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中国残留孤児訴訟

2007年07月09日 | スクラップ
<中国残留孤児訴訟>原告側が終結方針決定 支援策受け入れ
7月8日21時13分配信 毎日新聞


 中国残留孤児訴訟の原告側弁護団は8日、東京都内で全国連絡会を開き、与党プロジェクトチーム(PT、座長・野田毅元自治相)が9日に正式決定する新たな支援策を受け入れることを決めた。原告側は今後、賠償は求めずに和解か訴えの取り下げによって訴訟を終結させる方針。帰国した孤児の約9割が「尊厳の回復」を求めて起こした訴訟は全面解決に向かう。
 PTの支援策は(1)基礎年金を満額の6万6000円支給(2)生活保護に代わる特別給付金制度を創設し最高8万円を支給(3)住宅・医療費などの扶助――が主な柱。ただ、生活保護と同様に、その他の収入の有無を調べる「収入認定」が前提で、孤児側は「生活を監視され尊厳を持てない」と認定の撤廃を主張。PT側は認定から外す金額を増やし増収を図ることで対応、孤児の約6割に上る生活保護世帯の月収は8万円から14万6000円に増える計算だ。
 また、弁護団によると、PT側から6日に新たな支援策案が示された。この中で(1)収入認定に関して厚生年金などの取り扱いで、さらに一定の配慮をする(2)訴訟終結の際、係争中は猶予されていた収入印紙代約2億5000万円を孤児側は負担せずに済む(3)国の従来の施策が不十分だったことや、支援策を実行する際に孤児の尊厳を傷つけないよう配慮するなどとした「見解」を示す――としている。
 これを受けて各地の原告・弁護団の意見を集約したところ、孤児側が撤廃を求め焦点になっていた収入認定制度は残るものの「孤児の尊厳回復や老後の生活保障など訴訟の目的は達成される」と判断し、最終的に受け入れを決めた。
 孤児への支援策を巡っては、安倍晋三首相が今年1月、厚生労働省に夏までの立案を指示し、与党PTが間に入って孤児側と調整を続けていた。【高倉友彰】

 ▽中国残留孤児訴訟 帰国した孤児約2200人が「早期帰国の実現や、帰国後に自立支援する義務を怠った」として国に1人3300万円の賠償を求めた訴訟。02年12月の東京地裁を皮切りに15地裁に提訴した。これまで8地裁で判決があり、神戸地裁は06年12月に国に賠償を命じた。残り7地裁はいずれも孤児側敗訴だが、多くの判決は国の法的義務や政治的責務は認めた。現在は10地裁(仙台、山形、東京、長野、名古屋、京都、大阪、岡山、福岡、鹿児島)と6高裁(札幌、東京、名古屋、大阪、広島、高松)で係争中。
 ◇「老後の安定」へ新制度作り出す
 新たな支援策の取りまとめが難航した背景には、支援を弱者救済の社会保障ととらえる政府と、戦中戦後になめた辛苦への賠償を求める孤児側の立場の違いがあった。与党PTの支援策は社会保障の枠組みを残しつつ、多くの例外規定を設けて給付額を大きく上積みするという、両者の主張の中間を取った産物と言える。
 支援策が、基礎年金の増額と生活保護に代わる特別給付金の「2階建て」になることに、厚生労働省も孤児側も異論はなかった。問題は、給付の額と算定方法。政府にすれば、残留孤児だけに厚い措置を取れば、他の戦争被害者や生活保護受給者とのバランスが保てない。孤児側にすれば、給付額や方式が従来と同じなら、孤児の置かれた特殊な環境を無視した「名を代えた生活保護」に過ぎないからだ。
 この対立の解消を託された与党PTは、従来の社会保障とも損害賠償とも違う「老後の生活安定」をキーワードに、残留孤児だけに適用される新たな制度をひねり出した。収入認定を残した枠組みは厚労省の意向に近い一方、住宅・医療費なども含め1人世帯で月20万円前後になる実質収入の高さは孤児側の主張に沿った形だ。
 戦後の日本の高齢者福祉は、経済成長に伴う個人の蓄えがあることを前提に、年金や医療費負担の軽減で収入が減った分を補完してきた。長く日本に帰れなかった残留孤児は、高度成長の恩恵を受けず、蓄えもない。しかし、厚労省は孤児を「貧困者」の枠に押し込んで生活保護で対応してきた。神戸地裁が「帰国後の支援は極めて貧弱」と指弾したように、同省の不作為は責められるべきだろう。【清水健二】


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最終更新:7月8日22時45分

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