日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(924)「質料的含意のパラドックス(Paradoxes of material implication)」について。

2021-06-13 12:43:08 | 論理

―「昨日(令和03年06月13日)の記事」を書き直します。―
(01)
古典論理の含意(質料的含意)は次の2つを満たす。
(1) ~P├ P→Q  偽なる命題は任意の命題を含意する。
(2)  Q├ P→Q  真なる命題は任意の命題から含意される。
ルイスは、これは「含意」という言葉の日常的な意味に反しているとして、「質料的含意」とは異なる「厳密含意」という含意をもつ理論を提案した(2020年度後期哲学演習I 厳密含意の論理(1) [修正版]、京都大学、大西拓郎:ユーチューブ、3分50秒頃)。
然るに、
(02)
(ⅰ)
1      (1)  ~P      A
1      (2)  ~P∨ Q   1∨I
 3     (3)   P&~Q   A
  4    (4)  ~P      A
 3     (5)   P      3&E
 34    (6)  ~P&P    45&I
  4    (7) ~(P&~Q)  36RAA
   8   (8)      Q   A
 3     (9)     ~Q   3&E
 3 8   (ア)   Q&~Q   89&I
   8   (イ) ~(P&~Q)  3アRAA
1      (ウ) ~(P&~Q)  2478イ∨E
    エ  (エ)   P      A
     オ (オ)     ~Q   A
    エオ (カ)   P&~Q   エオ&I
1   エオ (キ) ~(P&~Q)&
            (P&~Q)  2カ&I
1   エ  (ク)    ~~Q   オキRAA
1   エ  (ケ)      Q   クRAA
1      (コ)    P→Q   エケCP
       (サ)~P→(P→Q)  1コCP
      シ(シ)~P& P     A
      シ(ス)~P        シ&E
      シ(セ)    P→Q   サスMPP
       (ソ)~P&P→ Q   シセCP
従って、
(01)(02)により、
(03)
① ~P├ P→Q
② ├ ~P&P→Q
といふ「連式(Sequents)」は「妥当(Valid)」である。
従って、
(03)により、
(04)
例へば、
① バカボンのパパは天才ではない。 が故に、バカボンのパパが天才であるならば、太陽は西から昇る。
②(バカボンのパパは天才ではないが、その上)バカボンのパパが天才であるならば、太陽は西から昇る。
といふ「連式(Sequents)」は「妥当(Valid)」である。
然るに、
(05)
②(バカボンのパパは天才ではないが)その上、バカボンのパパが天才である
といふことは、「矛盾」であるため、「」である。
従って、
(04)(05)により、
(06)
②(バカボンのパパは天才ではないが、その上)バカボンのパパが天才であるならば、太陽は西から昇る。
といふ「仮言命題」からは、
② 太陽は西から昇る。
といふ「命題」は、「導出」されない。
然るに、
(07)
1 (1)バカボンのパパが天才であるならば、太陽は西から昇る。 A
 2(2)                 太陽は東から昇る。 A
12(3)バカボンのパパは天才ではない。            12MTT
従って、
(06)(07)により、
(08)
②(バカボンのパパは天才ではないが、その上)バカボンのパパが天才であるならば、太陽は西から昇る。
といふ「仮言命題」は、
② バカボンのパパは天才ではない。
といふことを、言っているに、過ぎない。
従って、
(01)~(08)により、
(09)
古典論理の含意(実質含意)が、
(1) ~P├ P→Q  偽なる命題は任意の命題を含意する。
としても、「問題は生じない(No problem)」。
然るに、
(10)
(ⅰ)
1     (1)     P   A
1     (2) ~Q∨ P   1∨I
 3    (3)  Q&~P   A
  4   (4) ~Q      A
 3    (5)  Q      3&E
 34   (6) ~Q&Q    45&I
  4   (7)~(Q&~P)  36RAA
   8  (8)     P   A
 3    (9)    ~P   3&E
 3 8  (ア)  P&~P   89&I
   8  (イ)~(Q&~P)  8アRAA
1     (ウ)~(Q&~P)  2478イ∨E
    エ (エ)  Q      A
     オ(オ)    ~P   A
    エオ(カ)  Q&~P   エオ&I
1   エオ(キ)~(Q&~P)&
          (Q&~P)  ウカ&I
1   エ (ク)   ~~P   オキRAA
1   エ (ケ)     P   クDN
1     (コ)  Q→ P   エケCP
(ⅱ)
1     (1)      P   A
1     (2)   Q∨ P   1∨I
 3    (3)  ~Q&~P   A
  4   (4)   Q      A
 3    (5)  ~Q      3&E
 34   (6)   Q&~Q   45&I
  4   (7)~(~Q&~P)  36RAA
   8  (8)      P   A
 3    (9)     ~P   3&E
 3 8  (ア)   P&~P   89&I
   8  (イ)~(~Q&~P)  3アRAA
1     (ウ)~(~Q&~P)  2478イ∨E
    エ (エ)  ~Q      A
     オ(オ)     ~P   A
    エオ(カ)  ~Q&~P   エオ&I
1   エオ(キ)~(~Q&~P)&
          (~Q&~P)  ウカ&I
1   エ (ク)    ~~P   オキRAA
1   エ (ケ)      P   クDN
1     (コ)  ~Q→ P   エケCP
従って、
(10)により、
(11)
① P├  Q→P
② P├ ~Q→P
といふ「連式(Sequents)」は、両方とも、「妥当(Valid)」である。
従って、
(10)(11)により、
(12)
P=ナポレオンである。
Q=フランス人である。
として、
① ナポレオンはフランス人である。故に、月が青いならば、  ナポレオンはフランス人である。
② ナポレオンはフランス人である。故に、月が青くないならば、ナポレオンはフランス人である。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(13)
① 月が青いならば、  ナポレオンはフランス人である。
② 月が青くないならば、ナポレオンはフランス人である。
といふことは、
① 月が青かろうが、青くなかろうが、ナポレオンはフランス人である。
② 月が青かろうが、青くなかろうが、ナポレオンはフランス人である。
といふ、ことである。
従って、
(12)(13)により、
(14)
① P├  Q→P
② P├ ~Q→P
といふ「連式」は、両方とも、
① ナポレオンはフランス人である。故に、月が青かろうが、青くなかろうが、ナポレオンはフランス人である。
② ナポレオンはフランス人である。故に、月が青かろうが、青くなかろうが、ナポレオンはフランス人である。
といふ、「意味」になる。
然るに、
(15)
② P├ Q→P
② ナポレオンはフランス人である。故に、月が青かろうが、青くなかろうが、ナポレオンはフランス人である。
といふ「推論」は、当然、「妥当」である。
従って、
(11)~(15)により、
(16)
② ナポレオンはフランス人である。故に、月が青かろうが、青くなかろうが、ナポレオンはフランス人である。
といふ「意味」に解する限り、
② P├ Q→P
といふ「質料的含意のパラドックス」は、実際には、「パラドックス」であるとは、言へないことになる。
従って、
(01)(16)により、
(17)
古典論理の含意(実質含意)が、
(2)  Q├ P→Q  真なる命題は任意の命題から含意される。
としても、「問題は生じない(No problem)」。
従って、
(01)(09)(17)により、
(18)
古典論理の含意(実質含意)が、
(1) ~P├ P→Q  偽なる命題は任意の命題を含意する。
(2)  Q├ P→Q  真なる命題は任意の命題から含意される。
としても、「問題は生じない(No problem)」。



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