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13階段

2007-01-05 23:35:55 | 書籍。
・13階段  高野和明 (講談社文庫)

『13階段』は素晴らしく面白かった。
読み終えたとき、「無知でいることは幸せなことであり、知ることは喜びである」と感じた。この作品を読むことで法律学の視野が広がったように思う。テーマは「死刑制度」。日本人の過半数は死刑制度に賛成―、でも死刑の知識をどれほど持っていての意見であろうか。死刑を受ける者の立場を考えても、執行する者の立場を気に掛ける人はどれくらいいるのだろう。
刑を受ける人々の…、刑を執行する人々の…。
執行ボタンを押す直前に顔面蒼白で、指先を震わせながら固く目を閉じる看守―、監獄の中で自己の死の訪れを怯えながら待ち続ける受刑者―。彼等の現状とは―。六法に記載されている「死刑」という単語が非常に重いものに見える。
題の『13階段』、かつて絞首台は13階段―、死刑執行起案書から13人の官僚の決裁を受けると死刑が執行される―、つまり死刑に通ずる階段。
「冤罪の受刑者を救う」という惹きつけられる幕開けから、どんでん返しの手に汗握るクライマックスまで、そのスピード感あふれる文章に引き込まれること間違いなし。