首相の反省は受け止められたが、信頼回復にはほど遠い--。内閣改造を受けて実施した毎日新聞の世論調査では、こんな結果が出た。
内閣支持率は、参院選後に実施した前回調査よりも11ポイント上昇し30%台に回復した。また民主党に比較して半分だった自民党の支持率も戻り民主党と同率となった。
内閣支持率の上昇は、国民が今回の人事で安倍晋三首相の反省を感じとったからだろう。首相は「お友達を集めた」という批判を意識し、「裸の王様だ」と批判した舛添要一氏を年金改革を担当する厚生労働相に起用した。
また、お友達の代表格だった塩崎恭久氏に代えて、ベテランで政策通の与謝野馨氏を内閣の要である官房長官に据えた。
首相は記者会見で「中央と地方の格差問題にもっと配慮すべきだというのが参院選の教訓だ」と語り、「格差是正担当」として岩手県知事の経験がある増田寛也氏を総務相に登用した。
「政治とカネ」のスキャンダルや失言が相次ぎ、4人もの閣僚が閣外に去った前内閣の迷走ぶりに国民はうんざりしていた。
新味には欠けても実務に詳しい実力者を多く配した改造内閣の布陣に、国民は一種の安心感を覚えたのかもしれない。
しかし支持率が上昇したと言っても、20%台から抜けだしたに過ぎない。いまだ政権発足時の半分であり、不支持率は約20ポイントも多いのだ。今回の人事についても「評価をしない」が「する」を上回っている。
とりわけ厳しいのは「首相はいつまで政権を担当すべきか」という質問に対する回答だ。
「今すぐやめる」と「年内でやめる」で半数近くに上り、「1年くらいでやめる」を加えると7割を超える。選挙で惨敗したにもかかわらず続投した首相の決意が、から回りしているようだ。
内閣支持の理由を見ても「首相の指導力」を挙げた人は1割に満たない。
与謝野官房長官は就任会見で「支持率をいっぺんに回復するようなマジックはない。仕事を進めながら国民に対して説明責任を果たす努力があって、支持率が上がっていく」と話した。
その通りだろう。しかし首相からは内閣全体で取り組むのはこれだという、必死のメッセージが国民に伝わってこない。説明責任を果たす努力も怠っている。
「戦後レジームからの脱却」は封印して、生活重視にシフトするならばそれを明確にすべきである。27日の記者会見でも、何を優先課題にするか、首相の中に迷いも感じられた。
人事でも挙党体制をとり「安倍降ろし」の芽を摘み取ろうとしたものの、首相に距離を置いている福田康夫元官房長官や谷垣禎一元財務相らを取り込むことはできなかった。
調査でも分かるように、国民は首相に対して猶予を与えていない。臨時国会の所信表明では明確な政策目標を打ち出すべきだ。
毎日新聞 2007年8月29日 3時05分
内閣支持率は、参院選後に実施した前回調査よりも11ポイント上昇し30%台に回復した。また民主党に比較して半分だった自民党の支持率も戻り民主党と同率となった。
内閣支持率の上昇は、国民が今回の人事で安倍晋三首相の反省を感じとったからだろう。首相は「お友達を集めた」という批判を意識し、「裸の王様だ」と批判した舛添要一氏を年金改革を担当する厚生労働相に起用した。
また、お友達の代表格だった塩崎恭久氏に代えて、ベテランで政策通の与謝野馨氏を内閣の要である官房長官に据えた。
首相は記者会見で「中央と地方の格差問題にもっと配慮すべきだというのが参院選の教訓だ」と語り、「格差是正担当」として岩手県知事の経験がある増田寛也氏を総務相に登用した。
「政治とカネ」のスキャンダルや失言が相次ぎ、4人もの閣僚が閣外に去った前内閣の迷走ぶりに国民はうんざりしていた。
新味には欠けても実務に詳しい実力者を多く配した改造内閣の布陣に、国民は一種の安心感を覚えたのかもしれない。
しかし支持率が上昇したと言っても、20%台から抜けだしたに過ぎない。いまだ政権発足時の半分であり、不支持率は約20ポイントも多いのだ。今回の人事についても「評価をしない」が「する」を上回っている。
とりわけ厳しいのは「首相はいつまで政権を担当すべきか」という質問に対する回答だ。
「今すぐやめる」と「年内でやめる」で半数近くに上り、「1年くらいでやめる」を加えると7割を超える。選挙で惨敗したにもかかわらず続投した首相の決意が、から回りしているようだ。
内閣支持の理由を見ても「首相の指導力」を挙げた人は1割に満たない。
与謝野官房長官は就任会見で「支持率をいっぺんに回復するようなマジックはない。仕事を進めながら国民に対して説明責任を果たす努力があって、支持率が上がっていく」と話した。
その通りだろう。しかし首相からは内閣全体で取り組むのはこれだという、必死のメッセージが国民に伝わってこない。説明責任を果たす努力も怠っている。
「戦後レジームからの脱却」は封印して、生活重視にシフトするならばそれを明確にすべきである。27日の記者会見でも、何を優先課題にするか、首相の中に迷いも感じられた。
人事でも挙党体制をとり「安倍降ろし」の芽を摘み取ろうとしたものの、首相に距離を置いている福田康夫元官房長官や谷垣禎一元財務相らを取り込むことはできなかった。
調査でも分かるように、国民は首相に対して猶予を与えていない。臨時国会の所信表明では明確な政策目標を打ち出すべきだ。
毎日新聞 2007年8月29日 3時05分
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