大月東中学校 美登里の日々

われら励みて人たらむ
われら学びて知るを得む
知るは即ち愛深き
行いをもて証とす
東中学 いや栄えあれ

気分は那須与一。

2013年11月12日 20時41分30秒 | 学校生活

 7日(木),2年生2クラスの合同で,外部講師をお招きして国語の授業が行われた。
 講師は,小俣好三先生。かつて本校に教頭として勤務し,猿橋中学校の校長で退職した先生で,現在は大月市民会館に公民館主事として勤務し,社会教育に力を尽くしている方だ。
 また,今は解体を待つばかりとなった旧校舎が建設された時に,3年生として在学していたいうから,私たちの大先輩でもある。
 この小俣先生,非常に多種多芸で,書道,弓道,スキーなどをたしなむばかりか,南の島の民族舞踊をアレンジしたダンスの第一人者でもあり,40代以上の先生方の間では伝説的な人物である。
 今回お招きすることになったは,2年の国語を担当している深沢先生が,『平家物語』の名場面「扇の的」を教えるに当たって,弓を射る場面を実際に見たことがなく,生徒たちに説得力ある学習指導ができない,と先輩の先生に悩みを相談したのがそもそもの発端。そして,その相談を受けた先輩の先生が,たまたま好三先生の奥さんであったという偶然。それじゃあ,ということでお願いしたところ,母校の教え子のためにと,快く引き受けてくれたという次第である。
 授業は新校舎3階の多目的教室で行われた。柔道や剣道などの武道場としても活用している場所なので,弓道をするのには距離が少し足りないが,雰囲気的にはもってこいの場所。
 白い筒袖に黒の袴という凛々しい姿で登場し,「弓道」とは何ぞやという講義のあと,実際に弓に弦を張り,矢をつがえて的に向かって射ってくれた。
 礼法に則って入場し,的に向かう顔はそれまでの柔和な表情から一変し真剣そのもの。2年生たちもその気迫に押されて,「武道場」は水を打ったような静けさが支配する。
 キリキリと弦を引き絞る音。シュッと射出する音に続いて,ドンという的に中る鈍い音。一瞬の間を置き,「おおっ」というどよめきが上がる。お見事!20m先の直径一尺二寸(36cm)の的の中心に矢が突き刺さった。2本目の矢も,中心から少しズレたものの的に吸い込まれた。
 その後,質疑応答,弓を引いたり,矢や的をさわったりという体験活動,お礼の言葉へと続き,特別授業を終えた。
 生徒たちは実際の弓に触り,引くことにより,その大きさや思いの外に強い力が必要であることを体感し,またその弓を使って遠くにある小さな的に中てることの難しさを実感したことと思う。
 ちなみに,「扇の的」の主人公である源氏の那須与一は,海の波間に漂う平氏の船上に掲げられた扇を射止める。揺れ動く的,距離は「磯へ七、八段ばかり」というから76m~87mぐらいだろうか。
 小俣先生が目の前で見せた距離の約4倍。弓の張りの強さ,小さくしかも不規則に動く扇の的を,波に揺れる馬上から射抜くことの困難さがわかり,那須与一の一挙手一投足を固唾を飲んで見守る源平両軍の武士たちの心情も理解できただろうと思う。
 百聞は一見にしかず。ホンモノの力を昨日行われた音楽鑑賞会に続き見せつけられた時間であった。

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