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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

ブラック企業大賞2016 ノミネート

2016年12月03日 | 格差社会
 ● 第5回 ブラック企業大賞2016
   ノミネート企業&選定理由
(50音順)
1.株式会社エイジス
2.株式会社 電通
3.株式会社 ドン・キホーテ
4.株式会社プリントパック
5.関西電力株式会社
6.佐川急便株式会社
7.サトレストランシステムズ株式会社
8.宗教法人 仁和寺
9.ディスグランデ介護株式会社(「茶話本舗」FC企業)
10.日本郵便株式会社
 ★ ウェブ投票はこちらから
http://www.smaster.jp/Sheet.aspx?SheetID=115553
 ● ノミネート理由

 1.株式会社エイジス


 千葉県千葉市に本社を置き、JASDAQにも上場する棚卸し代行業者。

 スーパー、コンビニ、ドラッグストアなど小売店を顧客とし、同社ホームページによれば連結売上高218億2900万円 (2015年3月31日現在)、従業員数686名(2016年3月末現在)、全国に直営50拠点、FC36拠点(同)を擁する。
 同社は2016年5月19日、違法な長時間労働を行っていたとして千葉労働局から是正勧告を受け、同日厚生労働省により社名を公開された。
 同省の発表によれば、エイジスでは4カ所の営業所で合計63人の従業員が月100時間を超える残業を違法にさせられており、1ケ月あたりの時間外労働が最長で197時間におよぶケースもあった。
 厚労省では2015年5月から、複数の事業場で違法な長時間労働を行う企業に対しては、都道府県労働局長が是正指導をした上で、企業名を公表するとの方針を決定。エイジスの事件は実際に公表された全国初のケースとなった。
 2.株式会社 電通

 同社は広告代理店として日本において最大手企業である。

 2015年12月25日、24歳の新入社員・高橋まつりさんが長時間労働の末に自殺した。その後、労働基準監督署は、これを過労によるものとして、労災として認定した。時間外労働が月105時間であったという。
 これに加えて、「はたらきたくない 1日の睡眠時間2時間はレベルが高すぎる。」など、彼女が残した過酷な労働実態を示すツイートの数々も明らかとなった。加えて上司によるパワハラを疑わせる書き込みまで残っていた。
 電通では、「殺されても放すな、目的完遂までは……」などの『鬼十則』に象徴される経営側の精神訓の下、13年前には入社2年目の男性社員の自殺が過労死と認定され、3年前にも30歳の男性社員の病死が過労死と認定されている。
 こうした状況下、電通は十分な改善策を実施しなかった。厚生労働省は10月に抜き打ちで電通本社への強制捜査を実施し、労働時間を正直に申告させず過少報告させる組織的な体質も浮かび上がっている。
 3.株式会社 ドン・キホーテ

 同社は関東地方を中心にディスカウントストアを展開する企業である。

 2016年1月28日、東京労働局は、同社と店舗を担当する支社長や店長ら計8人を、東京都内の店舗で従業員に違法な長時間労働をさせたとして、労基法違反容疑で東京地検に書類送検した。36協定で定めた時間外労働の上限である「3か月で120時間」を超えて、最長415時間45分もの時間外労働をさせた疑い。
 親会社のドンキホーテホールディングスは、「深くおわび申し上げる。グループ全体で労務管理に関する指導が不足していた」旨のコメントを発表した。
 2016年11月9日、ドン・キホーテ社は、2014年10月~2015年4月の間、都内3店舗の従業員4人に対し違法に時間外労働をさせたとして東京簡易裁判所から略式命令が出され、罰金50万円を納付した(支社長ら8人は不起訴処分)。
 4.株式会社プリントパック

 同社は印刷サービスを行う企業である。

 2010年3月、入社1カ月半の新入社員(当時26歳)が印刷機に巻き込まれて死亡した。全印総連京都地連によれば、当時会社は、この悲惨な死を業務遅延の理由として「機械の不具合」と発表した。同社では過密労働で離職率も高く、自らも月80時間前後の「過労死ライン」と見られる残業を繰り返していた労働者が、2013年に組合(全印総連ユニオン京・プリントパック京都分会)を結成した。
 これに対し会社は、組合員に対して配転を命じ、残業時間の長さを会社への貢献度と査定して組合員に対し昇給差別や夏季・年末一時金などのボーナスを支給しないなどの扱いをした。
 同労働組合が京都府労働委員会に救済を申し立てたところ、2016年7月19日、府労委は、同社による労働組合への不当労働行為を認め、賃金や賞与の差額を支払うよう命じた。
 なお、同社は、この命令を不服として中央労働委員会へ再審査を申し立てている。

 5.関西電力株式会社

 関西電力株式会社は、近畿地方などを営業区域とする電力会社である。

 2016年4月20日、高浜原発1、2号機の運転延長申請を担当していた管理職の男性が自殺しているのが見つかった。報道によると、男性は技術系管理職で、原子力規制委員会へ提出する工事計画を担当。日々、規制委の対応に追われ、同年1月には1ヶ月の残業時間が100時間を超えるようになり、2月には200時間、3月以降は都内のホテルに滞在しながら業務に当たるようになっていた。なお、男性は労働時間規制が一部適用除外される「管理監督者」であった。
 男性が亡くなったのは、審査が「合格」となった当日。男性が担当していた高浜原発1、2号機は、2015年7月7日の期限までに審査手続きを終えなければ廃炉が濃厚だったといわれており、男性に大きな重圧がかかっていたと見られる。
 労働基準監督署は、男性の自殺は長時間労働による過労が原因だったとして労災と認定した。
 6.佐川急便株式会社

 同社は主に運送事業を行う企業である。

 2010年3月、佐川急便に入社した男性は、東北支社仙台店(現南東北支店仙台営業所)で経理などを担当。2011年12月にうつ病の診断を受け、同月26日に自宅において制服姿で首をつって自殺。2012年2月、遺族は仙台労基署に労災の申請をしたが、同年12月には不支給処分となる。その後、訴訟が提起された。
 2016年10月27日の仙台地裁判決によると、男性は直属の上司から日常的に仕事のミスで注意を受け、自殺する直前にはエアガンで撃たれたり、つばを吐きかけられたりする暴行や嫌がらせを受けていた。SNSにもその旨を投稿、自らのスマートフォンにも「色々頑張ってみたけどやっぱりダメでした。薬を飲んでも、励ましてもらっても、病気の事を訴えても理解してもらえませんでした」と書き残していた。
 上司はうつ病になり「退職したい」と訴える男性に「そんなの関係ない。迷惑かけられて大変だった」と残務処理を指示していた。
 判決は一連の行為を「社会通念上認められる範囲を逸脱した暴行または嫌がらせ行為」とし、うつ病発症は業務上のものであると認めた。
 7.サトレストランシステムズ株式会社

 大阪市中央区に本社を置き、「和食さと」「すし半」「さん天」などの飲食店を全国展開する東証一部上場企業。
 報道によれば、同社では2008年4月から15年11月までに長時間労働や残業代の未払いなどで、全国の労働基準監督署から18回にわたる指導を受けてきたが、度重なる指導にも関わらず改善が見られなかったことから、2015年12月、大阪労働局の過重労働撲滅特別対策班(かとく)が強制捜査に踏み切った。
 また16年9月には、本社と大阪府内の4店の従業員計7人に三六協定を大幅に超過する残業をさせ、さらにその割増賃金の一部が未払いだった労働基準法違反(32条<労働時間>、37条<時間外、休日及び深夜の割増賃金>)の容疑で、法人としての同社のほか、同社の事業推進部長や店長など計5人が大阪地検に書類送検された。
 なお同社ではかとくの強制捜査を受け15年12月に調査委員会を発足させており、その結果判明した約650人の従業員に対する総額4億円あまり(2014~15年分。立件された分も含む)の未払賃金も払ったという。
 8.宗教法人 仁和寺

 京都市右京区にある真言宗御室派の総本山寺院。1994年には世界文化遺産にも登録されている。
 2013年、仁和寺が境内で運営する宿坊「御室会館」の元料理長の男性(判決時58歳)が、長時間労働により精神疾患を発症したとして、同寺を相手取り慰謝料や未払賃金の支払いを求めて提訴。2016年4月12日、京都地裁は男性の訴えを認め合計約4200万円の支払いを命じた(仁和寺は控訴せず判決確定)。
 男性は2004年12月に料理人として仁和寺に正規採用され、翌2005年から料理長として調理や献立作成などを担当。しかし、2011年春頃からの時間外労働がほぼ毎月140時間以上で、多い月では240時間以上、年間の勤務日数が356日(うち349日は連続して出勤)という「極めて過酷な長時間労働」(判決文より)を強いられた。
 男性は2012年8月に抑うつ神経症と診断(2013年7月労災認定)され休職を余儀なくされたが、この間仁和寺は、「料理長は管理監督者である」との理由で、男性に支払うべき時間外手当・休日手当を払っていなかった。
 9.ディスグランデ介護株式会社(「茶話本舗」FC企業)

 大手デイサービス企業である株式会社日本介護福祉グループが運営する「夜間ケア付き小規模デイサービス」事業である「茶話本舗」のフランチャイズ店舗(ディスグランデ介護株式会社)に労働基準監督署から是正勧告が出された。是正勧告の内容は、茶話本舗で働く女性に対する賃金未払いや休憩をとらせなかったことである。この女性を支援する「介護・保育ユニオン」によれば、未払い賃金はおよそ74万円になるという。
 同ユニオンに相談した女性によると、人手が少なく、日勤では10人近い利用者を2人で見ることもあるため、利用者の入浴や排泄があれば、1人で残りの利用者に対応しなければならない。そのため勤務中はまともに休憩を取ることができなかった。夜勤は1人体制で、呼び出しもあるため十分な仮眠を取れず、日中できなかった事務作業を行なっていた。
 このように、実際には休憩はなかったにもかかわらず毎日1~2時間ほどが「休憩時間」として労働時間から引かれていた。
 10.日本郵便株式会社

 同社は郵便事業の運営と郵便局の運営を行う企業である。

 勤務していた男性(当時41歳)は2011年4月から福岡県飯塚市の郵便局に勤め、6月からうつ病などで休職。12月に販売用の年賀はがきを受け取るため局を訪れた際、駐車場に止めた車内で心疾患のため死亡した。
 男性の遺族は、死亡したのは上司のパワーハラスメントによるストレスが原因だとして、同社に1億円の損害賠償を求め提訴。2016年10月26日、福岡高裁で判決が言い渡され、死亡とパワハラの因果関係は認めなかったが、裁判所は、局長が同年5月の面談で「いつやめてもらってもいいぐらいだ」と発言したことなどをパワハラと認定し、男性のうつ症状悪化との因果関係を認め、同社に330万円(1審では220万円)の支払いを命じた。
 郵便職場では、2016年10月に愛知県新城市の郵便局課長の遺族が、部下からのパワハラによる自殺として提訴しているほか、さいたま新都心郵便局ではパワハラ飛び降り自殺として妻が2013年に提訴した事件が和解で決着しているなど、パワハラに関する問題が多数指摘されている。
『ブラック企業大賞』(2016年12月1日)
http://blackcorpaward.blogspot.jp/2016/12/2016.html
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