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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

無実のゴビンダさんを支える会事務局長 客野美喜子さんの報告(上)

2013年03月13日 | 平和憲法
  取り調べの可視化の実現を<2>
 ◆ 冤罪なのに検証すらしない検察


 東電OL殺人事件〔註〕で、無期懲役の有罪判決を受けて服役していたゴビンダさんは昨年6月7日、再審開始と刑の執行停止の決定を受けて祖国ネパールに帰国することができた。
 そして11月7日、再審無罪判決にゴビンダさんは、このよつなコメントを寄せている。
 「どうして私が15年間も苦しまなければなりなかったのか。日本の警察、検察、裁判所はよく考えて悪いところを直してください。無実の者が刑務所に入れられるのは、私で最後にしてください」
 この悲痛な訴えに日本の司法は、応えようとしているだろうか。残念ながら答えは、「ノー」だ。
 彼らは、「結果的に申し訳なかったが、捜査や公判の在り方に問題はなかった」と言って、検証の必要性さえ認めようとしていない
 これでは、いつまでも同じことの繰り返しで、冤罪は決してなくならない。
 彼らに自浄能力がない以上、冤罪をなくすには取調べの全過程の可視化、全面証拠開示を法的に義務付けるしかない
 1月18日の法制審議会特別部会の「基本構想案」には、本当に失望した。私たちの求めていたものとは、大きくかけ離れた内容だ
 可視化が大きく後退した内容になっているのと、可視化と証拠開示があたかも別々の問題であるかのように切り離して議論されていることに大きな危惧を感じている。
 可視化と証拠開示は、相互に関連している

 警察は、事件発生直後からゴビンダさんを犯人と決めつけていた。まずオーバーステイで別件逮捕し、ここから強盗殺人について取調べを開始する。
 ゴビンダさんは駆けつけた当番弁護士(神山啓史弁護士=東京第二弁護士会)に、「私がいくら『やっていません』と言っても、警察は聞こうとしてくれません」と訴えた。
 神山弁護士は、ゴビンダさんに「密室での取調べで身を守る方法は黙秘しかない。黙秘しなさい」とアドバイスした。そして、毎日欠かさず接見に通った。そのおかげで、ゴビンダさんには、「足利事件」や「布川事件」のようにウソの「自白」はなかった
 〔註〕 「東電O」殺人事件」は、1997年3月19日、東京都渋谷区円山町のアパートの空室で、東京電力の女性社員(当時39歳)が遺体で見つかり、ネパール国籍の元飲食店従業員ゴビンダ・プラサド・マイナリさん(当時30歳)が強盗殺人事件に問われた事件。
 2000年4月、東京地裁は無罪としたが、同年12月、東京高裁は無期懲役を言い渡し、最高裁で確定した。05年3月、弁護団が再審請求し、東京高裁は12年11月7日、無罪を言い渡した。
『週刊新社会』(2013/2/26)

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