シスターみみっくのなんだかわからない堂

日常のよしなしごとをつづります。正教会のお祈り、読んだ本、ハマリものなどなど。

合唱とあてくし(前編)

2006-06-13 15:55:39 | 音楽(主に合唱)
私は合唱にまったく興味がなかった。
というかクラシック音楽自体に興味がなかった。
そんな私が合唱に首を突っ込むことになったきっかけは、お茶の水のニコライ堂に通い始めたことである。
はじめて日曜日の聖体礼儀に出たとき、キンキラの祭服を着た人たちだけで歌うところがあり、男声3部の見事なハーモニーがドーム天井に響いて「何じゃこりゃ、スゲー!」とぶったまげた。
そこの聖歌隊はアカペラで四部の聖歌を歌っていた。なかなかゴジャースだった。でも自分も歌いたいとか、そういうふうにはまったく思わなかった。耳からは聖歌、目にはイコン、鼻には乳香の香りと、感覚に訴えてくる奉神礼の世界にただ身を浸していた。
復活大祭がやってきた。
深夜3時間半にも及ぶ長丁場、たまたまイスが途中で空いて、そこに座った私はいつのまにか眠りこけてしまった。周りがザワザワするので気がついたら祈祷が終わって参祷者が帰りかけているではないか。あー恥ずかし。
何で寝ちゃったんだろう、座らなきゃよかった。
でもずっと立ってるのもツライ。

そうだ。

歌ってりゃ寝ない。

こうして光明なるハリストスの復活の日に天啓を受けた私は、パソコン通信で知り合った声楽家の人にクラシックの発声をさわりだけおしえてもらい、聖歌隊員でもあった青年会長に聖歌隊への紹介をお願いした。
合唱指導についてのご著書もあり斯界では有名な指揮者のS先生はこころよく許可してくれ、隊員の皆さんも喜んで迎え入れて下さった。
そうして、ベテラン隊員の譜めくりテクニックにおどろきつつ、朝っぱらだっつのにパワー全開で歌えるソプラノ軍団に舌を巻きつつ、聖歌隊での奉仕がはじまった。
一年がたつころ、ちょっと、ヨソでも修行してみたくなった。
聖歌は聖歌であって、音楽会で歌われる合唱とは違うんだろうけど、自分があんまりにも歌った経験がないので、訓練したいなと思ったのだった。
宗教曲をやっているところがいいなあ、と漠然と考えていたけれど、さてどこに?といっても今みたいにネットで検索できるわけもなく、知る手立てがない。初心者なんだからオーディションがあると困るし。
さて、季節は夏、当時エアコンのない貸間で仮住まいをしていた私は、暑さにあえいでいた。
もともとトーホグ人なので暑さに弱く、銀行などのヒエヒエ冷房が大好きなペンギン体質である。
扇風機は熱気をかき混ぜるだけでぜんぜん涼しくない。暑くて眠れない。
手足に濡れタオルをあてて寝ても乾いてしまうと目が覚める。空調の効いた職場は天国だった。
ある日、職場の人がサントリーホールのチケットをくれた。
私は行けないから、これで涼んで帰りなさい。
なんか外国人のヴァイオリニストの演奏会ということしか覚えていないが、冷房のある場所にいられるのが嬉しくて、喜んで出かけた。
入り口で、ずっしりチラシの挟み込まれたプログラムを受け取る。
席について、開演までの時間、ヒマつぶしにチラシを眺める。
そのうちの一枚に、私の目は吸い寄せられた。
「合唱団員募集」
東京オラトリオ研究会の案内だった。