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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

平成28年度第1回東京都総合教育会議議事録から

2016年12月02日 | 暴走する都教委
 ◎ 山口香東京都教育委員の教育観

 F先生、先生の教え子の山口香さんが、過日の平成28年度第1回東京都総合教育会議で、教育者として大変立派な発言をしておりましたので、公開された議事録から紹介します。(H生)
 ※『平成28年度第1回東京都総合教育会議』(2016/10/27)
 (9頁~10頁)
 ○中井教育長
 ありがとうございました。それでは・・・先に進めたいと思います。重要事項Ⅱ「新しい価値を創造する力を育む教育の推進」につきまして、御意見のある方はいらっしゃいますか。
 ○山口委員 山口です。
 新しい価値を創造する力を育む教育ということで、現代社会、それからこれから未来は恐らく、スポーツも同じなのですけれども、なかなか予測できない、そして変化に対応する力というのが求められてくる時代なのかなというように思っております。そういったときに、受け身ではなく、能動的に自ら考えて自ら判断して行動する人材を育てていかなければいけないと。これは国もそうですけれども、こういったことが大事だということでアクティブラーニングなど様々なことが言われています。
 一方で、私は武道をしておりますけれども、そもそも武道というのは型にまずはめて、きちんと型を学び、そしてその型を破ってから自分のスタイルを作り出しなさいという教え方をするのですが、こういった武道というか道の教育などが日本の教育にもかなり影響を与えていると思います。
 型にはめるところはなかなかうまくいっていると思うのですが、そこから型を破って自らのスタイルを作り上げるといったところが、少し日本人は弱いのかなと思っております。それは、スポーツ界でもよく言われますけれども、上から言われたら「はい」と言いなさいとか、上意下達的なところがまだまだ学校の中でも抜け切れていない状況があるやに見受けられます。
 ですから、児童・生徒の中でもそうですし、また先生との間でも自由かったつな意見交換ができたり、またそういったことを認めるような空気感を学校の中でも醸成していかないと、この新しい価値を生み出すような、いわゆる押さえ付けられて何か新しい発想というのは出てこないと思うのです。
 先ほど知事もおっしゃられましたけれども、私は日本人の美徳の中には我慢ができるとか、根性があるとか、あるいは謙譲の美徳とか、様々な良いことはあると思うのですが、その良い部分と自らの意見を発信するとか、自らのアイデアを生み出すということは決して反するものではないと思いますので、その辺りのところを各現場の先生方がよくよく理解をしていただいて、子供たちの自由な発想を生み出すような教育環境を作り上げていただきたいなと思っております。
 また、情報が非常に多い現代ですので、この情報リテラシーと言いますか、多くの情報をどのように活用していくか、選択して活用していくかというのも一つの問題というように思っております。
 この後、英語教育に関しては議論がなされると思いますが、私個人的には英語力や外国語力というのは、例えば一つの事案、事柄が起きたときに、今日もメディアの方がたくさんおられますけれども、日本で発せられるあるいは報道されることと、海外では同じ事案であっても違った解釈であったり違った伝えられ方がしているということを私もときどき目にするのですね。
 ですから、子供たちが、そういった同じ事案であってもいろいろな見方があるんだなということを、やはりこの外国語教育を推進することで、もちろんコミュニケーション力というのもありますけれども、様々な事柄を多角的に見られるような力を身に付けてくれると、恐らく海外に出たとき、グローバルな社会でも通用するような子供たちが育っていくのではないかなと考えております。
 (18頁~19頁)
 ○中井教育長 それでは、引き続きまして、重要事項Ⅶ「オリンピック・パラリンピック教育の推進」ついてでございます。
 ○山口委員 オリンピック・パラリンピック教育の推進について少しお話しさせていただきたいと思います。
 リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックが日本選手団の活躍もあって成功裏に終わり、また、銀座で行われた、オリンピックとパラリンピックの選手が同時にパレードをしたというのは初めてで、そこに80万人の方々が御覧になられたというのは、これを見ても国民の関心の高さというのが非常に伺えるというように思っております。
 私は、私ごとですが、1964年、東京オリンピックの年の生まれでございまして、自分自身が生まれたその東京オリンピックを見られなかったので、今回オリンピックが2020年に来るということは個人的にも今から非常に感動しているところです。やはりその当時、学生だったあるいは生徒さんだった年代の方々からお話を伺うと、非常に強いインパクトを持って、今でも昨日のことのように語られる方が多くて、あのときから日本は変わった、あの東京から日本はこうなったというように非常に生々しい体験として語られる方が非常に多くて、私は自国開催を見たことがないのですが、やはりここが一つの日本の分岐点になるのではないかと想像をしているところでございます。
 ですから、この機を捉えて、子供たちに様々な資質能力を育む良い機会になると思いますし、2020年を超えたその後にも残していかなければいけない様々なことを教育として残していく必要があると思っております。
 先ほど日本選手団の活躍について申し上げましたけれども、やはり東京となりますと日本選手団の活躍も期待されるところではありますが、各国、他の国のオリンピック・パラリンピックへの子供たちのイメージと日本のイメージとはちょっと違うようで、日本の子供たちに聞くと、やはりメダルということが先に出てくるようです。
 ただ、他国においては勇気とか、あるいは友情とか、どちらかというとやはりオリンピックムーブメントとかオリンピズムとかに近いことがきちんと教育されているなというような印象を受けます。ですから、日本選手の活躍から得られる勇気だったり希望だったりというのは当然あるのですけれども、そこだけではない、夢に向かう気持ちですとか、あるいは困難を乗り越える姿とか、そういったこともやはり東京オリンピック・パラリンピックを通して教育として伝えていきたいというのを強く感じております。
 また、ホストとなる東京としては、私の知り合いでオリンピック・パラリンピックを開催するということは世界に窓を開くことと言われた方がおられまして、つまり世界に窓を開くということは、日本も世界から見られるし、日本も世界をその窓を通して見る
 なかなか同じ日本人、もちろん海外の方もおられるのですけれども、どうしても日本にいると世界を感じるということが少ないと思うのですね。ですから、この機を捉えて世界のスタンダードとは何か、そして日本はそれに合っているのかということを改めて考える良い機会になり、その中から先ほど知事も言われましたけれども、日本の良さは何なのか、そして残すべきもの、そして変えていかなければいけないものということを子供たちにオリンピック・パラリンピックという一つのイベントを通して感じてもらう良い機会なのではないかと思います。また、そのことが子供たちだけではなくて、家庭に帰って話をしたり、あるいは地域の中での活動を通して広がっていけば、日本全体にそういった教育が広がっていくのかなと考えております。
 また、この資料の28ページを見ますと、日本の若者は諸外国と比べてボランティア活動への興味が低いという結果が実は出ているのですね。これは少し寂しいことで、そのような機会がなかなかなかったのかなという気もしております。ただ、東日本大震災など災害時のときのボランティアを見ていると、少しずつ日本もボランティア精神というのが広がってはきていると思うのですが、特に子供たちにこういったボランティアマインドを醸成する非常に良い機会にもなると思います。社会貢献するということが自己有用感というのですかね、自分が誰かの役に立っているのだと、自分が社会のためになっているのだということで、そういったことを感じて自信を持ってもらうということにもつながっていくのではないかなと思います。
 パラリンピックも開かれますけれども、パラリンピックにおいてはやはりバリアフリーということが言われますけれども、ハードの面には限界もあると思うのですが、やはり心のバリアフリーということで、障害者だけではなくて男性と女性であるとか、あるいは海外の人とか高齢者とか、そういったところの自分ともしかしたら違う人たちと言いますか、ダイバーシティというところにもつながると思うのですけれども、そういったことを東京でオリンピック・パラリンピックが開催されるということで実感してもらい、自分が何をしなければいけないのか、どういうことを望まれているのかということを感じてもらえるようなオリンピック教育、パラリンピック教育に発展していかれればと考えております。
(以上、引用終わり)

 山口香教育委員の教育観・学校観・先生観は、池上彰編『先生!』(岩波新書)所収の、「柔道とは(山口香)」に見ることが出来ます。
 もうお読みかも知れませんが、未だでしたらこちらもお時間のある時に読まれることをお勧めします。
 「自律と自立」の大切さを語る立派な教育者に成長しています。
 「先生!と呼ばれたから先生なのではなく、子どもたちの信頼を勝ち得た時に本当の意味で彼らに影響を与えることが出来、彼らの先生になれるのだと感じた1年間だった」(1年間の英国研修の後に)
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