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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

核兵器は違法であるとの国際法規範「核兵器禁止条約」が発効、批准51ヶ国、署名86ヶ国

2021年01月30日 | 平和憲法
 ◆ 核兵器廃絶の扉 開かれる
   日本は批准への転換を
(週刊新社会)

 1月22日、国連の核兵器禁止条約が発効した。本号では、核兵器禁止条約の成立から発効までの経緯に触れ、その内容と意義について解説するとともに、日本政府の対応を変える取組みについて触れる。
 ◆ 条約の成立から発効まで

 核兵器禁止条約は、1996年4月に「モデル核兵器禁止条約」として、核兵器の廃絶を求める法律家、科学者、医師などが参加する3つの国際NGOで構成される連合体で起草された。
 2007年には、コスタリカとマレーシアの両政府の共同提案として、国連に提出された。
 2011年には、マレーシアなどが提出じた「核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議」が127力国の賛成で採択された。
 2017年7月7日、国連本部で開催中の「核兵器禁止条約交渉会議」で賛成122票、反対1票、棄権1票の賛成多数により採択された
 核兵器保有国とアメリカの核の傘にあるNATO加盟国や日本、韓国などは会議そのものに参加しなかった。
 なお、この年のノーベル平和賞「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」に贈られたことは周知のとおりである。
 2017年9月20日より各国で批准が行われ、2020年10月24日ホンジュラスが批准し、条約の発効に必要な50力国に達した(奇しくも、この日は国連デーで、創設75周年に当たっていた)。
 その結果、10月24日から90日後(条約15条1項の規定)の2021年1月22日に発効した。
 2020年12月末現在、国連加盟国193国中、国の代表者が行う署名が86ヶ国、国会が承認する批准が51ヶ国となっている。
 ◆ 条約が禁止する内容

 核兵器禁止条約は、将来的な核兵器の全廃に向けた、核兵器を包括的に法的に禁止する初めての国際条約である。
 対象は、核兵器で、「平和目的」での原子力の保有は禁じていない(X線撮影装置は当然としても、原子力発電も含むのには要注意)。
 条約は、前文と20の条文で構成されている。
 前文においては、被爆者(原文ではhibakushaとして2回出てくる)の苦痛に対して憂慮するとともに、国際人道法と国際人権法の原則が核兵器廃絶に関して確認されている。
 禁止の内容は、第1条に網羅されており、開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用、威嚇としての使用と、全面にわたる。
 この条約の特徴は、核兵器または核爆発装置を所有、保有、管理していた締約国が申告を要することである。なお、非締約国への法的拘束力は無い。
 ◆ 条約の意義

 川崎哲氏(ピースボート共同代表、ICAN国際運営委員)は、「核兵器禁止条約の発効により、核兵器の時代をついに終わらせるための扉が開かれる」と言う。
 「核保有国が条約に入らなかったとしても、核兵器は違法であるとの国際法規範によって、核兵器は『力のシンボル』から『恥のシンボル』に代わる
 「核兵器禁止条約採択以降、世界で約100の銀行・金融機関が、核兵器製造企業への投資をやめている」
 「核保有国が反発するのは当然だ。必要なことは、保有国を怒らせないように黙ることではなく、彼らの反発を軍縮のカへと前向きに導くことである」(『世界』12月号)と、条約が何よりも核保有国(表)に対する実質的な圧力になると訴えている。
 ◆ 締約国会議に向けて

 条約の発効を受けて、締約国会議が開催される。
 国連事務総長が招集し、第1回は発効から1年以内に、その後2年ごとに開催される。
 第1回会議はオーストリア政府が開催したい旨を表明しており、ウィーンで開催される可能性が高いと言われている。
 締約国会議には、条約第8条で「非締約国、国連、国際機関、地域機関、赤十字やNGOがオブザーバーとして出席するよう招請される」と定めている。
 ◆ 日本政府は署名批准を

 日本政府は、「北朝鮮のように核兵器の使用をほのめかす相手に対しては、日米同盟の下で核兵器を有する米国の抑止力を維持することが必要です」「現実的な核軍縮を前進させる道筋を追求することが必要であり、核兵器保有国や核兵器禁止条約支持国を含む国際社会における橋渡し役を果たし、現実的かつ実践的な取組を粘り強く進めていく考えです」と表明している。
 日米安保条約は、米国による日本防衛の義務を定めているが、核兵器については何も定めていない。
 本来、米国の核の傘下に拘束される必要はない。
 また、2020年7月に日本世論調査会が行った「戦後75年世論調査」では、「日本は核兵器禁止条約に参加するべきか?」との問いに、「参加するべき」は72%、その理由については、「日本は唯一の戦争被爆国だから」が62%である。
 さらに地方議会では「日本政府に締約国会議にオブザーバー参加」を求める意見書を採択しているところも出ている(東京・調布市議会など)。
 日本政府は世論に従って、締約国会議にオブザーバー参加し、条約への署名、そして批准に向けた努力を開始するべきである。
 (清水)


 ◆ 核禁条約発効でさらなる取組みを

 ◆ ヒロシマから

 秋葉忠利広島県原水禁代表委員は、「平和市長会議では2015年までに核兵器禁止条約の採択という日標を立ててきたが、実際には2年ほど遅れて17年に実現させた。20年までには全世界で核兵器の廃絶をめざしたが、残念ながらこれは実現できなかった。しかし30年になったとしても意義はある。日本政府にこの条約の署名・批准をさせるには、今の政権を変えることである。今年は、その政治決戦となる」と発言。
 広島では1年間を通して反核・反戦の取組みを行ってきた。街頭での集会毎に慰霊碑前や原爆ドーム周辺での核兵器禁止条約への参加を各国に呼びかける署名に取り組んだ。その数は1月13日、日本被団協など48団体で構成する「ヒバクシャ国際署名」の連絡会の発表では1370万2345筆になった。
 署名者の中には、前職も含む全国の首長1497人も入っている。
 国内外の被爆者や協力団体が4年8カ月で集めた宝物である。

 1月22日、23日には、条約発効を祝うキャンドルサービスや日・米・韓のシンポジウムを予定している。
 非核保有国はもちろん、核保有国の市民から「核兵器はいらない」の声が上がるように、国際世論喚起に取り組む方向である。いずれにしても希望が見えてきたのだ。
 (齋尾和望)

 ◆ ナガサキから

 「核兵器廃絶や世界平和を願う」平和公園での座込みは、今年で20年目となった。また、「長崎県被爆者手帳友の会」は毎月、9日11時2分に「核も戦争もない地球を子どもたちへ」の思いを込め、「長崎の鐘」を鳴らし続けている。県平和運動センターが主体で行う「反核9の日」座込みも1月9日で462回目となった。「ヒバクシャ国際署名」は長崎県内50万9983筆となった。
 コロナ禍の中で、希望の光となったのは、「核兵器禁止条約」が発効したことである。もう一つの希望の光は、24年目に入る高校生平和大使高校生1万人署名活動実行委員会の活躍である。国連へ届けた署名は、累計200万1235筆である。
 当初は、「高校生に何ができるー」と罵声を浴びせられながらの活動であったが、昨年は、第23代平和大使として16都道府県より28名が選出された。
 現在は、国連での採択に賛同した122力国・地域に対し、謝意と今後の行動への期待を記した手紙を在日大使館などに送り、全ての国会議員や全国の知事にも「唯一の戦争被爆国であるわが国の果たす役割は重要」と訴える手紙を送る準備をしている。
 「微力であるが無力ではない」のスローガンのもと前進する若者に多くを学びたい。
 最後に、亡き父井原東洋一(元長崎市議)が2016年8月9日に被爆者代表として全世界に発信した『平和への誓い』を紹介する。「Nagasaki must be the last」
(井原俊也)

『週刊新社会』(2021年1月26日)

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