裸のヤコブ

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【R】 レゲエ・ムービー・コレクション~その前に~

2006年09月11日 | REGGAE
(写真)発売前日に購入。嬉しさのあまり、夜に写真をとったので光量不足&ぶれています。ごめんなさい。







  ついに何年越しかの恋が実りました。そう、「ハーダー・ゼイ・カム」「カントリー・マン」を含む「レゲエ・ムービー・コレクション」をゲットしました。おかげでレゲエ好きにはたまらない週末を過ごすことができました。皆さんもおわかりのとおり当然のごとくこのブログで感想を書いていこうと思うのですが、今日はその前に一つだけ書きたいことがあるのでそちらを書いていきます。

 DVDをご覧になった方の中には…

◇カントリー・マンで、墜落した飛行機のパイロットがなぜCIAの手先とされたのか。
◇なぜあそこまで執拗に追跡され、国に関係する職員の命が奪われるほどの事件だったのか。
◇ハーダー・ゼイ・カムの主人公アイバンは、どうしてあんな簡単に銃を入手することができたのか。

と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。もしくは、「政治的なことが原因」ということは知っていても、それがどれほどのものだったのかはっきりしない人もいるでしょう(ちょっと前まで私はこちら側の人でした)。

そこで、「ハーダー・ゼイー・カム」「カントリー・マン」をご覧になる前に、または何度も繰り返し見ようとしている方にお薦めの本があるのです。

その本のタイトルは「ボーン・フィ・デッド(日本語訳のタイトル「死ぬために生まれて」)」。アメリカの女性教授(?)が何度もジャマイカを訪れ、その裏社会を自らの体験をもとに明らかにしていくというドキュメンタリーです。レゲエ好きの間では有名な話、例えば政党同士の対立からゲットーの住民に銃をばらまき、相手政党支持者などを殺させていたといった話をさらに掘り下げ、実際に銃を受け取る側を取材し「銃がばらまかれたとき若者達はどうやってでもその銃を手に入れようとした。なぜなら、銃を手に入れたものがそのあたりを牛耳ることができるから。」「政党のために働いた(殺しをした)若者も、用がなくなれば政党によって殺されてしまう。」等が生々しく描写されています。そして、ゲットーの住民は対立政党というだけで殺され、殺されないように力を得たはずの者もボスに殺され、結局死の恐怖(ゲットーに住んでいること)から抜け出すには「死ぬしかない」と書いています。だからタイトルが“死ぬために生まれて”なのでしょう。ただし、ゲットーのボスとなった男達は、日本で言うところのネズミ小僧のように、ガンジャやコカイン、銃といったものから得た利益を住民に還元していた(道路を整備したり学校を作ったりしていた)ために、地域では名士扱いを受けており、警察に協力するような住民はほとんどいなかったそうです。

 
それから、当時(80年代)のジャマイカの殺人事件の半数ほどは警察による殺人であったとも書かれています。現在のアフリカ諸国における警察官の観光客へのいやがらせ(ゆすり・たかり)が頻繁に起こるように、給料が少なく、生活苦にある上に「拳銃」という凶器を持つことのできる立場にある警官は、ちょっと感覚がずれただけで手におえない猛獣に変容していくのは当然の成り行きなのでしょうか。恐ろしいことです。(知人でアフリカに旅行した際、警察官に因縁をつけられて走って逃げたのですが、袋小路に迷い込み、彼らに銃口を口の中に入れられて「金を出すのか出さないのか!」とやられた人がいます。相手は警察官ですよ!)

 
そしてこの本は、ゲットーでの話のみならず、死から逃れるためにアメリカに入国しギャングとなったジャマイカンの話も出てきます。ゲットーでの「いつ死ぬかわからない」生活を考えたら、アメリカではどんなことでもできるそうです。




 
いかがでしょうか。これに加えてジャマイカ楽園の真実 LIFE&DEBT(DVD)なんかも見てみるとわかりやすいかもしれません。




 単純にレゲエ映画としてDVDを見るのも良し。こんな本を読んで「このシーンはこういうことなんだな」と一人納得しながら見るも良し。受け売りの知識をひけらかして一緒に見ている人に煙たがられるのも良し。(自分はこのパターンでした。すまん、妻よ。)「レゲエ・ムービー・コレクション」の楽しみ方を書いてみましたが、これを読まれる方はどんな楽しみ方を見つけているのでしょう。発見などありましたら私Iyahkieにも教えてください。



次回から本格的に感想などを書いていきたいと思います。では。


追伸1。明日、Gyptianのアルバム発売です!



追伸2。5年前の今日という日を忘れることができないでいる。NYから帰ってきてちょうど1ヶ月後だった。あいかわらず泥沼が続いている世の中。

すべての人に光を。
すべての人に愛を。

追悼の意をこめて…。


筆者in NY
5年前の8月撮影







ONE LOVE