◆ ビラまきで高校生が不当逮捕 「プール授業」を批判
無関係の中学副校長が妨害・逮捕 表現の自由 憲法を否定 (週刊新社会)
Iさんが勾留されていた碑文谷署に支援者が抗議に行くと、
多数の警察官が立ちはだかった(レイバーネットより)
東京の公道でビラまきをしていた高校生が不当逮捕され、20日後に処分保留のまま釈放された。表現の自由に対する弾圧の上に、不法な私人逮捕による人権侵害も行われた。
7月8日の朝、目黒区立第九中学校の近くで小山台高校の水泳授業のあり方を批判し、生徒の権利を訴えるビラを配っていた現役高校生Iさんが第九中学校の高橋秀一副校長に「公務執行妨害」の嫌疑で私人逮捕され、警察に連行されたのだ。
7月7日から目黒区立第九中学校付近でビラをまいていたIさんは7日のビラまきの際も、高橋副校長にビラをまくことを執拗に妨害されたため、8日は学校から離れた場所でビラをまいていた。
しかし高橋副校長はわざわざIさんのもとに来て、ビラ配布をやめるよう妨害した。
あまりにひどいため、Iさんが表現弾圧の証拠どして撮影しようとしたところ、高橋副校長が怒鳴りながらIさんにぶつかってきた。
しかも、ぶつかってきた高橋副校長は、Iさんに殴打されたと主張。警察を呼び、Iさんを不当逮捕させたのだ。
Iさんはその後、10日間の起訴前勾留となった。
7月17日には勾留をさらに10日間延長するかどうか、「勾留理由開示公判」が東京地裁で行われた。傍聴に48人駆けつけたが、傍聴席はコロナ感染予防で15席、抽選になった。
公判では、最初に裁判官から氏名・生年月日・住所・職業について聞かれたが、Iさんは黙秘した。
その後、裁判官は勾留の「事由」を述べ、弁護士(3人)は、40項目以上について釈明を求めたが、多くの項目について裁判官は「答えられない」と述べた。
傍聴者の1人が「答えろ!」とやじったところ、裁判官は「退廷」を命じ、警備の職員が一気に大量に法廷になだれ込み、彼を押さえつけ退廷させた。
「求釈明」で弁護士は、「ビラには第九中学校のことは書いていなく、また生徒に何もやっていないのに、なぜ注意できるのか。なぜ適法なのか理由を述べてもらいたい」と要求したが、裁判官は答えず、また、「携帯で殴打」についても、「そのとき副校長は職員証を下げていたのか」、「携帯を奪い取ろうとしたのではないか」、「携帯を触ったのではないか」、「どのような資料から殴打したと判断したのか」などについても明確な釈明はなかった。
ジャーナリスト(元読売新聞記者)の山口正紀さんは、
「この『事件』で問われるべきは、ビラ配りを妨害した副校長たちの行為だ。憲法21条違反、表現の自由を侵害する人権侵害以外のなにものでもない。
副校長らによるIさんの身柄拘束は、『私人(常人)逮捕』とされているが、これも常軌を逸した違法かつ重大な人権侵害だ。私人逮捕は、刑事訴訟法213条に基づく。ただし、犯人が現行犯人であること、犯人が逃亡する恐れがある場合などだ。その要件を満たさない私人逮捕は、逆に逮捕監禁罪や暴行罪に問われる」
と述べている。
『週刊新社会』(2020年8月18日)
無関係の中学副校長が妨害・逮捕 表現の自由 憲法を否定 (週刊新社会)
Iさんが勾留されていた碑文谷署に支援者が抗議に行くと、
多数の警察官が立ちはだかった(レイバーネットより)
東京の公道でビラまきをしていた高校生が不当逮捕され、20日後に処分保留のまま釈放された。表現の自由に対する弾圧の上に、不法な私人逮捕による人権侵害も行われた。
7月8日の朝、目黒区立第九中学校の近くで小山台高校の水泳授業のあり方を批判し、生徒の権利を訴えるビラを配っていた現役高校生Iさんが第九中学校の高橋秀一副校長に「公務執行妨害」の嫌疑で私人逮捕され、警察に連行されたのだ。
7月7日から目黒区立第九中学校付近でビラをまいていたIさんは7日のビラまきの際も、高橋副校長にビラをまくことを執拗に妨害されたため、8日は学校から離れた場所でビラをまいていた。
しかし高橋副校長はわざわざIさんのもとに来て、ビラ配布をやめるよう妨害した。
あまりにひどいため、Iさんが表現弾圧の証拠どして撮影しようとしたところ、高橋副校長が怒鳴りながらIさんにぶつかってきた。
しかも、ぶつかってきた高橋副校長は、Iさんに殴打されたと主張。警察を呼び、Iさんを不当逮捕させたのだ。
Iさんはその後、10日間の起訴前勾留となった。
7月17日には勾留をさらに10日間延長するかどうか、「勾留理由開示公判」が東京地裁で行われた。傍聴に48人駆けつけたが、傍聴席はコロナ感染予防で15席、抽選になった。
公判では、最初に裁判官から氏名・生年月日・住所・職業について聞かれたが、Iさんは黙秘した。
その後、裁判官は勾留の「事由」を述べ、弁護士(3人)は、40項目以上について釈明を求めたが、多くの項目について裁判官は「答えられない」と述べた。
傍聴者の1人が「答えろ!」とやじったところ、裁判官は「退廷」を命じ、警備の職員が一気に大量に法廷になだれ込み、彼を押さえつけ退廷させた。
「求釈明」で弁護士は、「ビラには第九中学校のことは書いていなく、また生徒に何もやっていないのに、なぜ注意できるのか。なぜ適法なのか理由を述べてもらいたい」と要求したが、裁判官は答えず、また、「携帯で殴打」についても、「そのとき副校長は職員証を下げていたのか」、「携帯を奪い取ろうとしたのではないか」、「携帯を触ったのではないか」、「どのような資料から殴打したと判断したのか」などについても明確な釈明はなかった。
ジャーナリスト(元読売新聞記者)の山口正紀さんは、
「この『事件』で問われるべきは、ビラ配りを妨害した副校長たちの行為だ。憲法21条違反、表現の自由を侵害する人権侵害以外のなにものでもない。
副校長らによるIさんの身柄拘束は、『私人(常人)逮捕』とされているが、これも常軌を逸した違法かつ重大な人権侵害だ。私人逮捕は、刑事訴訟法213条に基づく。ただし、犯人が現行犯人であること、犯人が逃亡する恐れがある場合などだ。その要件を満たさない私人逮捕は、逆に逮捕監禁罪や暴行罪に問われる」
と述べている。
『週刊新社会』(2020年8月18日)
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