日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(1290)「述語論理」と「のみが(only)」について。

2024-01-06 13:38:08 | 論理

(01)
さて次の論証を考えてみよう(これはQuine〔17〕の翻案である)。
 (12)スミスとその門衛のみが合言葉を知っていた。合言葉を知っていたある者が銃を盗んだ。故に、スミスかあるいはその門衛が銃を盗んだ。
    Only Smith and the guard at the gate knew the password; Someone who knew the password stole the gun. Therefore, either Smith or the guard at the gate stole the gun.
これは明らかに健全である。しかしその健全性を、等号を含まない述語計算の中で示すことはできないのである。
のみonly)」という語の通常の意味を念頭におくならば、(12)の第1の前提は次のことを意味する。
 (13)合言葉を知っていたすべての人は、スミスであったあるいはその門衛であった。
    Everyone who knew the the password either was Smith or was the guard at the gate.
 (13)において、2つの「であった(was)」は同一性の「であった(was)」である。従って、
「K」が「合言葉を知っていたこと」を、「m」がスミス、「n」がその門衛を表すとするならば、(13)はつぎのように記号化される。
 (14)∀x(Kx→x=m∨x=n)
(E.J.レモン著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、209頁)
然るに、
(02)
1     (1)∀x(Kx→x=m∨x=n)   A
1     (2)   Ka→a=m∨a=n    1UE
 3    (3)∃x(x=o&x≠m&x≠n)  A
  4   (4)   a=o&a≠m&a≠n   A
  4   (5)   a=o           4&E
  4   (6)       a≠m&a≠n   4&E
   7  (7)       a=m∨a=n   A
  4   (8)       a≠m       6&E
    9 (9)       a=m       A
  4 9 (ア)       a≠m&a=m   89&I
    9 (イ)     ~(a≠m&a≠n)  4アRAA
  4   (ウ)           a≠n   6&E
     エ(エ)           a=n   A
  4  エ(オ)       a≠n&a=n   ウエ&I
     エ(カ)     ~(a≠m&a≠n)  4オRAA
   7  (キ)     ~(a≠m&a≠n)  79イエカ∨E
  47  (ク)      (a≠m&a≠n)&
              ~(a≠m&a≠n)  6キ&I
  4   (ケ)     ~(a=m∨a=n)  7クRAA
 3    (コ)     ~(a=m∨a=n)  34ケEE
13    (サ)  ~Ka            2コMTT
1 4   (シ)   a=o&~Ka       4サ&I
1 4   (ス)∃x(x=o&~Kx)      シEI
13    (セ)∃x(x=o&~Kx)      34スEE
1     (ソ)∃x(x=o&x≠m&x≠n)→
         ∃x(x=o&~Kx)       3セCP
従って、
(02)により、
(03)
① ∀x(Kx→x=m∨x=n)├ ∃x(x=o&x≠m&x≠n)→∃x(x=o&~Kx)
といふ「推論」、すなはち、
すべてのxについて、(xが合言葉を知っていたならば、xはスミスであるあるいは、門衛であった)。従って、
  あるxがoであって、そのxが、スミスではなく、門衛でもないならば、oといふxで、合言葉を知らなかったxが存在する。
といふ「推論」は「妥当」である。
然るに、
(03)により、
(04)
① あるxがoであって、そのxが、スミスではなく、門衛でもないならば、oといふxで、合言葉を知らなかったxが存在する。
といふことは、
 (13)合言葉を知っていたすべての人は、スミスであったあるいは、その門衛の、いずれかであった。
     Everyone who knew the the password either was Smith or was the guard at the gate.
といふことに、「他ならない」。
従って、
(01)(04)により、
(05)
E.J.レモンによる、
のみonly)」という語の通常の意味を念頭におくならば、(12)の第1の前提は次のことを意味する。
 (13)合言葉を知っていたすべての人は、スミスであったあるいは、その門衛の、いずれかであった。
     Everyone who knew the the password either was Smith or was the guard at the gate.
といふ「説明」は、「正しい」。
従って、
(05)により、
(06)
「S」を、「銃を盗んだこと」を表すものとして用いるならば、われわれが証明しなくてはならないものはつぎの連式である。
141 ∀x(Kx→x=m∨x=n),∃x(Kx&Sx)├ Sm∨Sn
1    (1)∀x(Kx→x=m∨x=n) A
 2   (2)∃x(Kx&Sx)      A
  3  (3)   Ka&Sa       A
  3  (4)   Ka          3&E
  3  (5)      Sa       3&E
1    (6)   Ka→a=m∨a=n  1UE
1 3  (7)      a=m∨a=n  46MPP
   8 (8)      a=m      A
  38 (9)      Sm       58=E
  38 (ア)      Sm∨Sn    9∨I
    イ(イ)          a=n  A
  3 イ(ウ)         Sn    5イ=E
  3 イ(エ)      Sm∨Sn    ウ∨I
1 3  (オ)      Sm∨Sn    78アイエ∨E
12   (カ)      Sm∨Sn    23オEE
(E.J.レモン著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、209頁)
といふ「計算」は、「正しい」。
然るに、
(07)
 「数学」が得意な学生は、世間では、「論理的な思考」が「得意」であるとされてゐるが、
論理学」が得意な学生が、「論理的な思考」が「不得手」であるはずが無い
然るに、
(08)
① ∀x(Kx→x=m∨x=n)├ ∃x(x=o&x≠m&x≠n)→∃x(x=o&~Kx)
② ∀x(Kx→x=m∨x=n),∃x(Kx&Sx)├ Sm∨Sn
といふ「述語論理式」は、「数学(mathematics)」ではなく、『語学(language)』である。
従って、
(09)
「(文法を基礎とした)外国語としての英語の学習」が得意な「学生」は、あるいは、
数学の学習」が得意な「学生」よりも、「論理的な思考」が得意なのかも、知れない(?!)。



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