《教育労働者全国通信 第51号》から
■ おかしいことには声を上げよう
自己評価シート不提出で闘って
◎はじめに
滋賀県では、人事評価制度について2013年度から「試行」の文字が消えた。教職員組合本部は「当局とは試行で一致しているから、シートを出さなくても処分などは発生しない」と説明をしてきた。しかし、不提出の闘いをする中で、本部は説明とはまったく違う対応を行い、本音も見えてきた。
評価制度の本格的な導入は、労働者間の信頼と信頼から生まれてくる労働に対する責任感を現場から奪う。現実的には、評価制度はまったく機能していない制度である。「おかしいことには、きちんと声を上げる」ことを自分自身から実践したかった。
b> ◎6月定期大会
これまで本部に対して「本格実施ということか?」「出さないことでペナルティーはあるのか?」という問い合わせをしてきた。本部の返答はあいまいなもの。
私は当初面談で「出さない」と校長に伝えた。「今年度から試行ではないので、出さないという選択肢はない」と言われた。
本部から専従の役員に来てもらい、同席のもと面談を行った。校長は専従に対して「シートを出さないことは、組合の方針ではないだろう?」と聞いてきたことに対し、専従は反論しなかった。絶対反対の取り組みをしない本部の限界がここに現れているのだ。本部は組合員のために本気でともに闘おうとはしない。校長はその後も私に組合不信を煽ってきた。
私は6月の定期大会で、「シートを出さないことで不利益をこうむる組合員を組織として守るべき」という修正動議を出した。
代議員から賛同が得られなければどうしようかという不安は常につきまとっていたが、実際には、いくつかの支部から支持の声が上がった。「組合とは、単なる仲良しクラブではなく、同じ思いでいる者がともに力を合わせる場であることをあらためて感じさせられた」という発言をした若い組合員がいた。うれしかった。
◎市教委の呼び出しと本部の対応
10月の中間面談では、6時間も校長室で指導を受けることになった。管理職は条例違反、職務専念義務違反という脅しをかけてきた。
本部は「シートを出さない取り組みは本部の方針ではないのでアドバイスはできない」と。
だから個人名で要望書を書いて、他の分会員と一緒に校長に要望書を提出した。
この場で同席した分会員が「分会員が処分されるようなことがあるなら、自分自身も来年度からシートを出さない」と言ってくれた。現場で働く者だからこそ、肌で理不尽さを感じ取る力があり、組合員だからこそ、それに対して声を上げることができるのだとあらためて感じた。
その後、市教委からの呼び出し指導があり、本部の建前と本音がはっきりとしてきた。
「組合は人事評価制度に反対ではないのか?」に対して、「組合は、評価制度に反対ではない。管理職との風通しをよくするために、5項目・2要件(合目的性、客観性、納得性、公正・公平性、透明性と苦情処理システム、労使協議制)を求める運動をしているが、評価制度には反対ではない」と本音をもらした。「評価制度には反対でない」と言い切ったのである。
11月末の全県代表者会議で、私は「評価制度に反対しない組合など、組合とは言えない」と発言した。本部は「賃金とのリンクを先延ばしするためにしたたかに闘う。今の方針でいかせて欲しい」と発言。
◎分会での学習会
また、今回の闘いを通して、「人事評価制度とはいったい何なのか?」を考えるための学習会を大阪市の仲間を呼んで分会員全員の参加で行った。分会全体の闘いとして学習会をやりたいと提起して分会長も学習会に賛同してくれた。
◎最後に
本部の評価制度に反対ではないという態度がより一層明らかになった。そのことを全県の組合員の前で認めさせ、そのことをよしとしない組合員が声を上げた。「絶対反対」の闘いの広がりを感じた。
市教委の指導の時に、私が「シートを出さない取り組みは組合活動である」と言い切った自分自身も組合活動であるという確信が弱かったが、シートを出さない意志を貫いたことで、組合の団結破壊から組合を守るための活動は個人の取り組みではなく、組合活動であるという確信を自分自身が持つことができた。
絶対反対の闘いは「もうシートを出さなくてもいい」(校長)と言わせたのである。1人でも「おかしいことはおかしい」と言うことはそれだけで、力を生み出すことを証明したのである。
『教育労働者全国通信 第51号』(2014.1.14)
■ おかしいことには声を上げよう
自己評価シート不提出で闘って
滋賀県教組 A
◎はじめに
滋賀県では、人事評価制度について2013年度から「試行」の文字が消えた。教職員組合本部は「当局とは試行で一致しているから、シートを出さなくても処分などは発生しない」と説明をしてきた。しかし、不提出の闘いをする中で、本部は説明とはまったく違う対応を行い、本音も見えてきた。
評価制度の本格的な導入は、労働者間の信頼と信頼から生まれてくる労働に対する責任感を現場から奪う。現実的には、評価制度はまったく機能していない制度である。「おかしいことには、きちんと声を上げる」ことを自分自身から実践したかった。
b> ◎6月定期大会
これまで本部に対して「本格実施ということか?」「出さないことでペナルティーはあるのか?」という問い合わせをしてきた。本部の返答はあいまいなもの。
私は当初面談で「出さない」と校長に伝えた。「今年度から試行ではないので、出さないという選択肢はない」と言われた。
本部から専従の役員に来てもらい、同席のもと面談を行った。校長は専従に対して「シートを出さないことは、組合の方針ではないだろう?」と聞いてきたことに対し、専従は反論しなかった。絶対反対の取り組みをしない本部の限界がここに現れているのだ。本部は組合員のために本気でともに闘おうとはしない。校長はその後も私に組合不信を煽ってきた。
私は6月の定期大会で、「シートを出さないことで不利益をこうむる組合員を組織として守るべき」という修正動議を出した。
代議員から賛同が得られなければどうしようかという不安は常につきまとっていたが、実際には、いくつかの支部から支持の声が上がった。「組合とは、単なる仲良しクラブではなく、同じ思いでいる者がともに力を合わせる場であることをあらためて感じさせられた」という発言をした若い組合員がいた。うれしかった。
◎市教委の呼び出しと本部の対応
10月の中間面談では、6時間も校長室で指導を受けることになった。管理職は条例違反、職務専念義務違反という脅しをかけてきた。
本部は「シートを出さない取り組みは本部の方針ではないのでアドバイスはできない」と。
だから個人名で要望書を書いて、他の分会員と一緒に校長に要望書を提出した。
この場で同席した分会員が「分会員が処分されるようなことがあるなら、自分自身も来年度からシートを出さない」と言ってくれた。現場で働く者だからこそ、肌で理不尽さを感じ取る力があり、組合員だからこそ、それに対して声を上げることができるのだとあらためて感じた。
その後、市教委からの呼び出し指導があり、本部の建前と本音がはっきりとしてきた。
「組合は人事評価制度に反対ではないのか?」に対して、「組合は、評価制度に反対ではない。管理職との風通しをよくするために、5項目・2要件(合目的性、客観性、納得性、公正・公平性、透明性と苦情処理システム、労使協議制)を求める運動をしているが、評価制度には反対ではない」と本音をもらした。「評価制度には反対でない」と言い切ったのである。
11月末の全県代表者会議で、私は「評価制度に反対しない組合など、組合とは言えない」と発言した。本部は「賃金とのリンクを先延ばしするためにしたたかに闘う。今の方針でいかせて欲しい」と発言。
◎分会での学習会
また、今回の闘いを通して、「人事評価制度とはいったい何なのか?」を考えるための学習会を大阪市の仲間を呼んで分会員全員の参加で行った。分会全体の闘いとして学習会をやりたいと提起して分会長も学習会に賛同してくれた。
◎最後に
本部の評価制度に反対ではないという態度がより一層明らかになった。そのことを全県の組合員の前で認めさせ、そのことをよしとしない組合員が声を上げた。「絶対反対」の闘いの広がりを感じた。
市教委の指導の時に、私が「シートを出さない取り組みは組合活動である」と言い切った自分自身も組合活動であるという確信が弱かったが、シートを出さない意志を貫いたことで、組合の団結破壊から組合を守るための活動は個人の取り組みではなく、組合活動であるという確信を自分自身が持つことができた。
絶対反対の闘いは「もうシートを出さなくてもいい」(校長)と言わせたのである。1人でも「おかしいことはおかしい」と言うことはそれだけで、力を生み出すことを証明したのである。
『教育労働者全国通信 第51号』(2014.1.14)
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