裸のヤコブ

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【R】 カリブ海の音楽

2006年09月06日 | REGGAE

 前回紹介したDVD「レゲエ・ムービー・コレクション」を予約した時に面白い本を見つけました。平井 雅/長嶺 修 共同編集の「カリブ海の音楽」という本です。レゲエのことについても触れているためにカテゴリーはREGGAEで書かせてもらいます。



 タイトルのとおり、カリブ海全般の音楽について書かれている本ですが、内容は大きく分けて「それぞれの国特有の音楽の説明」と「現在入手できるであろう音源の紹介」になっています。しかも“カリブ海”と銘打っているだけあって、ジャマイカのレゲエ、キューバのサルサ、トリニダートのカリプソなど、私が今まで耳にしたことがある音楽ばかりではなく、国名だけ聞いたらどこにあるのかわからない国の音楽についても書かれており、たいへん勉強になります。

 中でも、音楽の説明をコロンブスのによるカリブの島々の“発見”までさかのぼり、そこから「白人によるアラワク族やカリブ族などのもともといた人たちへの迫害」や「黒人奴隷の輸入~彼らの開放」などの歴史と音楽との関係を詳しく書いてあったり、国々を占拠していた宗主国の言葉(英語・フランス語・オランダ語・ポルトガル語など)の音楽への影響などは、たいへん興味深く読むことができました。

 (下の写真は、わかりづらいですが奴隷の反抗分子=マルーンが白人と和平交渉しているという挿絵です)




 残念ながら、現在の環カリブ海の島々(国々)の状態=治安や経済状態、政治的な話までは言及されておらず、それぞれの国でそれぞれのルーツがどのように発展して現在どのような音楽が主流であるかがわからないのが残念でした。このブログでも紹介しましたが、ドミニカのシンガーNasio Fontaineがなぜあそこまでリアルな歌を歌わなければならなかったのか、その答えは見つからないままです。

 この本を読んでふと思ったのが、ボブ・マーリーやジミー・クリフを代表する「音楽のカリスマ」(一般論です)がジャマイカではなく、他の国に生まれていたなら、クラブでかかる音楽も、自分(Iyahkie)の音楽表現も考え方も、すべて変わっていたのかなぁということ。そうするとジャマイカなどという小さな国に足を踏み入れることもなかったんだろうな、と。そう思うと、こんなちっぽけな日本人の考え方や一生にも、全世界の大きな歴史が関与しているんですよね。


 やっぱり、世界は一つです。



ONE LOVE