日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(905)「吾輩が(は)猫である。」の「述語論理」:「ゆる言語学ラジオ(#11)」に関連して。

2021-05-30 11:44:32 | 「は」と「が」

(01)
よく知られているように、「私理事長です」は語順を変え、
 理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されのである。
(三上章、日本語の論理、1963年、40頁)
従って、
(01)により、
(02)
① 私理事長です。
理事長は私です。
に於いて、
①=② である。
従って、
(02)により、
(03)
① 私理事長です。
② 私は理事長であり、理事長は私です。
に於いて、
①=② である。
従って、
(04)
① 吾輩猫である。
② 吾輩は猫であり、は吾輩である。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
1  (1) ∀x{吾輩x⇔猫x &~∃y(名前yx)}   A
 2 (2) ∃x{タマx&~吾輩x&∃y(名前yx)}   A
1  (3)    吾輩a⇔猫a &~∃y(名前ya)    1UE
1  (4)    吾輩a⇔猫a               3&E
1  (5)    吾輩a→猫a&猫a→吾輩a        4Df.⇔
1  (6)           猫a→吾輩a        5&E
  7(7)    タマa&~吾輩a&∃y(名前ya)    A
  7(8)    タマa                  7&E
  7(9)        ~吾輩a             7&E
  7(ア)             ∃y(名前ya)    7&E
1 7(イ)          ~猫a            69MTT
1 7(ウ)    タマa&~猫a              8イ&I
1 7(エ)    タマa&~猫a&∃y(名前ya)     ウエ&I
1 7(オ) ∃x{タマx&~猫x&∃y(名前yx)}     エEI
12 (カ) ∃x{タマx&~猫x&∃y(名前yx)}    27オEE
12 (〃)あるx{はタマであって、猫ではなく、名前がある} 27オEE
従って、
(05)により、
(06)
(ⅰ)∀x{吾輩x⇔猫x &~∃y(名前yx)}。然るに、
(ⅱ)∃x{タマx&~吾輩x&∃y(名前yx)}。従って、
(ⅲ)∃x{タマx&~猫x& ∃y(名前yx)}。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xが吾輩ならばxは猫であり、xが猫ならば吾輩であり、あるyがxの名前である、といふことはない}。然るに、
(ⅱ)あるxは{タマであり、吾輩ではなく、あるyは、xの名前である}。従って、
(ⅲ)あるxは{タマであり、 猫ではなく、あるyは、xの名前である}。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(06)により、
(07)
(ⅰ)吾輩猫である。  名前は無い。然るに、
(ⅱ)タマは吾輩ではなく、名前が有る。従って、
(ⅲ)タマは、猫ではなく、名前が有る。
といふ「推論(三段論法)」は、「正しい」。
従って、
(06)(07)により、
(08)
① 吾輩猫である。名前はない。⇔
① ∀x{吾輩x⇔猫x&~∃y(名前yx)}⇔
① 吾輩は猫であり、は吾輩である。名前はない。⇔
① ∀x{吾輩x→猫x&猫x→吾輩&~∃y(名前yx)}⇔
① すべてのxについて{xが吾輩ならばxは猫であり、xが猫ならば吾輩であり、あるyがxの名前である、といふことはない}。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(09)
1   (1)  ∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}    A
 2  (2)  ∃x{タマx&    ∃y(名前yx)}    A
  3 (3)     吾輩a&猫a&~∃y(名前ya)     A
   4(4)     タマa&    ∃y(名前ya)     A
  3 (5)            ~∃y(名前ya)     3&E
   4(6)             ∃y(名前ya)     4&E
  34(7)   ~∃y(名前ya)&∃y(名前ya)     56&I
 23 (8)   ~∃y(名前ya)&∃y(名前ya)     247EE
12  (9)   ~∃y(名前ya)&∃y(名前ya)     138EE
1   (ア) ~∃x{タマx&    ∃y(名前yx)}    29RAA
1   (イ) ∀x~{タマx&    ∃y(名前yx)}    ア量化子の関係
1   (ウ)   ~{タマa&    ∃y(名前ya)     イUE
1   (エ)    ~タマa∨   ~∃y(名前ya)     ウ、ド・モルガンの法則
1   (オ)    ~∃y(名前ya)∨~タマa        エ交換法則
1   (カ)     ∃y(名前ya)→~タマa        オ含意の定義
1  4(キ)              ~タマa        6カMPP
12  (ク)              ~タマa        24キEE
  3 (ケ)     吾輩a&猫a               3&E
123 (コ)     吾輩a&猫a&~タマa          クケ&I
123 (サ)  ∃x(吾輩x&猫x&~タマx)         コEI
12  (シ)  ∃x(吾輩x&猫x&~タマx)         13サEE
12  (〃)あるxは(吾輩であって猫であるが、タマではない)。 13サEE
従って、
(09)により、
(10)
(ⅰ)∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}。然るに、
(ⅱ)∃x{タマx&    ∃y(名前yx)}。従って、
(ⅲ)∃x(吾輩x&猫x&~タマx)。
といふ「推論(三段論法)」、すなはち、
(ⅰ)あるxは{吾輩であって、猫であるが、あるyが、xの名前であることはない}。然るに、
(ⅱ)あるxは{タマであって、      あるyは、xの名前である}。従って、
(ⅲ)あるxは{吾輩であって、猫であるが、タマではない}。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(10)により、
(11)
(ⅰ)吾輩は猫である。名前は無い。然るに、
(ⅱ)タマには名前がある。従って、
(ⅲ)吾輩は猫であるが、タマではない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
② 吾輩は猫である。名前は無い。⇔
② ∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}⇔
② あるxは{吾輩であって、猫であるが、あるyが、xの名前であることはない}。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(08)(12)により、
(13)
① ∀x{吾輩x⇔猫x&~∃y(名前yx)}
② ∀x{吾輩x→猫x&猫x→吾輩&~∃y(名前yx)}
③ ∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}
④ 吾輩が猫である。名前は無い。
⑤ 吾輩は猫であり、猫は吾輩であり、名前は無い。
⑥ 吾輩は猫である。名前は無い。
に於いて、
①=②=④=⑤ であって、
③=⑥ である。
然るに、
(14)
括弧は、論理演算子のスコープ(scope)を明示する働きを持つ。スコープは論理演算子の働きが及ぶ範囲のことをいう。
(産業図書、数理言語学辞典、2013年、四七頁:命題論理、今仁生美)
従って、
(13)(14)により、
(15)
④ 吾輩が猫である。名前は無い。
⑤ 吾輩は猫であり、猫は吾輩であり、名前は無い。
⑥ 吾輩は猫である。名前は無い。
の「スコープ(scope)」は、
④{吾輩が猫である。(名前)は無い。}
⑤{吾輩は猫であり、猫は吾輩であり、(名前)は無い。}
⑥{吾輩は猫である。(名前)は無い。}
である。
従って、
(15)により、
(16)
「番号」を付け直すと、
① 吾輩猫である。名前は無い。
② 吾輩猫である。名前は無い。
といふ「日本語のスコープ」に関して、
①=② である。
然るに、
(17)
「ゆる言語学ラジオ(#11)」は、
」は、「文の先には、効力を及ぼさないので、「ルーカル 変数的」である。
」は、「文の先に、 効力を及ぼすので、  「グローバル変数的」である。
といふ風に、言ってゐる。
然るに、
(16)(17)により、
(18)
① 吾輩猫である。名前は無い。
② 吾輩猫である。名前は無い。
といふ「日本語の、スコープ」に関して、
①=② である。
といふことと、
」は、「文の先には、効力を及ぼさないので、「ルーカル 変数的」である。
」は、「文の先に、 効力を及ぼすので、  「グローバル変数的」である。
といふことは、「矛盾」する。



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