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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

業績評価裁判 世田谷区教委控訴

2010年06月02日 | 暴走する都教委
 ★ 世田谷区教委、「都に右へ倣(なら)え」の不当控訴
  ~区議会文教委では異論続出

永野厚男(教育ライター)

 世田谷区立三浦健康学園在職中、都教育委員会の業績評価制度下、園長・副園長に下位評価を付けられ、昇給延伸等を受けた大嶽昇一教諭が5月13日、東京地裁で得た勝訴判決に対し、世田谷区は5月26日(都総務局法務部も同日、都人事委員会は27日)、不当にも控訴した
 5月25日の世田谷区教員委員会定例会では、「区の行った平成16年度業績評価について『裁量権を濫用又は逸脱した違法があるというべき』とされる等、区として認めることのできない判決であり、都も控訴の方針であることから、控訴が妥当と考える」と、ぶっきら棒に主張するA4判1枚の紙を、平川惣一(そういち)教育指導課長が読み上げた。
 進士五十八(しんじいそや)早大客員教授が欠席で4名しかいない教育委員は、中野里香(りか)弁護士が「都は?」と短く問い、平川課長が「控訴と聞いている」と答える約10秒の質疑で了承してしまった。
 5月26日の区議会文教委員会(定数10人。社民党は同委員会に所属せず)では、この件は審議でなく"報告事項"として扱われた。
 始めに、前記の紙に「本日、区長専決による控訴の決定を行う」との1行を加筆した文書を、平川課長が読み上げた。
 これを受け、中里光夫議員(共産)と上川(かみかわ)あや議員(レインボー)が、「原告側からもらった判決文を読んだが、判決が一つ一つ事実を調査し、(吉村氏らの付けた)評価をすべて『事実に基づかず違法』と断じたのは重い。控訴しても区や都は一審以上の言い分が出てくるのか」などと追及。
 前記「区長専決」とは地方自治法第180条により、損害賠償額が低額な場合、議会の同意がなくても首長が勝手に控訴できるもの。
 上川議員と山木きょう子副委員長(生活者ネット)は「専決処分と言うが、報告で終わってしまうと議員として責任が果たせない。こういう場で内容を議論することが重要」と批判(【注1】参照)。
 一方区教委は、萩原賢一教育政策部長が、当初「評価については差し控えたい」と、逃げの答弁をしていた。が、風間ゆたか議員(民主)が「2次評価者である(玉川小校長兼務の)日座氏が不常駐の事実など、必要な情報を区教委は提供するべきだ」と発言すると(【注2】参照)、萩原氏は「個人情報等に配慮しながら情報提供を検討していく」と、答弁を改めた。
 ところで、自民党の大場やすのぶ議員は「本件は委任の範疇の話。相手に手の内を明かすことになるので、区に答えを求める場面ではない。控訴しないと、色々な職員が『すぐ裁判しちゃう』ということになりかねない」と、教職員を"敵視"し、区教委を弁護する主張を展開した。
 この癒着の背景には、都教委指導主事出身の若井田正文・区教育長(60歳)が区の教育目標に、「我が国を愛する人の育成」が「育てたい子ども像」だと明記してしまうなど、区教委と自民党との政治的思想の一致がある、と考えられる。
【注1】中里議員もこれに先立ち「中身の議論」を求めたが、佐藤弘人(ひろと)委員長(公明)は「区は今日控訴するので、(内容に関する)答弁は出ない」と、区教委寄りの発言を差し挟んでいた。なお中里議員は、最後に「控訴すべきでない」と述べた。
【注2】上川議員も「日座氏と教諭は接点が薄く、2段階評価の意味がない」と指摘した。

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