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都立高校校長が都教委の内実を告発

2008年10月07日 | 暴走する都教委
 ◎ 矛盾と強権の教育行政~都立高校校長が都教委の内実を告発
永野厚男(教育ライター)

 都教育委員会の「職員会議で教職員の意向を確認する挙手・採決禁止通知」(06年4月、一方的に発出した)の撤回を求め、公開討論を要求したが、拒否された都立三鷹高校の土肥信雄校長に、今まで都教委がやってきたことをすべて話してもらおうと、保護者・市民が「学校に言論の自由を求めて!」集会を9月27日夜、東京の武蔵野市で開き、約350人が参加した。この他、400人が会場に入れず、外で待機する盛況ぶり。

 まず三鷹高校の保護者が、「土肥先生の遅刻指導は、他校に見られる『罰を与えたり校門を閉めたり』というのではなく、生徒一人一人の名前を覚え朝、校門に立ち呼び掛け、*生徒の自発性を高めている」、卒業した大学生が「3年生になって赴任した土肥先生はそれまでの校長と異なり、生徒と多く触れ合い、サッカー部の全試合を観戦に来てくれた」と、土肥校長の人柄を語った。

 続いて土肥校長が、以下の通り都教委の違法行為や高圧姿勢、言論封殺の実態を報告した。
<1> ① ”君が代”強制を強化する都教委の10・23通達は違憲・違法とした06年9月の東京地裁判決の速報を職員室で教員から知らされ、「都教委はやり過ぎだ」と言った、②米長邦雄・都教育委員が天皇に”君が代”強制は「良くない」と言われても止めず、一層厳しく言うようになったことを飲み会で批判した――の2点を内部告発され、「校長たる者が都教委を批判するとは何事だ」と、度重なる事情聴取を受けた。

<2> 神津(こうず)高校の校長当時、都教委は卒業式で教員の起立をチェックさせるため、「5分前に指定された席に着席させろ」と指示して来たのに、監視役の指導主事2名中の1名が遅刻したのはおかしい、と校長会で言うと、賀澤敬二・指導課長(当時)は「そんな神津島の個人的なことを言うんじゃない」と述べた。
<3> 3年前の校長会で、都教委が「ある学校の文化祭に来た”一都民”が、偏った考えに基づく、生徒の掲示物があった、と指摘してきた。校長は十分注意し下さい」と発言した。内容が事実と違っていたり、差別的であったりしなければ、生徒の意見は尊重すべきで、「掲示物を外せというのは憲法で禁ずる検閲に当たらないか。裁判があったら負けるのでないか」と問うと、都教委は曖昧にした。だが、多くの校長は「こういう場合、貼り続けることはできない」と思っただろう。
<4> 定時制の教育研究会の報告書に教科指導のテーマで執筆した教員が、「他誌にリベラルな論文を書いている」という理由で、都教委に原稿を差し替えられた。
<5> 「10・23通達通り卒業式等の”君が代”時、教員に起立させる職務命令を、校長の権限と責任で、口頭と文書の両方で出せ」と、都教委が全都立学校の校長に強制している問題で、土肥校長が「文書では出さない」と言ったら、6回も都教委に呼ばれ、1対7や1対5で「出せ、出せ」と言われた。「校長の権限と責任」なんて、実際はない。
<6> 都教委は人事考課制度で、教職員の業績評価の実施要領に、「校長の権限による1次評価は、4段階(A~D)の絶対評価である」と明記しながら、07年から校長ヒアリングや地区別の校長連絡会の際、「C・D評価を20%付けろ。20%以下なら書類を受け取らない」と、実質「相対評価」を校長に強制している。この矛盾をマスコミに出したら、9月4日、「地方公務員法の守秘義務違反の疑い」で都教委に事情聴取された。しかし、「実施要領違反の都教委こそ法令順守義務違反だ。服務事故として調査を」と、公益通報者保護法に基づき告発した。

 この後のパネルディスカッションで、教育評論家の尾木直樹さんは「”挙手・採決禁止通知”後、あちこちの教育長に会うと『東京はどうなっているの?』と言われる。都教委は全国的にも超異常で、民間企業ならとっくに倒産している。少しでも多くの都民に『税金で仕事をしている都教委がおかしくなっている』と事実を知らせることが大切だ」と語り、藤田英典・国際基督教大教授は「都教委の非常識が国の教育政策に反映され、全国に垂れ流される傾向がある。思想的に偏った教育方針が持ち込まれ、子どもたちの学びは豊かなものにならない。都教委は政治的圧力の下で従わされているのか、組織の仕組みそのものに問題ありか、『税金返せ』と言いたい」と述べた。
 西原博史・早稲田大教授は、「76年の最高裁学テ判決で、『教育内容について、文部省(現文科省)は大綱的基準しか定めてはいけない』と判例が確定しているのに、都教委がマニュアルを作り命令するのは理論も合理性もない。能力のない都教委は時々暴れないと、やっていけないのではないか。ただ、都教委の横暴を許しているのは我々市民だという面もある」と指摘し、漫画家の石坂啓さんは「2年前に出た子どもの中学の卒業式は窮屈だった。3年ほど前から『君が代を大きな声で』という”指導”が強まっている。この次は『(町田市の一部の学校のように)指が3本入るくらい大きく口を開けて歌え』となってしまわないか」と危惧の念を表明。
 都教委の「教職員の業績評価制度」については、『世界』編集長の岡本厚さんが「『労働経済白書』は、業績主義で特に50代の社員は意欲が低下している、と記述している」、藤田教授「教員や看護師に燃え尽き症候群が増えているが、これらは共同してやらなければらない職種であり、業績評価はなじまない」と、指摘した。

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1 コメント

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Unknown (渡部 功)
2009-06-29 19:42:58
土肥校長先生、私は細部までよく判りませんが、ある程度の権力を持っている人が教育委員会始め日本国全てが資本主義国家の悪例に毒されているとしか思えません。
校長先生の教育方針私は大賛成です、これからもがんばってください。
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