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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

最高裁が「人権の砦」ではなく「権力の防波堤」であることがはっきりした東電裁判

2022年06月30日 | 平和憲法
 ◆ 無責任国家 (東京新聞【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)

 米連邦最高裁が、人工妊娠中絶の権利を否定した。一九七三年にこの権利を認めた最高裁判決を覆したのは、トランプ前大統領がリベラル派の判事を外して、保守派を指名していたからだった。
 裁判所が「人権の砦(とりで)」と言うよりも「権力の防波堤」のようになっているのは、米国のことだけではない。
 被告にとって痛憤の最高裁決定は少なくない。が、典型的なのは砂川裁判判決だった。
 五九年三月、砂川基地反対闘争での逮捕者が一審の東京地裁で無罪判決となった。
 「米軍駐留は憲法第九条違反」とした伊達判決にたいしてマッカーサー駐日米大使が藤山愛一郎外相と会い、最高裁に「跳躍上告」をするよう促した。
 外国の大使が政府中枢に直接政治工作したのだが、同大使は田中最高裁長官とも秘密協議を進めた。
 九ヶ月後、最高裁は全員一致で、伊達判決破棄、米軍駐留合憲の逆転判決をだした。日本の主権が疑われた判決だった。
 そして、現在只今(ただいま)、東電福島原発事故の被害者が国に損害賠償を求めた四件の集団訴訟で最高裁は「津波は想定外」として国の責任を免責した。
 わたしは、原発建設時代から取材してきたのだが自治体の首長たちは「国が安全だ、といってますから」と推進してきた。
 結局、誰も責任を取らなかった。
 いままた「原発の最大限利用」などという。極限の「無責任国家」だ。

『東京新聞』(2022年1月1日【本音のコラム】)


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