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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

団地自治会で取り組んだ基地局問題

2021年07月20日 | 電磁波と基地局
 ◆ 自治会としても取り組んだ基地局問題
   楽天が自治会内の住宅専用地には設置しないと回答
(電磁波研会報)
小坂泰介さん(大阪府河内長野市、電磁波研会員)

 ◆ どんな住宅地か

 大阪市の難波から高野山に向かう急行で35分に徒歩20分、棚田と鎮守の緑に囲まれた北青葉台(約1000戸)は、南北700m東西400mの造成宅地で、全域が規制の最も厳しい第1種低層住居専用地である。
 河内長野市には自然と文化遺産が残されている。大規模残土処分場を阻止するなど環境を守る住民活動が続いてきた。
 楽天が基地局を計画した20年10月、工事会社が北青葉台の半径30m内の家々を訪問して楽天基地局設置工事の挨拶チラシを配布した。
 住民から代議員(自治会の区画6との代表者)を通じて自治会長へ不安の声が届き、自治会長が工事会社に電話して説明を求めた。
 これとは別に、電磁波研会員の小坂が楽天ホームページのエリア拡大予定図から推測して、基地局設置の話がないか自治会長に問い合わせて自治会の動きを知った。
 ◆ チラシ作成と戸別訪問

 小坂は自治会長に『電磁波の何が問題か増補改訂版』を贈呈するとともに、同書「取り組みノウハウ」にそって自宅住所を記したチラシ①を作り予定地近隣50戸を訪問した。
 かなり勇気のいる行動だったが効果はたいへん大きく、半数以上の住民と会話して「自分は反対だ。何したらいい?」「自治会に動いてもらうべきだ」「前にも基地局計画を阻止したことがあった」等の反響があった。
 「何したらいい?」と言ってくれた住民数人と、11月始めの自治会代議員会に向けて「住宅専用地と周辺は避けてほしい」との要望書を提出し、代議員会で了承された。
 ◆ 説明会でのやりとり

 11月26日、小坂が説明会前日にチラシ②を周辺500戸に配布した。
 他の住民も別の自作チラシを配布していた。
 11月27日、住民説明会が開催された。コロナ対策で減らした席が満席(30席)になって会場に入れなかった人もいた。
 楽天社員から「15mのアンテナを3mの根方(地下部分)に建てるから倒壊しない」「電磁波は家電製品と同程度の身近なもの」などと説明。
 住民から「このころ『想定外』が多すぎる。『想定外』や因果関係が立証できない被害はどうなるか」「電磁波は妊婦や子どもが終日浴びても大丈夫か」などの質問があり、
 楽天から「住民の反対を押して無理に設置はしない」「健康への悪影響はあるともないともはっきりした根拠はまだない」と答えた。
 楽天は「反対が強いので設置しない方向で持ち帰る」と述べ、さらに「北青葉台の別の場所に変えるときにはまた説明会をする」と約束して終わった。
 ◆ 説明会後のやりとり

 12月に自治会長から工事会社を通じてどうなっているか尋ね、小坂からも説明会資料記載の問合せ窓口に経過を問い合わせたが明確な回答がないまま年を越した。
 1月に自治会長から楽天社長宛に質問書を送付して、「住宅専用地とその周辺100m以内に設置しないでほしい」との要望への文書回答を求めた。
 工事会社から回答が遅れるとの電話があった。

 2月末にようやく楽天から自治会長宛に「北青葉台の住宅専用地とその周辺(100m程度)への携帯電話基地局の設置は致しません。今後サービス拡大により、住民の皆様からお声がありました場合は、改めて自治会長様を通じて益連絡させていただければと存じます」との文書回答があった。
 電話で詳しく尋ねたところ、楽天の担当者から「周囲の基地局でカバーできると思うが、もし契約者が増えて繋がらないなどの苦情が出た場合には改めて自治会長様を通じてお願いするかもしれない」とのこと。
 今は無理押しせず、まず住民のなかに契約者を増やそうということか。


 ◆ 引継ぎと運動の継続へ

 3月末に当年度自治会長から次年度自治会長に「楽天は一方的に工事せず、計画したら自治会長に通告し、説明会に応じると約束した」などが引き継がれたとのことである。
 3月末に小坂らが「住環境と携帯基地局を考える会」を結成してチラシ③を全戸に配布した。
 ◆ 反省点

 ・説明会が盛り上がったので安心してしまった。その場で後の日程を話し合うべきだった。
 ◆ 良かった点

 ・最初に『電磁波の何が問題か増補改訂版』を熟読したこと。途中でも電磁波研にメールで相談できたこと。
 ・説明会当日中に記録を作り後で全戸回覧したこと。
 ・住民から多様な意見が出たこと。「自治会に取り上げてもらうべきだ」「造成地ができて50年ダムやゴルフ場や焼却場や産廃反対など環境運動が続いてきた」「反対ではなく設置場所を考えてもらいたいと言ってはどうか」「交通ルールみたいにルールが必要」等。
 ・『電磁波研会報』で他地域の活動や情報を知ることができたこと。


 ◆ チラシのポイント

 チラシ①(10月、50戸訪問)
 楽天基地局の実物写真。「弱い電波でも花粉症のように人によって気分が悪くなることもあるそうです。携帯電波の安全性はまだはっきりしません。意見を教えてください」
 チラシ②(11月、500戸配布)
 携帯電磁波の健康影響について、総務省パンフ『電磁波と安心な暮らし』・大久保貞利『電磁波の何が問題か増補改訂版』・日本弁護士連合会『電磁波問題に関する意見書』の対照表。
 チラシ③(21年4月、1000戸配布)
 今回のあらすじ。説明会でのやりとり。チラシ②の対照表を読みやすくしたもの。『電磁波研会報』3月号網代氏「スーパーシテイの何が問題か」要約。
 末尾になりましたが電磁波市民研究会の事務局はじめみなさまの活動と支援に深く感謝します。
『電磁波研会報 第130号』(2021年5月30日)

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