3月13日(水),柔らかな日差しが差し込む体育館で,第66回卒業式が行われた。
その中で語られた,たくさんの励まし,願い,感謝,決意の言葉を,次第にそって紹介していこう。
式辞(はなむけのことば)大月東中学校長 佐野幸夫
周囲の山々に春の息吹を感じる本日,第66回卒業証書授与式にあたり,大月市教育委員長天野昭様をはじめ,多数のご来賓の皆様,保護者の方々の祝福を受けて,卒業式が挙行できますことを,心から感謝し,厚く御礼申し上げます。
保護者の皆様,本日はお子様のご卒業,誠におめでとうございます。3か年間,一日たりとも,お子様の健康や生活,そして学習と,気の休まる事がなかっただけに,本日のご卒業の喜びはひとしおかと存じます。心よりお喜び申し上げます。
ただ今,卒業生1人ひとりに卒業証書を授与いたしました。ここに卒業生全員が卒業できたのも,皆様のご支援のたまものと,卒業生と共に感謝申し上げます。
さて,卒業生の皆さん,卒業,本当におめでとう。
卒業するに当たり,皆さんがこれから歩む道は大変厳しい道であるということを自覚して欲しいと思います。世間で言われる「世の中そんなに甘くない」ということであります。
高校生活では学習にしっかり取り組まなければ進級できません。また,問題行動を起こせば停学,そして最悪の場合は退学にもなります。
そして,やがては全ての人が,何らかの職業に就きます。仕事をする上では,その労働に見合った賃金が支払われます。満足に仕事ができない場合は,やめさせられることもあるでしょう。自分の与えられた仕事は苦しくても責任を持ってやり遂げなくてはならないのです。そのような厳しい世界に,皆さんは,これから旅立っていくということを,自覚して欲しいのです。
さて,新校舎の建築が始まる前に,校門の脇の花壇の中にあった,石碑を見た人もいると思います。その石碑には真実の真,善悪の善,美術の美,「真,善,美」の三文字が書かれています。真とは,真理や真実を追究する気持ちを持つこと,善とは,善人であること,美とは,心も体も美しくあれ,という人の理想的な姿を示した言葉であります。新校舎が完成した暁には,再び校門に設置されます。卒業し,本校に来たとき,この石碑をみて,自分自身の真は,善は,美はどうなのかを振り返って欲しいと思います。
これまでいろいろなことを学んできました。そのことを糧として,多くの人の信頼を得るためにはどうしたらよいか,自ら考え,判断し,行動できる人になって欲しいと思います。
終わりに,ご来賓の皆様,保護者の方々に対しまして,本校におよせ頂きましたご支援,ご協力に感謝すると共に,
卒業生の皆さん一人一人の,前途に期待しはなむけの言葉と致します。
告示(励ましのことば)大月市教育委員会教育委員長 天野 昭
本日,ここに,第66回大月市立大月東中学校989名の卒業証書授与式が挙行されましたことは,まことに喜びにたえなないところであります。
卒業生の皆さんに,心から,お祝いとお慶びを申し上げます。
皆さんの本校での3年間の中学校生活は,人間として大切な,心と体,学業の基礎を培う3年間でありました。
入学したときのことを考えれば,皆さんは見違えるほどに,大きな成長を成し遂げての本日の卒業であります。
卒業してゆく皆さんは3年生と呼ばれるのも本日のみということになります。中学校生活の最後の締めくくりを大事に味わってください。
最後の締めくくりということで「有終の美」という言葉について話したいと思います。私は,この言葉が出ると必ず思い起こすことがあります。
50年以上も前のことです。私の中学校の思い出です。私は昭和33年の3月にこの大月東中学校を卒業いたしました。
同級生でMという生徒がいました。彼は勉強が大嫌いで,いたずらはするし,物を壊したり,たばこを吸ったり,喧嘩をしたり誰からも嫌われていました。学校内で何か問題が起きるとほとんどMが関わっていて,先生たちから目をつけられていました。
中学校3年生の時,私はひょんなことから彼と桂川で喧嘩をしてしまいました。とっくみあいの喧嘩で私は彼のズボンを破いてしまい,彼は持っていた石でしたたか私の頭を殴りました。委員長が気づいて仲裁に入ってくれなければ,私は気を失ってしまうところでした。
喧嘩両成敗。わたしたち2人は水の入ったバケツを持たされて夕方暗くなるまで廊下へ立たされました。立たされることについて私は経験が少なかったのですが,彼は怒られ慣れていて,一緒に立っていても,やたらと話しかけてくるのであります。そんな中で彼の優しい一面が見え,私たちは仲良くなりました。
昭和33年,中学校卒業とともに彼は就職するために東京へ出てしまいました。
当時の高校への進学率は60%ちょっとでしたから,中学校卒業の半分近くは「金の卵」などと呼ばれて集団就職をした時代であります。
そんなMが中学校を卒業した春休みに人知れず学校へ来て,いたずら書きを消したり,自分の壊した所を修理していったという話を後になって聞きました。その帰りでしょうか,彼は私の家を訪ねてくれました。しかし,私は高等学校に合格した喜びで卒業した中学校のことなど何も考えずに遊びほうけていて,彼には会うことができませんでした。
そんな彼の話を聞き私は自分が恥ずかしいと同時に彼の行為に対しての頭の下がる思いでした。彼にとっては最終学年となる中学校に特別な思いがあったのだと感じました。
「有終の美」というのはこのようなものだと思います。卒業していくゆく皆さんに押しつけがましいことをいっているのではありません。
皆さんにそれぞれが,自分なりの「有終の美」を考えて欲しいのであります。卒業にあたり,「単に感傷的な安い涙なんか流すな。本物の涙を流せ」,と言いたいのであります。
今,過ぎ去った日々を振り返って,嬉しかったこと,苦しかったことなど,いろいろなことが思い出として浮かんでくることでしょう。
本日の卒業は,何よりも皆さんの努力の賜でありますが,皆さんの保護者をはじめご家族の方々や,諸先生のおかげでもあります。ご両親や家族,先生や友だちなど,大勢の人々に支えられての自分であることを忘れずに,感謝と思いやり,人々への奉仕の気持ちを持ち続けていただきたいと思います。
ご列席の保護者の皆さんには,心からお祝い申し上げますとともに,この3年間,生徒の学校生活を支え,本校の教育振興に,ご理解と,ご協力賜りましたことを,ここに深く感謝申し上げます。
卒業生の皆さんが,益々大きく成長していくことと,健康で,明るい人生を送ることを心から祈って,告示とします。
祝辞(お祝いのことば)
大月東中学校PTA会長 細川 充
お忙しい中ご臨席を賜りました来賓の皆様方に深く感謝申し上げますとともに,この三年間,厳しくご指導いただいた校長先生をはじめとする諸先生方,職員の皆様方にも厚くお礼申し上げます。
卒業生の皆さん,この校舎での最後の卒業生ですね。君たちの新しい一歩を心よりお慶び申し上げます。
これからの皆さんはそれぞれの夢を持って,それぞれの道へ進みます。
中学校から高校への進学は,生活の変化をあまり感じられないかもしれません。しかし,中学校と同じように見えても,これからの高校生活は将来の夢に大きくかかわってくる三年間になってきます。
また,友だちより一足早く実社会に出ることになる君たち。厳しい現実に時として挫けそうになることもあるかもしれません。しかし,「神は乗り越えられる試練しか与えない」と言われています。
進学,あるいは就職,どちらの道に進もむにしても,掲げた目標を緩めることなく,積み重ねてきた自分の力を信じ,その力により一層の磨きをかけ,自らを大きく輝かせて欲しいと願っています。
皆さんの保護者である私たちはいつも皆さんの幸せを願っています。時には,その思いが強すぎて,皆さんの言いたいことをよく聞かずに反対してしまうこともあるかもしれませんが,皆さんの将来を考えてのことだとわかって欲しいと思います。
だからと言って何もかもを親の言うことを聞きなさいということではなく,どうしてもやりたいことが見つかって,でも反対されたということなら,その時は頑固な親を説得し,許可をしてもらうまで粘るくらいの強さを持って欲しいと思うのです。
皆さんに望むことは,勉強のことばかりではありません。
どのような環境にあっても困難に挫けず,諦めない強い意志,果敢に挑戦する意欲を身につけて欲しいと願っています。
最後になりましたが,大月東中学校卒業生の皆さんのますますのご活躍とご健康をお祈りして,保護者を代表してお祝いのことばとさせていただきます。
卒業生の皆さん,本当におめでとうございます。
送辞(送ることば)
在校生代表 名取大貴
三月に入り,寒さもゆるみ始めています。春がこの大月市にも訪れていることを感じさせてくれています。そんな今日のよき日に,この大月東中学校を旅立たれる三年生の皆様,ご卒業おめでとうございます。先輩方の門出を心よりお祝い申し上げます。
さて,こうして卒業式を迎えられた先輩方の胸の中は,様々な思いで満たされていることでしょう。私たち,在校生も先輩方とともに過ごした思い出がまぶたに浮かび上がります。
私たちが初めて一年生として期待や不安を抱きながら入学してきたあの日。先輩方はそんな私たちを優しく迎えてくださいました。それから今日までの二年間,先輩方は入学式のときのように優しく,ときには厳しく私たちにたくさんのことを教えてくださいました。この大月東中が良い学校になるようにと部活動や委員会活動,美登里祭,そしてクリーン活動,チャイム席などの生徒会活動を率先してやってきてくれました。
その中でも特に印象に残っている出来事は美登里祭でのことです。美登里祭での全校合唱の練習で,先輩方は私たちが練習する前から一,二年生の見本になるようにと頑張ってくださいました。また,私たち後輩がわずかな時間を大切にできなかったときも,厳しく注意してくださいました。その先輩方の努力のおかげで全校合唱は私にとって忘れられないものとなりました。
また,美登里祭での先輩方の発表も私の脳裏に鮮やかに記憶されています。今年の美登里祭の練習期間は昨年よりも短くなってしまったにもかかわらず,先輩方の見事な踊りはその場を魅了していました。その発表を見た私は,その表現力のすごさに心を奪われました。三年生の発表から感じた絆や一体感は今でも私の心の中に大きな感動として残っています。
この他にも先輩方は生徒会行事以外でも部活動や委員会活動で,私たちの先頭に立って導いてくださいました。そして日常生活でも私たちの頼れる味方として,中学校生活の中で分からないことなどを相談すると,いつも優しく答えてくださいました。
このように先輩方との思い出を思い起こせば,いつも先輩方に支えられていたことを実感せずにはいられません。後輩である私たちに優しくしてくれた先輩方はとても頼もしかったです。
そんな先輩方も今日で卒業です。そう考えると寂しく,そして大きな不安も感じます。しかし,先輩方が残してくださった伝統,結束,そして思い出を力としてこの大月東中学校をより良く築き上げていくことを肝に銘じたいと思います。
三年生の皆様は,明日からそれぞれ自分の道を歩み始めることと思います。皆様がそれぞれの道で活躍されることをお祈り申し上げます。
終わりになりましたが,先輩方が健康で,ご自身の夢を追い続けていかれることを在校生一同心からお祈りし,送る言葉といたします。
答辞(別れのことば)
卒業生代表 中村優佑
厳しい寒さの中にも時折暖かさが感じられるようになりました。待ちわびた春のこのよき日,私たち卒業生九十九名は,義務教育九年の全過程を修了し,旅立ちの日を迎えました。御来賓の皆様,先生方,在校生の皆様,保護者の皆様,本日は私たちのために,盛大なる卒業式を挙行して下さり,ありがとうございます。卒業生一同,感激と寂しさ,また感謝の気持ちでいっぱいです。
三年前,それぞれが大きな期待と不安を抱き,大月東中学校の生活がはじまりました。部活動に入り,先輩から多くのことを学び,勉強は難しくなりました。二年生になり,先輩と呼ばれ,自分たちが引っ張っていく立場となり,責任を感じました。三年生では,修学旅行や美登里祭などの行事を通して,学年の結束力が一気に高まりました。また自分の進路を真剣に考え,一生懸命勉強しました。それと同時に別れの日が近づいていることに寂しさを覚えました。
そして今日,卒業式を迎え,明日からは,それぞれの道を歩んでいかなくてはなりません。しかし,私たち九十九人の「結束」は消えることはないでしょう。私は,みんなといた日々を決して忘れません。今までありがとうございました。
今日ここで私たちの門出を見守って下さっている先生方,これまで,たくさんの御心配をおかけしました。優しく,そして時に厳しく指導してくださり,感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
そして,どんな時でも私たちを支え,はぐくんでくれた,お父さん,お母さん。家族の支えがあったからこそ,今日こうして卒業式を迎えることができました。本当にありがとうございました。
また,在校生の皆さん,頼りない私たちについてきてくれてありがとうございました。この大月東中学校がさらによりよく,そして活気あふれる学校になることを期待しています。私たち卒業生九十九名も大月東中学校の名に恥じないよう力強く歩んでいきたいと思います。
最後になりましたが,皆様のご健康とご多幸,そして大月東中学校のますますのご発展を心よりお祈りいたします。
●目を閉じると おぼつかない足取りでたどってきた道が見える。
●決して平らな道ではなかった
●けれど確かに歩んで来た道だ
●みんなと過ごしたいくつもの日々を越えて
●辿り着いた今がある
●私がこの大月東中学校に入学したとき,私の心は不安でいっぱいでした。最初にクラスに入ると,初めての人に声をかけられたのがとても嬉くて,毎日学校に行くのが楽しみになりました。
●いろいろなことが自分の思い通りにならず,途中で諦めそうになったりもしました。しかし,そんな時に,「誰にだって調子の悪いときや思い通りにいかないことはある。それをどう乗り越えられるかが大切なんだ。」と優しく声をかけてもらい,勇気づけられました。
●部活動を通して仲間や支えてくれる人の大切さを改めて感じることができました。私もそういう人たちを大切にしたり,支えられるような人になりたいです。
●私は中学校でたくさんのことを学びました。仲間の大切さ,仲間と協力すること,つらいことを一緒に乗り越えること,苦手なことや嫌いなことから逃げずに立ち向かうこと。たくさんの事を学びました。
●「最後の仲間とする最後の美登里祭」。1組は,男子のムカデをクラスだけでなく,学年全員で応援し,一緒に走り,ゴールを迎えたとき,やり遂げたという達成感と全員でゴールできた感動で,みんな泣きあいました。
●美登里祭のムカデ。1度も止まらずにゴールした後は達成感に満ち溢れていて,クラス全員で勝ち取ったムカデの1位は2組にとって,なによりも素敵なとても大事な宝になりました。
●美登里祭が近づくにつれ,みんなの気持ちもひとつになっていくような感じがして,とても心地良くなりました。本番では,3組の強さと,団結力を見ることができ,とてもうれしかったです。
●「大切なものは目に見えない」。心の成長と共に,今まで見えなかったものが少しずつ見えてきました。
●私は東中生で本当に良かったです。みんなの笑顔が私を元気にさせてくれました。今まで一緒に生活できたことを誇りに思います。
●大月東中学校で得た「心」「勇気」「友」「笑顔」。
●それは,私たちの「宝」となりました。
●私たち,99人でつくりあげた「道」 聞いてください。
●多くの行事を通して支えてくれ,私たちについてきてくれた一,二年生。とても感謝しています。一,二年生と共に過ごした中学校生活はとても充実したものでした。こんな一,二年生に会えてよかったです。
●今,友達に言えることは「ありがとう」の一言です。相談を聞いてくれた友達,一緒に笑って楽しんでくれた友達,怒ってくれた友達,悩んでいるときに背中を押してくれた友達。どんな時でも,友達は私を支えてくれました。
●先生方には迷惑ばかりかけました。私たちを見捨てずに何回もしかってくれた事にすごく感謝しています。
●私を変えるきっかけとなった先生方の存在。今,この自分がいるのも私を影から支えてくださった先生方がいたからです。先生,ありがとうございます。
●今まで,ずっと心の支えになってもらったお父さん,お母さん。悲しかったとき,苦しかったとき,心が折れそうになったとき,いつも私たちを支えてくれました。ずっと寄り添ってくれました。どんなときでも傍にいてくれました。ここまで育ててくれてありがとうございます。そして,これからも私たちを見守ってください。よろしくおねがいします。
●これからは,今まで支えてくれた人々,3年間過ごした友達,先生方に立派になった姿を見せるように頑張ります。
●別れの時が近づいてきました。
●みんなに会えなくなるのは本当に寂しいです。
●でも,別れの寂しさは
●出会えた証(あかし)。
●つないだ手のぬくもりを,振り払うのは本当に辛いけど
●飛び立とう 未来を信じて
●今日 私たちは
●旅立ちます
●いままで
●ありがとうございました。
●ありがとうございました。
●ありがとうございました。
※おまけ
卒業生諸君。
感傷的な安い涙を見せることなく,常に明日を見つめてひたむきに歩き続けよう。
君の人生の主人公は,君自身であるという自覚を持ち,未来を切り拓いていこう。
真に善きものは美しい。
この言葉を胸に。