日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(9)鰻我所欲也=∀x{鰻x→∃y(我y&欲yx)}。

2018-03-16 10:33:20 | 「は」と「が」
(01)
① 鰻為我所一レ捌 =
① 鰻為〔我所(捌)〕。
に於いて、
① 為〔 〕⇒〔 〕為
① 所( )⇒( )所
といふ「移動」を行ふと、
① 鰻為〔我所(捌)〕⇒
① 鰻〔我(捌)〕所為=
① 鰻〔我が(捌く)〕所と為る=
① 鰻は、私に捌かれた。
然るに、
(02)
① 私に捌かれたのは「ある鰻」である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 鰻為〔我所(捌)〕=
① 鰻は〔我が(捌く)〕所と為る。
を「述語論理」で表すならば、
① ∃x∃y(鰻x&我y&捌yx)=
① あるxは鰻であって、あるyは我であって、yはxを捌く。
といふ、ことになる。
然るに、
(04)
1  (1)∃x∃y(鰻x&我y&捌yx) A
 2 (2)  ∃y(鰻a&我y&捌ya) A
  3(3)     鰻a&我b&捌ba  A
  3(4)     鰻a         3&E
  3(5)        我b      3&E
  3(6)           捌ba  3&E
  3(7)     我b&鰻a      45&I
  3(8)     我b&鰻a&捌ba  67&I
  3(9)  ∃x(我y&鰻x&捌bx) 8EI
  3(ア)∃y∃x(我y&鰻x&捌yx) 9EI
 2 (イ)∃y∃x(我y&鰻x&捌yx) 23アEE
1  (ウ)∃y∃x(我y&鰻x&捌yx) 12イEE
然るに、
(05)
② ∃y∃x(我y&鰻x&捌yx)=
② あるyは我であって、あるxは鰻であって、yはxを捌く。
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
① ∃x∃y(鰻x&我y&捌yx)=あるxは鰻であって、あるは我であって、yはxを捌く。
② ∃y∃x(我y&鰻x&捌yx)=あるは我であって、あるxは鰻であって、yはxを捌く。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(07)
② あるyは我であって、あるxは鰻であって、yはxを捌く。
といふことは、
② 我捌鰻=私は鰻を捌いた。
といふことである。
従って、
(01)~(07)により、
(08)
① 鰻為〔我所(捌)〕=鰻〔我が(捌く)〕所と為る=鰻は私捌かれた(動態)。
② 我捌(鰻)    =我(鰻を)捌く)〕所と為る=私は鰻捌いた (動態)。
に於いて、
①=② である。
(09)
③ 鰻我所(欲)也。
に於いて、
③ 所( )⇒( )所
といふ「移動」を行ふと、
③ 鰻我所(欲)也⇒
③ 鰻我(欲)所也⇒
③ 鰻は我が(欲する)所なり=
③ 鰻は私の好物である。
然るに、
(10)
③ 鰻は私の好物である。
といふ場合の、
③ 鰻 は、「特定の鰻」ではない「鰻一般」である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
③ 鰻我所(欲)也=鰻は我が(欲する)所なり=鰻は私の好物である。
を「述語論理」で表すならば、
③ ∀x{鰻x→∃y(我y&欲yx)}=
③ 全てのxについて、xが鰻ならば、あるyは我であって、yはxを欲す。
といふ、ことになる。
然るに、
(12)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(08)(11)(12)により、
(13)
① 鰻為〔我所(捌)〕=鰻〔我が(捌く)〕所と為る。
② 我捌(鰻)    =我(鰻を)捌く。
③ 鰻我所(欲)也  =鰻は我が(欲する)所なり。
に於いて、
「左辺」は、「漢文の補足構造」であって、
「右辺」は、「国語の補足構造」である。
然るに、
(14)
① ∃x∃y(鰻x&我y&捌yx)  =あるxは鰻であって、あるyは我であって、yはxを捌く。
② ∃y∃x(我y&鰻x&捌yx)  =あるyは我であって、あるxは鰻であって、yはxを捌く。
③ ∀x{鰻x→∃y(我y&欲yx)}=全てのxについて、xが鰻ならば、あるyは我であって、yはxを欲す。
の場合は、
① 鰻為〔我所(捌)〕=鰻〔我が(捌く)〕所と為る。
② 我捌(鰻)    =我(鰻を)捌く。
③ 鰻我所(欲)也  =鰻は我が(欲する)所なり。
に於ける、「論理構造(深層構造?)」である。
cf.
《deep structure》チョムスキーによって設定された変形生成文法理論の基本概念の一。現実の発話の基底にあって文の意味を規定すると想定され、表層構造よりいっそう抽象的な構造。変形規則を適用することによって表層構造が導き出され、異形同義文や同形異義文の関係を説明するのに役立つ(デジタル大辞泉)。
従って、
(14)により、
(15)
例へば、
③ 鰻我所(欲)也 =鰻は我が(欲する)所なり。
といふ「漢文訓読」の「補足構造」と、
③ ∀x{鰻x→∃y(我y&欲yx)}=全てのxについて、xが鰻ならば、あるyは我であって、yはxを欲す。
といふ「論理構造(深層構造?)」とは、「両立」する。
(16)
次回の「予定」⇒「STAP細胞はあります!」の「は」について。


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