▼ 「日立、英ウェールズの原発建設から『撤退』 当局に通告」 (BBC NEWS JAPAN)
ウィルファの原発建設は今年始まる予定だった
日立製作所が英西部ウェールズで計画してきた総事業費200億ポンド(約2兆7000億円)の原発建設から撤退することが、15日明らかになった。計画地だったウェールズ北部アングルシー島の自治体が、日立から書面で撤退の連絡を受けたと認めた。
日立は昨年1月、イギリス政府と出資支援交渉で折り合いがつかなかったことから、「ウィルファ・ネーウィズ」(「新しいウィルファ」の意)原発建設を凍結し、事業を中断することを決定していた。
アングルシー島当局ののライノス・メディ氏は、「現在のような経済的に困難な時期に、非常に残念な発表だ」と話した。
日立傘下で計画を請け負っているホライズン・ニュークリア・パワーは、取材には応じないとしている。
イギリス政府もコメントを控えているが、議会のウェールズ問題委員会のスティーヴン・クラブ委員長は、ウィルファの原発計画撤退は「2050年までに炭素排出量のネットゼロ(植林などで排出量を相殺しゼロにすること)を目指しているイギリスとウェールズにとって打撃だ」と述べた。
「ウェールズ史上最大のエネルギープロジェクトとして、この地域の技能や雇用に良い影響を与えるはずだった」
「国内の原発が老朽化し、低炭素・高機能の発電所への切り替えが急務となっている。エネルギー安全保障の確保はこれまで以上に重要だ」
クラブ委員長はまた、日立はこの夏、プロジェクトへの参加に「太鼓判」を押しており、「原発建設を手掛ける建設業者や、原発を運営する高技能職員に希望を与えていた」と述べた。
開発業者によると、ウィルファの原発建設で最大9000人の雇用が生まれるほか、耐用年数は60年とされていた。
ウィルファ原発は、44年間稼動して2015年に閉鎖された旧原発からの切り替え計画。この計画に反対していた活動家らは、「原発はアングルシー内外の人命を危険にさらす」として日立の撤退を歓迎した。
反対団体「The People Against Wylfa B」は日立に対し、「今後も計画地で原発スキームが持ち上がらないよう保証」し、区画を「地域社会の利益のために返す」よう訴えた。
計画地の今後について、アングルシー当局はウェールズ自治政府およびイギリス政府と協議したいとしている。
新炉2基の発電量は計2900メガワットで、500万世帯に電気を供給する計画だった。だが、コスト増を受けて建設が凍結していた。
日立は6月、計画再開に向けてイギリス政府から追加の資金援助を取り付けたいと話していた。
<分析> ブライアン・ミーチャン、ウェールズ・ビジネス担当編集委員
ウェールズ最大規模の建設プロジェクトである、「ウィルファ・ネーウィズ」が、荒波にもまれている。
計画を手掛ける日立は常に、新規原発建設にかかるコストを懸念していた。
イギリス政府も金銭面での支援を申し出ていたものの、日立の財務リスクを払拭(ふっしょく)するには足りなかった。
政府はまた、消費者に料金を先払いさせることで建設費をまかなえないか模索していた。
業界全体が数カ月にわたり、この可能性の行方を追っていた。
イギリス政府が原子力発電はグリーン・エネルギー政策の一環だと発表した時、業界はウィルファ・ネーウィズには良い知らせだと思っていた。
一方で反対派は、原発の安全性だけでなく、環境的側面にも疑問を投げかけていた。
ウェールズではこれまでにもさまざまな大規模計画が持ち上がっては立ち消えており、「完成予想図の地」とすら呼ばれている。
ウィルファ・ネーウィズ推進派が、この原発もそのひとつになるのではと心配している一方で、反対派は日立の決定を歓迎しているだろう。
『BBC NEWS JAPAN』(BBC 2020/9/16)
https://www.bbc.com/japanese/54172643
ウィルファの原発建設は今年始まる予定だった
日立製作所が英西部ウェールズで計画してきた総事業費200億ポンド(約2兆7000億円)の原発建設から撤退することが、15日明らかになった。計画地だったウェールズ北部アングルシー島の自治体が、日立から書面で撤退の連絡を受けたと認めた。
日立は昨年1月、イギリス政府と出資支援交渉で折り合いがつかなかったことから、「ウィルファ・ネーウィズ」(「新しいウィルファ」の意)原発建設を凍結し、事業を中断することを決定していた。
アングルシー島当局ののライノス・メディ氏は、「現在のような経済的に困難な時期に、非常に残念な発表だ」と話した。
日立傘下で計画を請け負っているホライズン・ニュークリア・パワーは、取材には応じないとしている。
イギリス政府もコメントを控えているが、議会のウェールズ問題委員会のスティーヴン・クラブ委員長は、ウィルファの原発計画撤退は「2050年までに炭素排出量のネットゼロ(植林などで排出量を相殺しゼロにすること)を目指しているイギリスとウェールズにとって打撃だ」と述べた。
「ウェールズ史上最大のエネルギープロジェクトとして、この地域の技能や雇用に良い影響を与えるはずだった」
「国内の原発が老朽化し、低炭素・高機能の発電所への切り替えが急務となっている。エネルギー安全保障の確保はこれまで以上に重要だ」
クラブ委員長はまた、日立はこの夏、プロジェクトへの参加に「太鼓判」を押しており、「原発建設を手掛ける建設業者や、原発を運営する高技能職員に希望を与えていた」と述べた。
開発業者によると、ウィルファの原発建設で最大9000人の雇用が生まれるほか、耐用年数は60年とされていた。
ウィルファ原発は、44年間稼動して2015年に閉鎖された旧原発からの切り替え計画。この計画に反対していた活動家らは、「原発はアングルシー内外の人命を危険にさらす」として日立の撤退を歓迎した。
反対団体「The People Against Wylfa B」は日立に対し、「今後も計画地で原発スキームが持ち上がらないよう保証」し、区画を「地域社会の利益のために返す」よう訴えた。
計画地の今後について、アングルシー当局はウェールズ自治政府およびイギリス政府と協議したいとしている。
新炉2基の発電量は計2900メガワットで、500万世帯に電気を供給する計画だった。だが、コスト増を受けて建設が凍結していた。
日立は6月、計画再開に向けてイギリス政府から追加の資金援助を取り付けたいと話していた。
<分析> ブライアン・ミーチャン、ウェールズ・ビジネス担当編集委員
ウェールズ最大規模の建設プロジェクトである、「ウィルファ・ネーウィズ」が、荒波にもまれている。
計画を手掛ける日立は常に、新規原発建設にかかるコストを懸念していた。
イギリス政府も金銭面での支援を申し出ていたものの、日立の財務リスクを払拭(ふっしょく)するには足りなかった。
政府はまた、消費者に料金を先払いさせることで建設費をまかなえないか模索していた。
業界全体が数カ月にわたり、この可能性の行方を追っていた。
イギリス政府が原子力発電はグリーン・エネルギー政策の一環だと発表した時、業界はウィルファ・ネーウィズには良い知らせだと思っていた。
一方で反対派は、原発の安全性だけでなく、環境的側面にも疑問を投げかけていた。
ウェールズではこれまでにもさまざまな大規模計画が持ち上がっては立ち消えており、「完成予想図の地」とすら呼ばれている。
ウィルファ・ネーウィズ推進派が、この原発もそのひとつになるのではと心配している一方で、反対派は日立の決定を歓迎しているだろう。
『BBC NEWS JAPAN』(BBC 2020/9/16)
https://www.bbc.com/japanese/54172643
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます