬ失業者 少ない求人争奪

2009年01月31日 | スクラップ



 厚生労働省は30日、非正規雇用労働者の雇用状況などをまとめた。3月までの半年間の失職者数は、昨年11月調査では約3万人、12月は約8万5000人、そして今月は約12万5000人と膨らみ続ける。一方で、NECが2万人超の人員削減を発表するなど、業績悪化で大手企業の雇用カットも加速する。雇用状況は深刻化するばかりで、労組関係者からは国の早急な対策を求める声が高まっている。

 「失業者が増えて、ただでさえ少ない求人の奪い合いになっている。早く仕事を見つけたいが、どうあがいても見つからない」。25日に雇用契約を打ち切られた元派遣労働者の男性(44)は疲れ切った表情で語った。

 男性は昨年5月から長野県内のソニー子会社のパソコン製造工場で働いていたが、年末に1カ月後の契約解除と寮からの退去を通告された。それから住み込みの仕事を探しているが、面接を受けたタクシー会社や飲食店など10カ所で断られた。今は東京都内のカプセルホテルに滞在しながら求職活動を続けている。

 「若い人はまだ仕事はあるだろうが、私はこの年齢で何のスキルもない。仕事がないままお金が底をつけばどうなるか分からない」と表情を曇らせた。

 都内に住む男性(37)は昨年10月、1年近く働いた神奈川県内の自動車工場の仕事を切られた。契約は2カ月以上残っていたが、派遣切りが社会問題化する前だったため、抵抗もできずに寮を出た。

 インターネットカフェなどを転々として仕事を探したが見つからなかった。20万円あった所持金が10万円を切ったころ、ネットカフェで声を掛けてきた労働組合の若者が相談に乗ってくれ、生活保護を申請してアパートを借りることができた。

 昨年11月中旬から3カ月の契約で、自動車部品工場の派遣で働き始めた。ネットカフェ生活で体調を崩していて、仕事を始めてから2週間目に2日休んだ。担当者に呼ばれ、「仕事が減って人がいらなくなった。休む人はいらない」とまた中途解雇を告げられた。年末を前に再び失職。生活保護を再申請し仕事を探している。「2回も切られてますからね。もう派遣ではダメだってつくづく思う」と深いため息をついた。

 派遣労働者など非正規雇用労働者を中心とした個人加盟労組、首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「厚労省の調査は正確に実態をつかんでいるのか」と疑問を投げかける。あるトラック工場は計500人の中途解除を公表したが、それ以外にも構内請負や請負会社に派遣された労働者などが失職していたからだ。

 労組では「年越し派遣村」以来、支援の動きが広がりつつある。連合は、失職した人の就労と生活を支援するカンパ活動を全国的に展開することを決めた。電機連合も産別としてカンパに取り組み、企業にも資金の拠出を迫る方針だ。河添書記長は「企業にこれ以上の解雇を許さないためにどう手を打つか、厚労省には真剣に考えてほしい」と訴える。【東海林智、山本太一】

 


■人員削減の波、さらに 大手企業「収益改善のため」

 大手自動車、電機メーカーは急激な業績悪化を受け、人員削減を加速している。30日は日立製作所、NEC、富士重工業などが新たな削減を発表。国内自動車メーカー12社の非正規社員削減数は計約2万3000人に達する。日立、ソニー、東芝、NECの大手電機4社の削減数は正社員を含め4万人を超える勢いで雇用カットの波はさらに大きくなる気配だ。

 NECは30日、09年度末までに国内外で2万人超の人員を削減すると発表、正社員削減も1万人程度に及ぶ。矢野薫社長は会見で「収益改善のため手を打たなければならない」と理解を求めた。日立の古川一夫社長も国内外で7000人を削減・配置転換する方針を表明した。

 自動車メーカーでも、富士重工業が同日、約1万台の追加減産と期間従業員約100人の契約を更新しない方針を発表。6万9000台減産で2月の稼働日が通常より13日少なくなる日産自動車の栃木工場は、座学研修などで雇用を維持する意向だが、「そろそろ限界」と話す。

 労組からは「内部留保を取り崩してでも雇用は維持すべきだ」との声も出るが、経営側は「内部留保は万が一の備え」と慎重姿勢を崩さない。第一生命経済研究所の中本泰輔氏は「雇用は深い調整局面を迎え、失業率もさらに上昇するだろう」と指摘している。【森禎行、宇都宮裕一】

 



◆主な自動車、電機メーカーのリストラ◆

トヨタ   期間     6000人

ホンダ   期間・派遣  4350人

日産    派遣     2000人

マツダ   派遣     1500人

スズキ   期間・派遣  960人

 (自動車12社合計で約2万3090人)

NEC   正・派遣など 2万人超

ソニー   正・派遣など 1万6000人超

日立    正・派遣など 7000人

東芝    期間・派遣  4500人

村田製作所 派遣など   4500人

日本IBM 正      1000人

 ※期間は期間従業員、派遣は派遣社員、正は正社員。日立は削減と配置転換の合計。NEC、日立などは国外も含む





毎日新聞 2009年1月31日 東京朝刊

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