日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(120)「象は鼻が長い。」と「述語論理」と「強調形」。

2018-12-08 18:09:33 | 「は」と「が」
―「昨日の記事(119)」の続きを書きます。―
然るに、
(32)
主題というのは文の最初にあって、その文で述べる内容の範囲を限定するものです。
といふのであれば、
① 象は鼻は長い。
② Elephants have long noses.
に於いて、
① だけでなく、
② であっても、
② Elephants は、文の最初にあって、その文で述べる内容の範囲を、「Elephants」に限定してゐる。
従って、
(33)
① 象は鼻は長い。
① Elephants have long noses.
に於いて、
①「象は」が主題であるならば、
①「Elephants」も、主題である。
然るに、
(34)
① 象は鼻は長い。
① Elephants have long noses.
に於いて、
① 象は=Elephants.
とするならば、英語の話者に対しては、何の説明もしてゐないに、等しい。
然るに、
(35)
① Elephants have long noses. の、
① Elephants を、「強く発音する(強調)」する場合を、
② ELEPHANTS have long noses.
といふ風に、「大文字」で書くことにする。
然るに、
(36)
〔63〕a.TOM sent Mary flowers.
   b.Tom SENT Mary flowers.
   c.Tom sent MARY flowers.
   d.Tom sent Mary FLOWERS.
"Tom sent Mary flowers.”(トムはメアリーに花を送った)という文は、四つの単語からできていますが、どの単語を強調して発音するかによって少しずつ意味が違ってきます。
〔63〕では、強調して発音される単語は全部大文字で示してあります。
Tom を強調して発音すれば、「他の誰でもないトムがメアリーに花を送った」という意味になります。つまり、主語として、
「トム」という人間が他の人間と対比されているということです(町田健、チョムスキー入門、2006年、150頁)。
従って、
(35)(36)により、
(37)
{兎、犬、馬、}を「変域(Domain)」として、
① Elephants have long noses.
とはせずに、
ELEPHANTS have long noses.
といふ風に、
② ELEPHANTS
を「強調(強く発音)」するならば、
② ELEPHANTS は鼻が長いが、
② ELEPHANTS 以外(の、兎や、犬や、馬)の鼻は長くない
といふ、ことになる。
従って、
(35)(36)(37)により、
(38)
① Elephants have long noses.
② ELEPHANTS have long noses.
とはせずに、
③ ELEPHANTS have long NOSES.
といふ風に、
③ ELEPHANTS と NOSES
を「強調(強く発音)」するならば、
③ ELEPHANTS は鼻が長いが、
③ ELEPHANTS 以外(の、兎や、犬や、馬)の鼻は長くなく
③ ELEPHANTS の鼻以外(の、耳や、目や、口)は長くない
といふことになる(はずである)。
従って、
(01)~(38)により、
(39)
① 象は鼻は長い。
① Elephants have long noses.
② 象鼻は長い。
② ELEPHANTS have long noses.
③ 象長い。
③ ELEPHANTS have long NOSES.
といふ「日本語と英語」は、それぞれ、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y&)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y&)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「述語論理」に、対応する。
然るに、
(39)により、
(40)
①「象は・鼻は」は、「Elephants・noses」に対応し、
②「象・鼻は」は、「ELEPHANTS・noses」に対応し、
③「象・鼻」は、「ELEPHANTSNOSES」に対応する。
従って、
(34)(35)(39)により、
(40)
①「象は・鼻は」に対する、
③「象・鼻」は、「強調形・強調形」である。
然るに、
(41)
①「は・は」は、「清音・清音」であって、
③「」は、「音・音」である。
従って、
(40)(41)により、
(42)
①「象は(清音)・鼻は(清音)」に対する、
③「象音)・鼻音)」が、「強調形・強調形」である。
然るに、
(43))
清音の方は、小さくきれいで速い感じで、コロコロと言うと、ハスの上を水玉がころがるような時の形容である。ロと言うと、大きく荒い感じで、力士が土俵でころがる感じである(金田一春彦、日本語(上)、1988年、131頁)。
(44)
もし音を発音するときの物理的・身体的な口腔の膨張によって「音=大きい」とイメージがつくられているのだとしたら、面白いですね。この仮説が正しいとすると、なぜ英語話者や中国語話者も音に対して「大きい」というイメージを持っているか説明がつきます(川原繁人、音とことばの不思議な世界、2015年、13頁)。
従って、
(42)(43)(44)により、
(45)
推測ではなく、事実として、
①「象は(清音)・鼻は(清音)」に対する、
③「象音)・鼻音)」が、「強調形・強調形」である。
然るに、
(36)により、
(46)
②{象、兎、麒麟}を「変域(Domain)」として、
② ELEPHANTS have long noses.
といふ風に、
② ELEPHANTS が「強調」されるのであれば、
② ELEPHANTS have long noses.
といふ「言ひ方」は、
② 象の鼻は長いが、象の鼻以外(の、兎の鼻、麒麟の鼻)は長くない
といふ「意味」に、ならざるを得ない
従って、
(45)(46)により、
(47)
① 象は鼻は長い。
① Elephants have long noses.
② 象鼻は長い。
② ELEPHANTS have long noses.
③ 象長い。
③ ELEPHANTS have long NOSES.
といふ「日本語と英語」は、それぞれ、必然的に
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y&)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y&)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「述語論理」に、すなはち、
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長い}。
② すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、xが象でないならば、あるyはxの鼻であって、そのyが長い、といふことはない}。
② すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、xが象でないならば、あるyはxの鼻であって、そのyが長い、といふことはなく、すべてのzについて(zがxの鼻でないならば、zは長くない)}。
といふ「述語論理」に対応する。


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