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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

被処分者の会の再発防止研修強行への抗議声明

2017年05月11日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ◎ 「服務事故再発防止研修」強行に抗議する声明
 本日(5月10日)都教委は、被処分者の会による「中止の申し入れ」(3月14日)にも拘わらず、3月の卒業式での「君が代」斉唱時の不起立を理由として懲戒処分を受けた都立高校教員2名(減給1月1名、戒告1名)に対する「服務事故再発防止研修」を強行した。
 この「研修」は、「思想・良心の自由」と「教育の自由」に基づく信念から不当にも処分された教職員に対して、セクハラや体罰などと同様の「服務事故者」というレッテルを貼り、反省や転向を迫るもので、日本国憲法の精神を踏みにじる暴挙である。
 同研修については、研修執行停止申立に対する東京地裁決定(2004年7月須藤典明裁判長)で「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容される範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生じる可能性があるといわなければならない」という警告が発せられている。
 しかるに都教委は、毎年「再発防止研修」を繰り返してきたのみならず、2012年度より同研修を質量ともに強化した。
 研修内容に従来の「地方公務員法(服務規律)について」に加え「教育における国旗掲揚及び国歌斉唱の意義と教職員の責務について」を追加した。
 また新たに、事前課題(受講前報告書)の作成、当日の研修時間の延長、実質3ヶ月の長期に亘る所属校研修、2回目のセンター研修の義務付けなどを導入したのである。
 しかも「研修」に先立って課された「受講前報告書」は、「君が代」斉唱時に起立しなかったことを一方的に「服務事故」と決めつけ、「原因・理由」、服務事故(不起立のこと)を起こしたときの気持ち、現在の気持ち、を記述させ、提出させるものである。これは憲法が禁じる内心の表白を迫るものである。
 このような「研修」は、明らかに受講者に思想転向を強要するもので、上記東京地裁決定(2004年7月)に反して「思想・良心の自由」(憲法19条)を真向から踏みにじるものである。
 さらに、「…教育の目標を考慮すると、教員における精神の自由は、取り分けて尊重されなければならない」とする最高裁判決の反対意見(宮川光治裁判官2012年1月)、また教育環境の悪化を危惧して、「自由で闊達な教育が実施されていくことが切に望まれるところであり、・・そのための具体的な方策と努力が真摯かっ速やかに尽くされていく必要がある」という最高裁判決の補足意見(櫻井龍子裁判官 同)、「謙抑的な対応が教育現場における状況の改善に資するものというべき」と述べ、教育行政による硬直的な処分に対して反省と改善を求めている補足意見(鬼丸かおる裁判官2013年9月)などの司法の判断に背く許されない行為である。
 そもそも「日の丸・君が代」を強制する10・23通達関連の処分事件は、最高裁判決(2012年1月、2013年9月)及び東京「君が代」裁判三次訴訟の東京地裁判決(2015年1月)、東京高裁判決(2015年12月)で減給以上の処分が取り消され判決が確定している。2012年1月の最高裁判決以来、延べ67件・57名もの減給以上の処分が取り消されているのである。
 にもかかわらず、都教委は、原告団との話し合いを拒否し、同通達を見直すこともなく処分を出し続け、再発防止研修の受講を命令しているのである。
 当該教員2名のうち1名は東京「君が代」裁判三次訴訟の原告として減給処分取消が確定しており、もう1名は同四次訴訟原告として東京地裁で処分取り消しを求めて係争中である。これらの事案について「服務事故」と決めつけ、命令で「研修」を課すことは、学校教育法・教育公務員特例法に定める「研修」の趣旨から著しく逸脱するだけでなく、司法の判断をないがしろにするものである。
 受講対象者は、すでに不当にも処分を受け、「思想・良心の自由」を圧迫され、著しい精神的苦痛と経済的損失を与えられている。これに加えて強行された「再発防止研修」は、「研修」という名を借りた実質的な二重の処分行為であり、被処分者に対する「懲罰」「イジメ(精神的・物理的脅迫)」にほかならない。
 しかも、本日の研修は受講対象者の通常の勤務時間外に設定されており、教職員の労働条件を無視するものと言わざるを得ない。
 私たちは、決して都教委の「懲罰・弾圧」に屈しない。東京の異常な教育行政を告発し続け、生徒が主人公の学校を取り戻すため、広範な人々と手を携えて、自由で民主的な教育を守り抜く決意である。
 「日の丸・君が代」強制を断じて許さず、「再発防止研修」強行に抗議し、不当処分撤回まで闘い抜くものである。
2017年5月10日
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会
・東京「君が代」裁判原告団 共同代表 岩木俊一 星野直之
【連絡先】近藤徹(事務局長)

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