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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

国際社会で、日本は人権で心配される国になっている

2017年05月29日 | 人権
 ◆ 共謀罪で政府 国連報告者に抗議 (東京新聞【ニュースの追跡】)
 共謀罪法案について、国連のプライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏が安倍首相宛てに懸念と見解を求めた公開書簡に対し、政府は見解ではなく、抗議で返答した。政府は国連の国際組織犯罪防止条約を締結するため、共謀罪が必要と主張してきた。だが、今回の国連への異例の反発は、その建前が口実にすぎないことを示している。(橋本誠)
 ◆ 揺らぐ「条約締結」の建前
 国連特別報告者は、日本も理事国を務める国連人権理事会から任命される。独立した立場で、担当分野ごとに調査し、公表。法的拘束力はないが、調査結果は人権理事会に報告される。
 書簡は今月十八日付。同法が成立すれば、恣意的に運用される可能性があり、「プライバシーに関する権利に悪影響を及ぼすことが懸念される」などと問題視。懸念への見解や、法案の審議状況など四項目に関する回答を求めている
 これに対し、菅義偉官房長官は二十二日、外務省を通じて抗議したと説明。
 「特別報告者は独立した個人の資格で、国連の立場を反映するものではない。政府は(ケナタッチ氏に)直接説明する機会もなく、公開書簡の形で一方的に発出された」と不満を並べた。
 菅氏の発言について、京都大の高山佳奈子教授(刑法)は「ケナタッチ氏の書簡は国連のウェブサイトで公開され、日本政府も国連に抗議文を送っている。個人的な書簡ではない」と菅氏の「誤解」を指摘。
 そのうえで「国際人権規約に違反するかもしれないという確認のために質問しているのに、抗議で答えるというのは国際関係上、問題がある」としたうえで、国際組織犯罪防止条約の締結への影響を懸念する。
 「国連が法の内容を審査して却下することはできないが、条約締結の手続きがすんなりいかない事態を招きかねない。政府は共謀罪が条約のために必要と言ってきたが、それがこの法案の本当の目的ではないことが明らかになったのでは」
 人権理事会が扱っている北朝鮮による拉致問題の議論にも影響が出る可能性もあるという。
 ちなみに外務省国際安全・治安対策協力室は「書簡の質問には別に文書で回答する。条約の締結が困難になることはない」と反論している。
 ◆ 幼い対応、国のイメージ後退
 神奈川大の阿部浩己教授は「特別報告者は国連人権保障システムの要。単なる個人の見解として済ますことは誤りで、安易に切り捨てるべきではない。国際組織犯罪防止条約の締結に必要とされる法整備が国際人権条約と抵触する事態をもたらすことに、ケナタッチ氏は警鐘を鳴らしており、指摘には真摯に対応する必要がある」と説く。
 NPO法人「ヒューマンライツ・ナウ」の伊藤和子弁護士は「人権理事会の理事国なら範を示すべきなのに、恥ずかしい。理事国に立候補している国は他にもあり、今後はなりにくくなるのでは」とみる。
 菅氏は政府が直接説明する機会を与えられなかったと不満を漏らす。だが、特定秘密保護法の調査で、表現の自由に関する国連特別報告者のデービッド・ケイ氏が予定していた二〇一五年の公式訪問は、政府の要請で直前に延期された
 英エセックス大人権センター・フェローの藤田早苗氏は「ケナタッチ氏への抗議にはがっかりした。書簡は関係する国際人権機関に伝わり、今後の人権理事会や審査でも問題になるはずだ。その影響は無視はできない。十数年間、国連に足を運んできたが、ここ数年、日本が人権で心配される国になっている。秘密保護法を強行採決し、ケイ氏をドタキャンするなど、対応が幼い。イメージが悪くなるばかりだ」と話した。
『東京新聞』(2017年5月27日【ニュースの追跡】)

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